(2026年6月更新)
本文作成:ビザ専門行政書士 山川 鬪志(申請取次行政書士・登録番号19082576)

フィリピン人との国際結婚手続きは、どちらの国から先に進めるかによって流れが大きく変わります。手続きに必要な書類が多く、訪問する役所もいくつかあるため、事前の準備が重要です。
この記事では、日本方式(日本から先に進める)とフィリピン方式(フィリピンから先に進める)の2パターンに分けて、手続きの流れと必要書類を行政書士が詳しく解説します。婚姻手続き完了後の配偶者ビザ申請についても末尾で解説しています。
国際結婚手続きで最初に知っておくべきこと
フィリピン人との国際結婚手続きを進める前に、まず「婚姻要件具備証明書」と婚姻に関する法律上の要件を理解しておく必要があります。
婚姻要件具備証明書とは
フィリピン人との国際結婚手続きで必ず必要になる書類が「婚姻要件具備証明書」です。
お互いが日本人同士の場合は、婚姻届を役所に提出するだけで手続きが完了します。しかし国際結婚では、外国籍の方が「結婚できる法的な要件を満たしているか」を証明する書類が必要です。これが婚姻要件具備証明書です。
日本人の婚姻要件具備証明書には「独身であって、かつ婚姻能力を有し相手方と結婚するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する」といった記載があります。
なお、市町村役場で発行される「独身証明書」(結婚相談所への入会などに使用)とは別の書類ですので混同しないよう注意が必要です。
婚姻に関する法律上の要件
婚姻適齢年齢
日本では2022年4月施行の改正により、結婚できる年齢が男女ともに18歳になりました。フィリピンも男女ともに18歳です。
フィリピンでは年齢によって手続きが異なります。
コラム:婚姻年齢で異なるフィリピンの婚姻手続き
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再婚待期期間
日本では2024年4月1日施行の改正民法により、女性の再婚禁止期間が廃止されました。フィリピン法では離婚の規定がないため、再婚待期期間の規定もありません。
| コラム:日本人男性とフィリピン人女性の国際結婚は減少傾向
フィリピン統計庁(PSA)の公式データによると、日本人男性とフィリピン人女性の国際結婚件数は近年減少傾向にあります。 ● 2019年 ● 2022年 2019年と比べると、2022年は約半分まで減っています。 出典:フィリピン統計庁(Philippine Statistics Authority, PSA) |
日本方式:日本から先に国際結婚手続きを進める
フィリピン人の方がすでに有効な在留資格(中長期ビザ)を持って日本に滞在している場合は、日本から先に手続きを進めるのが一般的です。
手続きの流れ:①フィリピン人の婚姻要件具備証明書の取得 → ②日本側の婚姻手続き → ③フィリピン側への婚姻届出

ステップ1:フィリピン人の婚姻要件具備証明書を取得する
日本にあるフィリピン大使館に、訪問または郵送でフィリピン人の婚姻要件具備証明書を申請します。訪問の場合は、必ず配偶者となる日本人と2人で訪問する必要があります。
なお、現在フィリピン大使館では短期ビザで来日したフィリピン人には婚姻要件具備証明書を発行していません(変更となる場合がありますので必ず大使館に確認してください)。
実務上の注意点:フィリピン大使館への訪問申請は予約制です。予約が1か月以上先になることも珍しくないため、婚姻手続きのスケジュールを立てる際は余裕をもって早めに予約を入れることをお勧めします。
フィリピン人が用意する書類
18歳から25歳の初婚フィリピン国籍者の方は以下を追加
両親がフィリピン在住の場合:フィリピン国内の公証役場で公証し、フィリピン外務省にて認証(DFA認証)・アポスティーユ認証を行ったものを提出。 日本人が用意する書類
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実務上の注意点:出生証明書・独身証明書(CENOMAR)はPSA(フィリピン統計局)発行のものにフィリピン外務省のアポスティーユ認証が必要です。フィリピン国内での取得・認証手続きに時間がかかるため、フィリピンにいる家族や当事者に早めに依頼しておくことをお勧めします。
ステップ2:日本側の婚姻手続きをする
市区町村役場へ行き婚姻届を提出します。提出する役所によってフィリピン人の必要書類が少し異なる場合があります。手続きの前に役所の戸籍窓口で必要書類を確認してください。
必要書類
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以上で日本側の婚姻が成立します。
ステップ3:フィリピン側へ婚姻を届け出る
フィリピン大使館へ婚姻届(ROM:Report of Marriage)を提出します。訪問または郵送で行います。
訪問の場合は予約制で、必ずお2人揃って申請します。1か月以上先になる可能性がありますので早めに予約してください。
郵送の場合は、電子メールで必要書類と一緒に送付してROMの記入内容チェックを受けます。問題がなければ日本の公証人役場でROMを公証し、他の書類と一緒にフィリピン大使館(市民登録課/ROM)宛てに送付します。
必要書類
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実務上の注意点:ROM(フィリピン側への婚姻届出)は日本側の婚姻成立後に行う手続きですが、提出書類や手続き方法が変更になることがあります。提出前に必ずフィリピン大使館の最新情報を確認してください。
提出書類については事前に大使館に確認してください。部数や必要書類が変更になる場合があります。

