(2024年6月更新)
イギリス人との国際結婚では、日本で先に婚姻届を出す時に、イギリス人の宣誓書が必要です。先に日本で婚姻が成立した後、イギリス側の婚姻手続きは特にありません。
イギリスで先に結婚手続きを行う場合は、日本人の婚姻要件具備証明書が必要です。イギリスの地元の登記所で「結婚の通知」という手続きを行い29日後に結婚式を行います。結婚式が終わって、結婚証明書が入手できます。
・コラム 日本で暮らすイギリス人
日本に暮らすイギリス人は2022年では16,364人で2012年に比べ約10パーセント増加しています。 日本人配偶者等の在留資格を持っているイギリス人は2022年は2825人で2012年に比べ約11%増加しています。 日本で出会って結婚するカップルも増えているのかもしれません。 出典:出入国在留管理庁の在留外国人統計より中長期の在留資格保有人数について当事務所で集計 |
外国人と日本人の夫婦が日本で一緒に暮らすために配偶者ビザの申請を行う場合、重要な条件の一つとして日本とイギリスの両国で婚姻が成立していることがあります。ここではイギリス人との国際結婚手続きの流れと必要な書類を説明します。
イギリス人との国際結婚
まず結婚に関する法律について大事なところを説明いたします。
結婚に関する法律
婚姻適齢年齢
婚姻が可能な年齢を婚姻適齢年齢といいます。イギリスでは婚姻適齢年齢は男女とも18歳、両親の同意があれば16歳です。
日本では男女ともに18歳に民法が改正され2022年4月より施行されました。
この場合、それぞれの国の法律でのきめられている年齢を満たせばよいことになっています。イギリス人はイギリスの法律、日本人は日本の法律で定められている年齢を満たすことです。
再婚禁止期間
イギリスでは再婚禁止期間はありません。
以前、日本では離婚後に再婚を希望しても女性の場合は100日の再婚禁止期間がありました。
2024年4月に施行された改正民法により、日本における女性の再婚禁止期間(待婚期間)は撤廃されました。これにより、女性は離婚後すぐに再婚できるようになりました。
日本から先に結婚手続きを行う場合
イギリス人が法的に婚姻できる要件が備えているという書類が必要です。
イギリス人配偶者の「婚姻要件具備証明書」?
・日本にあるイギリスの大使館ではイギリス人の「婚姻要件具備証明書」CNI(Certificate of No Impediment)は 発行されなくなりました。
英国大使館に行き、領事の前で宣誓供述 を行い、Affirmation/Affidavit of Marital Status(婚姻届の宣誓書)を入手します。Affidavit of Marital Statusとは宗教的宣誓です。
領事部へ事前にアポイントメントが必要です。配偶者の英国人の方だけの訪問で構いません。また証人を用意する必要はありません。
必要な書類
・パスポート
・IDカード
・現住所を証明するもの(3カ月以内の公共料金の請求書など)
・出生証明書の原本(両親のフルネームと母親の旧姓が記載あること)
日本側の婚姻手続き
市町村役場に婚姻届けを提出します
必要な書類
・イギリス人の宣誓供述書(Affirmation/Affidavit of Marital Status)
・イギリス人配偶者のパスポート
・イギリス人配偶者の出生証明書(birth certificate)
・日本人の戸籍謄本
・上記イギリス人の宣誓供述書と出生証明書の和訳
市町村役場により必要な書類が異なる場合がありますので、かならず事前に提出する役場に必要な書類を確認してください。
イギリス側の婚姻手続き
イギリス側での届けは特に必要ありません。
イギリスで先に結婚手続きを行う場合
イングランドやウェールズの1年のうち結婚シーズンはいつでしょうか。2019年では8月がもっとも結婚する人気のある月でした。7月から8月が結婚のシーズンですね。では日にちではどうでしょうか。過去20年間のデータでは9月1日が最も人気のある日です。 出典:Office for National Statistics – Marriages in England and Walesより |
イギリス側での婚姻手続き
7日以上住んでいる地域の登記所で「結婚の通知」という手続きを行います。登記所は通常予約を取る必要があります。
「結婚の通知」(giving notice)の流れ
・まず結婚式の場所を決めます。
・予約した登記所( local register office )へ行き、婚姻する意思がある旨の法律上の「声明」を行い署名します。この時にどこで結婚式を行うか記載します。
「婚姻通知」は結婚式の29日前までに行う必要があります。通知後12カ月以内に結婚式を行なわなければなりません。
■必要な書類
・パスポート ・出生証明書 ・身分証明書 ・住所証明(有効な運転免許証、最近の公共料金の請求書など) ・ビザ(結婚ビジタービザ)フィアンセビザともいわれています。・挙式会場の詳細 |
そのほか写真など必要との情報もあります。事前に申告に訪問する登記所に問い合わせしてください。
結婚式
結婚式は「市民婚: civil ceremony 」と「宗教婚:religious ceremony」があります。
- 「宗教婚」
登録された宗教的建物であればどこでも結婚式を行うことができます。
権限のある宗教聖職者が出席して結婚登記を行います。
- 「市民婚」
結婚式は自治体が認めた登記式場(register officeany)で行います。ホテルや大邸宅などもあります。
登記係(registrar)が式を執り行います。登記係を式場側で手配してもらうか、ご自身で予約することも可能です。式では最低二名の証人が必要です。
式の後、当事者両名と登記官の署名、および証人二名の署名がされます。その後に結婚証明書(marriage certificate)が入手できます。
日本側での手続き
日本側での婚姻手続きは、日本に持ち帰って区市町村へ届出を行います。あるいはイギリスにある日本大使館に郵送などで提出します。
必要な書類
・婚姻届 ・婚姻証明書原本:(Register Office発行のCertified Copy of Marriage Certificate) ・上記の和訳文 ・日本人の戸籍謄(抄)本 (日本国籍者のみ) ・パスポート(イギリス人の場合は和訳したものが必要) |
届出により、日本側の婚姻手続きも完了です。
日本で暮らすための配偶者ビザ取得のポイント
まずしっかり理解すべきところ2つあります。
・「偽装結婚」ではないこと
うそやいつわりがなく、まじめな意思をもってお互い助け合って共同生活を営むことです。真実の愛情による結婚であることを書類をもって証明します。
・継続的に生計が維持できるでしょうか
安定した婚姻生活を継続できる経済的基盤がないと許可はかなり厳しくなります。
他にもありますが、特にこの2点をしっかり理解して資料を準備して申請を行ってください。虚偽の申請は絶対に行ってはならないことです。
当事務所での配偶者ビザ申請サポートの流れなどは以下の記事を確認してください。
よろしければ、ご検討してみてください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
参考リンク
外務省ホームページ(日本語):トップページ (mofa.go.jp)