国際結婚の婚姻届の書き方と提出前の注意ポイント【行政書士作成:記入例つき】

国際結婚の準備を進める多くの方にとって、日本での婚姻届の提出は慣れない手続きで不安になることもあるかもしれません。初めての経験となる方がほとんどで、どう書けばよいかとても不安に感じるかもしれません。

婚姻届の記入には、日本人同士の婚姻届とは異なる点がいくつもあり、注意が必要です。

本記事では、初めて婚姻届を出す方に向けて、記入例と一緒に行政書士の視点から書き方・提出方法を解説します。

さらに、これまでのお問い合わせで多かった注意ポイントも紹介します。

 

この記事を読めば、

  • 国際結婚の場合の婚姻届の正しい書き方

  • 外国人配偶者の署名や必要書類の準備ポイント

  • 記入時や提出時のよくあるミスと対策

がよくわかります。

 

婚姻届の書き方 — 日付欄から順番に徹底解説

婚姻届は正式には婚姻届書と呼びます。
国際結婚の場合でも、使用する用紙は日本人同士の結婚と同じです。

ただし、記入方法には日本人同士の結婚とは異なる点がいくつかあります。
特に、外国人配偶者の署名や氏名の書き方、国籍・本籍地の記入には注意が必要です。

本記事では、国際結婚の場合の婚姻届書の記入方法の違いを、行政書士の視点から分かりやすく解説します。
婚姻届書の左上から順番に、注意点やよくあるミスも交えて説明しますので、初めての方でも迷わず記入できるようになります。

日付と宛先欄

日付欄は届出の日を記載します。記入した日ではありません。

その下に提出先を記入します。市区村長あてになります。新宿区役所に提出する場合は「東京都新宿区」と記入します。

この部分について、それ以外の欄には、記入しません。

氏名の欄

①氏名の記載例

記載例は 夫 新宿 一郎さんと妻 アドラー アイリーン ガルシアさんの結婚届の記載例です。

日本人は氏名欄には姓と名をそれぞれ漢字で記入します。

ふりがなはひらがなで記入してください。

 

生年月日は和暦(令和・平成・昭和など)で記入します。

外国籍の方の名前は、中国籍や韓国籍など、漢字の名前がある国の方は漢字で、それ以外の国の方はカタカナで記入します。

ただし、漢字の名前があっても、日本の戸籍で使えない漢字が含まれている場合は、カタカナで記入する必要があります。婚姻届出の事前の相談でその漢字が使えるかどうか確認しておきます。

パスポートは原則姓⁻名の順番になっています。

フィリピン人女性 パスポート記載項目(イメージ)

フィリピン人女性 パスポート記載項目(イメージ)

Surnameが姓、Given Nameが名です。

ミドルネームがある方

ここが混乱する所かもしれません。

ギブンネーム(Given Name)のあとにミドルネーム(Middle Name)を記入します。上の氏名の図 記載例で確認してください。

注意するのは、ギブンネームとミドルネームの間にカンマ等は入れません。

外国人の氏名欄 ふりがなは記入しません。生年月日は外国人の生年月日のみ西暦で記入します。

どちらが姓か時々混乱しませんか?表にしてみました。

姓(苗字) 名(名前)
Last Name First Name
Family Name Given Name
Surname Forename

住所や世帯主の氏名欄

次は住所と世帯主の氏名の欄です。

②住所と世帯主の氏名 記載例

日本人の住所欄 住民票に記載の住所を記入します。世帯主の氏名の欄も住民票から確認できます。

外国人の住所欄 海外に現在住んでいる方は、国名を書くだけで構いません。国名は例のように正式名称でも略称でも構いません。

この例では、フィリピン共和国でもフィリピンでも構いません。あとは記入しません。

既に同居している場合は、住所欄は同左と記入します。

本籍・父母の氏名・続き柄の欄

次も記入にいくつか注意するところがあります。

 

日本人の本籍欄 結婚する前の本籍地を記入します。住民票に本籍欄が記載されていますので、そのまま記入します。

日本人の父母の氏名欄 父母の名前は、現在両親が結婚しているのであれば、母は名字を省略します。名のみ記入します。例では母の名前の欄は下の名前の「さくら」と記入して名字は書きません。

外国人の本籍欄 国名だけを記入します。

外国人の父母の氏名欄 カタカナで記入します。姓と名の間にカンマを付けます。父母の名前は、現在両親が結婚しているのであれば、母は名字を省略します。名のみ記入します。例では母の名前の欄は下の名前の「マリア」と記入して名字は書きません。

続き柄の欄 日本人も外国人も漢数字を使って記入します。長男、長女は「長」と記入。次男次女は「二」、三男三女以降は漢数字を記入します。次男次女で次とは記入しません。

結婚後の夫婦の氏・新しい本籍欄

ここは注意点は国際結婚の場合は、 □夫の氏 □妻の氏 の欄は記入しません。

結婚後の夫婦の氏・新しい本籍欄 記入例

新本籍欄 日本人は、結婚するとそれまでの本籍を抜けて新しい戸籍がつくられます。新本籍に記載する本籍地を記入する欄です。

既に戸籍の筆頭者となっている場合は、この結婚により戸籍を新しく作られることは無いので、この欄は記入しません。

新しい本籍地は日本に現在ある地名・地番であればどこにでもすることができます。本籍地とするために正確に記載します。

現在ある地名・地番が現在あるかどうか、役所の方に事前相談に行く時に確認します。

初婚・再婚の別、同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯のおもな仕事と夫妻の職業、署名欄

 

初婚、再婚の別の欄 それぞれチェックを入れます。再婚の場合は、直前の婚姻について、和暦で年月日も記入します。

内縁のパートナーであった場合は記入しません。

同居を始める前のそれぞれの世帯のおもな仕事の欄  一人暮らしの場合は本人の職業を記入。家族と一緒に住んでいた場合は世帯で一番収入が多い方の職業を記入します。

夫の職業 妻の職業の欄 国勢調査が行われる年に届出を行った場合にのみ記入します。国勢調査は5年に一度、西暦の末尾が0または5の年(2025年の次は2030年)に実施されます。それ以外の年に婚姻届出るばあいは、何も記入しません。

1:農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯 農家、酪農家、兼業農家で収入が農業の方が多い人
2:自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯 個人で事業を行っている方、一人親方、漁師
3.「企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)」 従業員が100人未満の会社や商店に勤務する従業員で、1年以上の雇用契約で雇われている方

4. 3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)

100人以上の企業や商店に勤務する従業員、公務員または会社団体役員で、1年以上の雇用契約で雇われている方
5.「1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯」 1年未満の契約となっている社員、パート・アルバイトの方

6. 仕事をしている者のいない世帯

無職の方、年金生活者

署名について

婚姻手続きをどちらの国から先に行うかで、署名欄の記入方法が異なります

  • 日本から先に婚姻手続きを行う場合の日本での婚姻届出

届出人署名欄 本人が署名します。

署名欄に小さく押印は任意と記載されています。これは、婚姻届けの押印は2021年9月より、押印は任意となりました。届出用紙には印鑑の欄が残りますが、届出用紙に印鑑を押しても押さなくても構いません。

外国人の署名について カタカナでもアルファベットの活字体で記入しても構いません。筆記体で記入した場合は、役所によって判読不可としてサインの下に活字体(ブロック体)での記入を求められる場合があります。記入例はアルファベットの活字体で記入した例です。

  • 外国で婚姻が成立している場合の日本での婚姻届出

外国ですでに婚姻手続きが完了している場合、日本での届出は**「報告的届出(ほうこくてきとどけで)」となります。
これは、「外国で結婚が相手国の法律に従ってすでに成立していることを、日本に報告する手続き」です。

そのため、日本側に届出を行うのは日本人となります。報告的届出の場合、外国人配偶者の署名欄への記入も不要です。

 

証人欄の書き方

婚姻届書の右側にある証人欄です。ここは証人になってもらう方に記入していただきます。

この欄の記入方法は、どちらの国で先に婚姻を成立させるかによって異なります。

  • 日本で先に婚姻を成立させる場合

証人2名の氏名・住所・署名を記入します。

親族や友人など、成人であれば誰でも証人になれます。外国人の方も問題ありません。

たとえば

  • 尊敬している上司にお願いしたい。
  • 両親が遠方にすんでいるので同期の友人にしたい。

といったお気持ちを持つ方もいらっしゃいます。

注意する点は、配偶者ビザの質問書に誰が証人となったか記入欄があります。

配偶者ビザの審査における結婚の信憑性の観点から、なるべく両親、兄弟の方に証人になってもらう方が良いです。

  • 外国で先に婚姻が成立している場合(報告的届出)

    証人欄の記入は不要です。

さいごに、右下の連絡先欄に電話番号を記入します。なにか届出に不備があれば電話連絡が入ります。

これで婚姻届書の記載が完了しました。

 

記入方法まとめ:日本人同士の婚姻届と国際結婚の婚姻届の違い

国際結婚の婚姻届は、日本人同士の婚姻届と似ていますが、いくつかの重要な違いがあります。これまでの説明の中で、注意するポイントをあらためて整理しました。

1. 氏名と生年月日の記入

  • 日本人:姓・名を漢字で記入し、ふりがなはひらがな。生年月日は和暦で記入。

  • 外国人:パスポートの表記に基づき、姓(Surname/Family Name)、名(Given Name/First Name)を記入。

    • ミドルネームがある場合は、ギブンネームの後に続けて記入。カンマは不要。

    • 生年月日は西暦で記入し、ふりがなは不要。

    • 漢字名がある国の方は漢字が使える。それ以外の国の方はカタカナで記入
    • 漢字名があっても、日本の戸籍で使用できない漢字がある場合はカタカナで記入となる。。