必要書類サマリー(日本方式)

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フィリピン方式:フィリピンから先に国際結婚手続きを進める
フィリピン人の方が現地にお住まいの場合、または日本人がフィリピンへ渡航して手続きを進める場合はこちらのパターンになります。
手続きの流れ:①日本人の婚姻要件具備証明書を取得 → ②マリッジライセンス申請・取得 → ③挙式・婚姻証明書取得 → ④日本側へ婚姻を届け出る

ステップ1:日本人の婚姻要件具備証明書を取得する
フィリピンにある日本大使館へ行き、日本人の婚姻要件具備証明書を取得します。申請・交付ともに日本人本人のみが行います。申請日の翌営業日(午後申請の場合は翌日午後)に英文で交付されます。
用意する書類
日本人に婚姻歴がある場合は、離婚証明書も日本大使館で作成します。戸籍謄(抄)本に前婚の婚姻・解消が記載されているか確認してください。 |
ステップ2:マリッジライセンス(婚姻許可証)を申請・取得する
フィリピン人がお住まいの市町村役場でマリッジライセンスを申請します。申請場所・地域によって必要書類が異なる場合がありますので、事前に提出先の役場に確認してください。
日本人の必要書類
フィリピン人の必要書類
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| コラム:婚前講座(PMOC)の受講
マリッジライセンス申請の前提として婚前講座 PMOC(Pre-Marriage Orientation and Counseling)の受講が必要な地域があります。市の保健局(Local City Health’s Office)に申し込み、受講済の証明書を申請時に提出します。 PMOCはPMO(結婚前オリエンテーションセミナー)とPMC(結婚前カウンセリングセミナー)に分かれます。PMOは年齢に関係なくすべての申請者が対象、PMCは18歳から25歳の申請者のみ対象です。 |
マリッジライセンスの申請が受理されると、10日間の公示期間があります。問題がなければマリッジライセンスが交付されます。有効期間は120日で、有効期間内に挙式を行う必要があります。
ステップ3:挙式を行い婚姻証明書を取得する
フィリピンで法的に婚姻を成立させるためには挙式が必要です。婚姻挙行担当官と成人2名の証人の面前で宣誓を行い、当事者と証人が婚姻証明書に署名します。
婚姻挙行担当官が婚姻証明書を認証することで婚姻が成立し、挙行地のフィリピン市町村役場に送付されて地方民事登記官により登録されます。登録完了後、挙式場所またはフィリピン人の居住地の市民登録所(Local Civil Registry)で婚姻証明書を受け取れます。

ステップ4:日本側へ婚姻を届け出る
フィリピンにある日本大使館または日本の市区町村役場に婚姻届を提出します。
用意する書類
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必要書類サマリー(フィリピン方式)
| コラム:主な略語一覧
ROM:婚姻届出書(Report of Marriage) |
国際結婚後は配偶者ビザの申請へ
婚姻手続きが完了したら、次はフィリピン人配偶者が日本で暮らすための配偶者ビザ(在留資格:日本人の配偶者等)の申請が必要です。
配偶者ビザの申請は、国際結婚の手続きとは審査の性質が全く異なります。婚姻の成立を証明するだけでなく、交際経緯や生活状況を具体的に説明する書類を揃える必要があります。書類の不備や交際経緯の説明が不十分な場合、国籍を問わず不許可になることがあります。
すでに日本に在留資格をお持ちの方は在留資格変更申請、フィリピンから呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請の手続きになります。いずれの場合も、婚姻手続きの段階から書類の整合性を意識して進めることが、後の配偶者ビザ申請をスムーズにするうえで重要です。
詳しくは配偶者ビザ申請ガイドをご覧ください。
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[この記事の執筆者] 行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |




