(2024年9月更新)
中国人女性と結婚して日本で一緒に暮らす場合、多くの方は配偶者ビザを申請します。
このビザの取得には、日本と中国それぞれの法律に基づき、国際結婚が成立していることが必要です。
配偶者ビザの申請に必要な結婚証明する書類、結婚証明書の取得を目指して手続きを進めます。
しかし、日本と中国での婚姻手続きは非常に複雑で、書類の準備に苦労される方も少なくありません。
この記事では、国際結婚の手続きの流れや必要書類についてわかりやすく解説し、さらに特に重要な「婚姻要件具備証明書」が中国側で発行されない場合の対処法についても丁寧に説明します。
また、日本で婚姻が成立した後に必要な中国側の手続きについても、中国の戸口簿のサンプル画像を用いながらわかりやすく解説します。
中国人との国際結婚手続きガイド
こんにちは。東京・新宿御苑近くで、中国人との国際結婚手続きや、日本での配偶者ビザ申請サポートを行っているフィラール行政書士事務所です。
まずは、中国人の方とのご婚約、おめでとうございます!この記事をお読みの方は、国際結婚の手続きや必要書類についてお悩みではないでしょうか?
「いろんなサイトを調べてみたけれど、何が正しいのかよくわからない…」
「日本と中国、どちらの手続きを先に進めればいいの?」
そんな疑問を抱えた方も多いと思います。
実際、国際結婚の手続きは煩雑で、書類の準備に手を焼く方が少なくありません。特に、婚姻要件具備証明書が発行されないケースなど、対処法がわからずに困ってしまうこともあります。
この記事では、
- 日本と中国で国際結婚を成立させるための具体的な手続きの流れをわかりやすく解説
- 「中国から先に進める方法」と「日本から先に進める方法」との違い
を詳しく説明します。
手続きには、一人で行えるものと、必ず二人で行わなければならないものがあります。どちらに該当するか、注目してお読みください。
コラム:中国人と日本人の国際結婚のデータ
・2020年に結婚したカップルのうち日本人と中国人の組み合わせが3022組でした。国際結婚に占める中国人との結婚の割合は19.6%弱となっています。 ・中国・日本人カップルの居住地域では多い順に東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県の順となっており、大都市部に集中しています。 |
国際結婚の手続きはどちらが先が良いか?中国それとも日本から
中国と日本どちらから国際結婚の手続きを進めたらいいのでしょうか。はい。中国、日本どちらから先にはじめても構いません。
多くの場合ですと中国人の方が今日本に住んでいるのなら、日本から先に進めるのが良いでしょう。中国に中国人が現在住んでいるのなら、中国へ行くことをお勧めします。
しかし中国人、日本人それぞれみなさま方で、いろいろな事情があり状況が異なります。だから一概には、どちらが良いとは限らないのです。
まとめ:国際結婚をどちらの国から始めるか
国際結婚は日本と中国どちらから先に進めても構いません。それぞれの事情を考えて進めましょう。中国から先に婚姻手続きを行うと中国側の結婚証明書の入手できます。 |
日本から先に結婚手続きを行う場合
日本から先に中国人との国際結婚の手続を進める場合の流れと必要な書類を説明いたします。
まずお相手の方が中国の法律の要件をみたして結婚が可能であるという証明書が必要です。
婚姻の要件を備えているという意味で「婚姻要件具備証明書」と呼ばれています。
中国人の方の婚姻要件具備証明書
日本の役所に婚姻届を提出するために、中国人の「婚姻要件具備証明書」の取得します。というのが今までの流れでした。しかし、中国人についての「婚姻要件具備証明書」が中国側で発行されなくなりました。
中国人の婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類の取得方法を次に説明します。
中国人が日本に住んでいる場合と海外に住んでいる場合で手続きの進め方が少し異なります。
中国人が日本在住の場合
日本にある、在日本中国大使館・領事館で「无配偶声明書」を取得します。これが「婚姻要件具備証明書」に相当する書類です。
「无配偶声明書」の取得について
中国人の方が無配偶者宣言を行い公証書を入手します。中国大使館へは本人が出向き申請します。代理での取得はできません。
・窓口担当者の前で、当日の日付および記入します。
・宣言書を読んでサインをします。
このあと「无配偶声明書」を入手します。
交付をうけた「无配偶声明書」を市区町村の役所に婚姻届と一緒に提出します。
「无配偶声明書」取得のための必要書類 ・パスポート(写真付きページコピー)原本 ・在留カード原本コピー(または3ヵ月以内に取得した住民票) ・申請書離婚された方については以下の書類も必要です。 ・離婚証明書の原本およびコピー 日本で離婚した場合 3ヶ月以内の離婚受理証明書 日本人との離婚の場合 3ヶ月以内に発行された戸籍謄本の原本 |
在留カードを持っていない方に大使館は「无配偶声明書」を発行しません。
中国人が現在中国に住んでいる場合
日本に短期滞在で入国してる中国人の方に対しては、中国大使館では原則「无配偶声明書」の公証対応をおこなっていません。