3. 住所や世帯主・職業欄

国勢調査の年以外は夫の職業 妻の職業の欄は何も書きません

  • 日本人:住民票に記載どおりの住所を記入します。

  • 外国人:海外在住の場合は国名のみを記入します。

    • すでに日本人と同居している場合は「同左」と記入します。

4. 本籍・父母の氏名・続き柄

  • 日本人:結婚前の本籍地や父母の氏名を戸籍謄本等で確認して記入。続き柄は漢数字で。

  • 外国人:本籍は国名のみ記入。父母の氏名はカタカナで、姓と名の間にカンマを入れる。

5. 署名と証人欄

  • 署名

    • 日本人は届出用紙に印鑑は任意。

    • 外国人はカタカナまたはアルファベット活字体で署名。筆記体は役所によって読めない場合があります。

  • 証人欄

    • 日本で先に婚姻届を提出する場合のみ記入。成人であれば誰でも可能ですが、配偶者ビザの申請の予定がある方は、日本人の両親をまず検討します。

    • 外国で婚姻が先に成立している場合の「報告的届出」では証人欄は不要です。

実際に婚姻届を進めてみよう!|国際結婚の日本側の手続きのステップを行政書士が解説

それでは、まずは実際に婚姻届を手元に用意してみましょう。
どんな項目があるのか、あらかじめ目を通しておくとイメージがつかみやすくなります。

そして、記入に進む前にぜひ行ってほしいのが、国際結婚の場合の「事前相談」です。
役所での相談を済ませておくことで、準備作業や当日の届出がぐっとスムーズになります。

1. 役所での事前相談|不安な点や必要書類を確認

結婚が決まったら、できるだけ早めに婚姻届を提出する予定の役所へ行き、事前相談を行いましょう。

窓口では「国際結婚の婚姻届をしたい」と伝えたうえで、次の内容を確認しておくと安心です。

  1. どんな書類が必要か(日本人側・外国人側それぞれ)

  2. 婚姻届書の書き方の注意点や不明点、気になるところ

  3. その他、手続きで心配なところ

これらを前もって確認しておくことで、提出当日に書類の不足や記入ミスで慌てることがなくなります。

また、相談は電話ではなく、必ず役所の戸籍係に直接会って確認するのがポイントです。
国際結婚の場合、外国人配偶者の国籍や前婚の有無などの婚姻状況によって必要書類や提出方法が変わるため、実際に担当者と話すことで、確実なアドバイスを受けられます。

この時に必要に応じて戸籍謄本や住民票などを取得しておくと良いでしょう。

2.必要書類の準備|戸籍や外国人の書類を漏れなく揃える

事前相談で確認した婚姻届に添付する必要書類に従い、準備を進めます。

外国人配偶者が日本に住んでいない場合は、リモートで書類取得の依頼が必要になります。誤った書類を取得しないよう、十分に注意しましょう。

外国人配偶者が大使館で婚姻要件具備証明書を取得する場合は、必要書類や手続きについて、外国人の方に事前に大使館で確認してもらいます。

書類の準備には思った以上に時間がかかることがあります。

3. 婚姻届書の記入|左上から順に書けば抜けがなく安心

婚姻届書の記入方法は、前述の通りです。記載例に沿って、左上から順番に一つずつ丁寧に記入していきましょう。
順番に書くことで、記入漏れや書き間違いを防ぎ、安心して提出できます。

4.婚姻届を提出する|最後にもう一度確認しておくと安心

必要な書類がすべて揃ったら、市区町村役所の戸籍課に婚姻届を提出します。
これで、日本側の婚姻手続きは正式に完了です。

提出の際は、書類や記入内容に不備がないか、最後にもう一度確認しておくと安心です。

婚姻届のその先にある大切な手続き — 配偶者ビザの申請へ

国際結婚の場合、婚姻届を提出しただけでは、外国人配偶者が日本で暮らすための在留手続きは完了しません。
おふたりが日本で新たな生活を始めるためには、配偶者ビザの申請や、現在お持ちの在留資格の変更など、適切な在留手続きを進めることが必要です。

これらの手続きは、お客様それぞれの状況によって必要書類や進め方が異なります。

ネットで調べても、準備する書類がよくわからない。その結果証明する書類がたらなかった。。
ほんの小さな不備でも、審査に影響を及ぼすことがあるため、慎重な準備が求められます。

当事務所では、国際結婚の婚姻届サポートだけではなく、配偶者ビザ申請のサポートにも対応しています。
どちらか一方のみのご依頼も可能です。

初めての方でも安心して手続きを進められるよう、
私たちはお客様のお話を丁寧に伺いながら、専門家による準備を進めていきます。

国際結婚という人生の大切な節目を、早くに迎えられるように。
フィラール行政書士事務所が、ていねいにサポートいたします。

おふたりが、安心して次のステップへ進めるように。国際結婚や配偶者ビザの手続きでお困りの際は、どうぞ一度ご相談ください。

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フィラール行政書士事務所 代表 行政書士 山川鬪志の顔写真 [この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

日本行政書士会連合会 東京都行政書士会

新宿支部所属

登録番号 19082576

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

https://www.moj.go.jp/

https://www.moj.go.jp/isa/index.html

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