(2024年9月更新)
時々このようなお問い合わせを日本人男性からいただくことがあります。
日本に住んでいる中国人女性と国際結婚と配偶者ビザの手続きについて教えてください。
彼女には4カ月前に日本人男性と離婚の経歴があります。 結婚手続きはどう進めたら良いでしょう。在留期限は6カ月後です。 |
この記事について、Q&A形式で解説します。
離婚歴のある中国人との結婚の進め方
日本で中国人と結婚するとき、日本の役所へ届出が必要です。
日本人のカップルと同様に婚姻届を提出します。届出を行うときに、お相手の中国人に関係する書類も一緒に提出します。
・市区町村役場へ婚姻届を提出
中国人に関係する書類は次のような書類です。
離婚された方
日本で離婚した場合 離婚届受理証明書 中国で離婚した場合 離婚公証書 など |
Q:无配偶(单身)声明書はどこで取得しますか? |
日本に住んでいる中国人のかたですと、中国大使館で无配偶(单身)声明書を取得します。
次に日本にある7つの中国の大使館・領事館を記載しています。担当地域も記載しましたのでご確認してください。
・日本にある中国大使館・領事館
中国駐日本大使館 | 東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,長野県,山梨県,静岡県,群馬県,栃木県,茨城県 |
中国駐大阪総領事館 | 大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,和歌山県,滋賀県,愛媛県,高知県,徳島県,香川県,広島県,島根県,岡山県,鳥取県 |
中国駐名古屋総領事館 | 愛知県,岐阜県,福井県,富山県,石川県,三重県 |
中国駐福岡総領事館 | 福岡県,佐賀県,大分県,熊本県,鹿児島県,宮崎県,沖縄県,山口県 |
中国駐長崎総領事館 | 長崎県 |
中国駐札幌総領事館 | 北海道,青森県,秋田県,岩手県 |
中国駐新潟総領事館 | 新潟県,福島県,山形県,宮城県 |
つぎの書類を中国大使館に提出します。
・必要書類
離婚された方は、つぎの書類も必要です。
日本で離婚した場合 離婚届受理証明書(3ヶ月以内の発行のもの) 中国で離婚した場合 離婚公証書 |
Q:妻の中国人の書類の準備について注意しておくことは何かありますか? |
日本で離婚が成立していても、中国側の戸籍(戸口簿)に反映されていない方がいます。この場合、中国側の離婚公証書などの発行が難しくなってしまっている方がいます。
中国と日本の離婚の仕組みを理解するのは、とても大事です。
日本の離婚届受理証明書を取得して、そのあと中国側へ報告的届出による離婚手続きという方法は中国の制度にはありません。
しかし何も中国側の手続きをおこなわないと、中国の戸籍、戸口簿は既婚のままとなっています。
したがい、日本でだれと離婚した、離婚の届出をいつ行ったかという公的書類を提出して、戸口簿の記載事項、既婚の状態を変更することにより、日本側の婚姻届に必要な書類が入手できるかということを中国側と確認しながら進めていきます。
離婚による戸口簿の変更は地域によっても、申請の方の離婚手続きの状況によっても異なります。記載していることと異なることもありますので、現地の提出先に確認をとりながら慎重に行う必要があります。
日本で離婚届による離婚手続きが完了したケース
日本で協議離婚によって離婚手続きを行った場合も中国側で離婚が承認されます。これは中国側での効力があるという意味です。
「中国法では協議離婚はみとめられ、離婚については法定地法を採用していることから外国での協議離婚は当然に承認される。離婚手続地たる外国での公証と在外中国公館での認証が必要である。」(1)
(1)出典
(中国の渉外家事実務と日本 : 黄 討 靭窪 じんてい 帝塚山大学法政策学部准教授)
Q:認証手続きとはなんでしょうか? |
まず、日本で発行された公文書をそのままでは、中国の役所への提出はできません。中国語への翻訳文書を用意します。離婚届受理証明書が正規に発行されたものかどうかを証する、認証を行う手続きを行います。
離婚届受理証明書について外務省公印確認を受けた後、在日本中国大使館・領事館で領事認証を受けます。中国語に翻訳した文書と一緒に中国に持ち込んで公安派出所にて婚姻状況を既婚からの変更手続きを行います。
中国人が中国に渡航しなくても変更手続きが可能かどうか、本人ではなく両親等が申請可能かどうかは派出所に事前に必ず確認します。
配偶者ビザ[在留資格 日本人の配偶者等]の取得について
つぎに今持っている配偶者ビザについて説明します。
Q:中国人の配偶者ビザについてはどうすれば? |
離婚して、何カ月でしょうか?
Q:6カ月前です。 |
配偶者に関する届出は出しましたか?
それはなんでしょうか。
配偶者関係の消滅に関する届出のことです。日本人と結婚している配偶者ビザ、在留資格「日本人の配偶者等」を持っている方が日本人と離婚、死別となった場合は、14日以内に入管に届出が必要です。
行っていないようです。
罰則の対象になりますよ。さらに在留資格の申請を行うときに在留状況が良くないと判断される可能性もあります。いずれにしても次の申請のときに不利になりますので、すぐに届出を行いましょう。
これからどうすれば……。
今のままではあと2か月で在留資格の取消対象となります。再婚する予定でしたら、すぐに結婚手続きを行うことを進めてください。
日本に住んでいますので、日本側から婚姻手続きを進めると良いでしょう。
離婚して4か月ですが婚姻届を受け付けてもらえますか?
以前の日本の民法では、離婚後100日間経過しないと結婚できませんでした。この例の場合、すでに120日過ぎていますので受け付けてもらえしたが、ずいぶん不合理な制度でしたね。
この制度は民法の改正によって令和6年4月より廃止されました。
民法等の一部を改正する法律について
2022年12月10日法成立 ⇒2024年(令和6年)4月1日から施行されます。
離婚の日から300日以内に生まれた子であっても その間に再婚した場合は再婚後の夫の子と推定する。
嫡出推定規定が見直されたことにより父性推定の重複がなくなるため再婚禁止期間が廃止されます。 |
中国から先に結婚を進める場合は、中国では再婚禁止期間がありません。
今の在留資格はどうなりますか。
再婚しないまま離婚のときから6カ月経過すると、在留資格の取消対象となります。
あまり日にちがないようですね。いそいで再婚手続きを進めたほうが良いですよ。
進め方をざっくりと説明しますね。
日本の役所で、中国人との離婚が記載されている前夫の「戸籍謄本」を取得します。この「戸籍謄本」をもって中国大使館で「无配偶声明書」を取得します。
「无配偶声明書」などの書類を用意できたら日本の役所で結婚を届けます。これで再婚が成立しました。
在留資格の更新時に在留ビザの手続きを行います。この場合は在留期間更新許可申請となります。
申請について気を付けるところはありますか?
前回の離婚の理由と今回の結婚の経緯は理由書で、きちんと説明する必要があります。大変難しいところだと思います。慎重に説明して偽装結婚ではないことを証明しなくてはなりません。
配偶者ビザのフィラール行政書士事務所のサポート内容は次の記事でご確認ください。よろしければ検討してみてください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化申請 保有資格:申請取次行政書士 |