在留カードをもっていない短期滞在ビザで日本に入国した方は、大使館で「无配偶声明書」の交付されないということです。
したがい日本で中国人との国際結婚にあたり婚姻届を出す際に、中国より婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類を準備します。
- 婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類
中国の公証処で「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」を入手します。
まとめ:婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類とは
日本で婚姻届出と一緒に必要な婚姻可能であるという証明書 ・日本に住んでいる中国人 ⇒「无配偶声明書」を取得 ・中国に住んでいる中国人 ⇒「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」 |
婚姻届の提出で日本側の婚姻手続が完了
日本の市町村役所に婚姻届を提出します。
婚姻届出に用意する書類
无配偶声明書が発行されない方は「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」
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婚姻届けを提出したら、市町村役場から婚姻届記載事項証明書を取得します。
中国の書類の日本語への翻訳書類の作り方
市区町村役場に中国人の无配偶声明書や未婚声明書公証書あるいは無婚姻登記記録証明書などを提出する場合は、必ず日本語の翻訳文が必要です。翻訳の書式は決まっていません。中国で発給時に日
本語に翻訳を行うところもあるようです。どなたでも翻訳して構いません。
必ず翻訳した日付、翻訳した人の名前、翻訳者の住所を記載します。
たまに原本に書いてしまう方がいらっしゃいますが、別の新しい紙で翻訳書類を作成するか、もしくは原本のコピーをとってそれにボールペンなどで翻訳文を書くとよいでしょう。この場合でも翻訳した日付、翻訳した人の名前、翻訳者の住所は必ず記載するようにします。
中国側の報告的婚姻手続
改めて婚姻手続きを行うことはありません。
中国側で、中国人配偶者の戸籍(居民戸口簿)を未婚から既婚へ変更の手続きを行う必要があります。
・戸口簿の中の個人カード イメージ
忘れずに必ず行わなければならない手続きです。
変更の手順は次の通りです。
・日本の市町村役場で婚姻手続きの時に「婚姻届受理証明書」を入手します。
・「婚姻届受理証明書」、外務省と在日本中国大使館(または総領事館)でそれぞれ認証を受けます。中国での提出先(派出所)によっては、中国語の翻訳文が必要な場合があります。
・この書類を中国人配偶者の戸籍所在地にある「派出所」に提出します。
これで居民戸口簿が未婚から既婚へ変更されました。
以上で中国側も婚姻手続きが完了します。
中国で先に結婚手続きを行う場合
中国から先に結婚手続きを進める場合、日本人の婚姻要件具備証明書が必要となります。
日本人の婚姻要件具備証明書
中国から先に結婚手続きを進める場合は日本人の婚姻要件具備証明書を準備します。
婚姻要件具備証明書の取得にはふた通りの方法があります。日本から「日本人」の婚姻要件具備証明書を用意して中国へ渡航するか、あるいは中国にある日本大使館で「日本人」の婚姻要件具備証明書を取得します。
日本から中国へ婚姻要件具備証明書を持ち込む場合
婚姻要件具備証明書は 法務局で発行したものを用意します。
日本人の婚姻要件具備証明書は、戸籍事務を扱っている法務局、地方法務局やその支局および本籍地の市町村役場で取得できます。
中国の場合は、戸籍事務を扱っている法務局、地方法務局やその支局でないと認めていないようです。
婚姻要件具備証明書を入手したら、日本の外務省でアポスティーユ認証を受けます。
以前は日本の外務省の認証、その次に日本にある中国大使館(又は中国総領事館)の認証を東京 虎ノ門にある中国ビザ申請センターで行っていましたが、2023年にハーグ条約の加盟国となり日本の外務省の「アポスティーユ」だけで中国側への提出が可能となりました。(2023 年 11 月7日より)
婚姻要件具備証明書は中国語訳を行った書類が必要です。中国にある現地の翻訳会社(注:婚姻登記処において紹介があるようです)で翻訳します。
中国にある日本大使館・総領事館で発給の場合
日本人の婚姻要件具備証明書を中国にある日本大使館・領事館で発行してもらう場合は、日本で取得する場合と異なり外務省のアポスティーユは不要です。また中国語への翻訳書類も不要です。
大使館等で日本人の婚姻要件具備証明書の取得のために用意する書類
本人(日本人)
ご結婚相手の方(中国人)
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大使館・領事館によっては二人で行かなくても、日本人だけで構わないところもあるようです。
中国側での婚姻届出
中国人の戸籍所在地の省、市の人民政府が指定する婚姻登記機関である渉外婚姻登記処に、おふたりで行き婚姻登記手続きを行います。戸籍所在地とは、お相手の中国人がもっている居民戸口簿が作成された市や区のことです。その市や区にある渉外婚登記処へ行かなければなりません。
審査結果に問題がなければ、結婚証明書が発行されます。これで中国側の婚姻手続きが完了します。
用意する資料については、事前にお相手の中国人の方に現地の登記処へ確認してもらってください。
婚姻の届出のために用意する書類
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結婚公証書を入手したら中国側の婚姻手続きは完了です。
日本側での婚姻の報告的手続
中国側の手続きが完了したら、次は日本大使館に行き婚姻手続きを行います。中国で入手した結婚公証書を日本に持ち帰り、市町村役場に提出することも可能です。日本で婚姻手続きを行うために結婚公証書を忘れずに中国から持ち帰ってください。
在中国日本大使館に婚姻届出の場合
このまま中国に滞在する方は日本大使館に婚姻の届出を行うことができます。
中国にある日本大使館などで婚姻届出に必要な書類
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結婚公証書、国籍公証書は、中国人配偶者の戸籍所在地の公証処で取得します。日本語訳は「作成年月日」と「翻訳者氏名」を記入します。
日本の市町村役場に婚姻届を提出するときの必要書類
こちらの方が手続きは早く済みます。日本人の方が、日本に戻る場合はこちらを選択します。
日本の市区町村役所に婚姻届を出す場合の必要な書類
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中国の公証書を日本の役場に提出する場合は、必ず日本語の翻訳文書を添付します。様式はどういう形式でも構いません。また日本の市区町村の役所に提出するときは、誰が作成して良いです。日本語に訳した文書は「作成年月日」と「翻訳者氏名」、「翻訳者の住所」を記入します。
注意点は、原本に直接翻訳文を書き込まないことです。白紙を用意して翻訳文を作成するか、中国語の書類をコピーして、コピーした文書に翻訳文を書き込むとよいでしょう。この場合も必ず作成年月日、翻訳者氏名、翻訳者の住所を記入します。
以上で婚姻手続きが完了します。
日本国で先に婚姻手続きを行う場合も、中国で先に行う場合も、手続きの提出先によって提出する資料が異なる場合があります。現地での提出先や日本の役所等に必ず確認を行ってください。
中国と日本お互いの国で婚姻が成立したら次はいよいよ日本で暮らす配偶者ビザの申請手続きです。
中国での婚姻届出のまとめ
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次は中国人の方と日本で暮らすための手続き(配偶者ビザの申請)
いかがでしたでしょうか。婚姻手続きは時間がかかります。申請について慣れていない方が行うと、一日仕事になったり、二度手間になったりと、労力のわりに時間がずいぶんかかってしまいます。
一方で中国の役所の書類入手などの手続きにも思った以上に時間がかかることがあります。大変なストレスになってしまうかもしれません。中国にいる、ご両親などに書類を入手してもらうにしても、きちんと伝えないと違った書類が届いたりします。
日本で一緒に暮らす事を決めた場合は、この後にさらに大きな手続きが待っています。お相手の中国人の方が日本で暮らすためのビザの手続きですね。
また、すでにビザを持っていて日本に滞在してる中国人の方もビザの変更となる場合あるかもしれません。配偶者ビザの申請については、必要な書類は結婚手続きの書類の準備の時にうまく一緒に集めていくのが効率的です。
お二人に手続きに関して気になる事やお悩み事がある場合……webでいろいろ調べていくとだんだん心配になってきますよね。
手続き面のことで、なんとかご自身だけで対応しようとする方もいらっしゃいますが、答えがわからず、難しいこともあるかもしれません。そういった時は、しっかり話を聞いてくれて問題解決できる専門家にお任せすることが良いでしょう。
中国人の配偶者の方と日本で暮らす配偶者ビザ取得にむけて
お二人がつつがなく婚姻の手続きを終えて、次は日本で暮らすための配偶者ビザを取得する手続きです。配偶者ビザはお客様の状況によって難易度、許可となる可能性が変わってきます。
中国人の配偶者で不許可リスクのある方はこのような方
次のような方は不許可のリスクが高くなる傾向にあります。
- 国際交流サイトやマッチングアプリで出会いました
- 中国人女性に日本人と離婚歴のある場合
- 年の差婚
このような方の場合、慎重に書類の準備を進める必要があります。確実にビザを取得するためには、自分たちで配偶者ビザの取得を行う事よりも、専門家に依頼することをお勧めします。
このあとの記事は当事務所の配偶者ビザのサポートについての紹介リンクです。よろしければご検討してみてください。
地方出入国在留管理官署 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化申請 保有資格:申請取次行政書士
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