(2026年5月更新)
パキスタン人との国際結婚を調べ始めると、パキスタン固有の疑問にぶつかります。実際、こうした疑問を抱えてひとりでいろいろと調べても、混乱するばかり。
この記事では、パキスタン人との国際結婚で特につまずきやすい2点——宣誓供述書の取得とイスラム教の宗教婚(ニカ)——を中心に、日本先行・パキスタン先行それぞれの手続きの流れを、申請取次行政書士がわかりやすく解説します。
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もくじ
婚姻要件具備証明書とは
国際結婚の手続きを進めるとき、まず理解して用意しなければならない書類が「婚姻要件具備証明書」です。
日本人同士の結婚の場合は婚姻届を書いて役所に提出するだけで手続きは完了しますが、国際結婚となると話が違ってきます。外国の方が婚姻届を持って役所に行っても、役所の担当者はその方が「法律上、結婚できる状態かどうか」を判断する書類が必要になります。
婚姻要件具備証明書とは、その国の当局が「法律上の婚姻の条件を満たしている」と公的に証明する書類です。日本人の婚姻要件具備証明書には「独身であって、かつ婚姻能力を有し相手方と結婚するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する」といった記載があります。
ところがパキスタンでは、この婚姻要件具備証明書を発行していません。
そのため、代わりの書類として「宣誓供述書」を取得します。この点が、パキスタン人との国際結婚で最初のつまずくポイントです。
日本から先に結婚手続きを行う場合
日本在住のパキスタン人の方と結婚する場合など、日本側から手続きを始める流れです。
必要書類チェックリスト(日本先行)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| ☐ 婚姻届 | 市区町村役場の窓口で入手 |
| ☐ 宣誓供述書(パキスタン人) | パキスタン本国で取得・在日パキスタン大使館で認証 |
| ☐ 宣誓供述書の日本語訳文 | 翻訳者の氏名を記載 |
| ☐ 申述書 | 提出先の市区町村役場で様式を確認 |
| ☐ 出生証明書(パキスタン人) | 国籍を証明する書類 |
| ☐ 出生証明書の日本語訳文 | 翻訳者の氏名を記載 |
提出先の市区町村役場によって必要書類が異なる場合があります。事前に役場に確認してください。
宣誓供述書について
宣誓供述書はパキスタン本国で取得します。取得後、日本にあるパキスタン大使館で認証を受けます。宣誓供述書には、パキスタン人が独身で結婚にあたり法的などんな障害がないことを両親・近親者が宣言する内容が記載されます。
申述書について
申述書はパキスタン人について「~と婚姻届出するにあたり、婚姻要件具備証明書を提出しなければならないところ、かかる証明書の交付を本国当該官憲から発給を受けることが困難な事情にあります。しかし、この届出をするにあたり、本国法上いかなる支障もなく現在独身であり、他に(夫/妻)がいないことを証明します。」の旨を申述する書類です。役所に様式が用意されている場合もあります。書き方等について提出先の市区町村役場に確認してください。
日本での婚姻届提出後:パキスタン側の手続き
日本の市区町村役場で婚姻届が受理されたら、次はパキスタン側の手続きです。
①日本のモスクでニカ(宗教婚)の婚姻証明書を取得
日本国内のモスクでイスラム教の宗教婚(ニカ)を行い、婚姻証明書を取得します。必要書類や手続きはモスクによって異なりますので、手続きを行うモスクで事前に確認してください。
モスクに持参する書類の例:
- 日本の市区町村役場での婚姻届受理証明書
- 双方の写真・パスポート
- 証人2名
②パキスタン大使館での手続き
日本にあるパキスタン大使館で婚姻手続きを行い、婚姻証明書を取得します。
大使館への提出書類の例:
- モスクの婚姻証明書
- パスポートのコピー
- 戸籍謄本のコピーおよびその翻訳文(日本外務省の認証付き)
- 婚姻届受理証明書およびその翻訳文(日本外務省の認証付き)
必ず事前にパキスタン大使館へ手続きと必要書類を確認してください。

日本先行ルートのまとめ
| ①宣誓供述書・申述書を準備 → ②日本で婚姻届提出 → ③モスクでニカ → ④パキスタン大使館で婚姻証明書取得 |
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パキスタンから先に結婚手続きを行う場合
パキスタンに渡航してパートナーと現地で結婚する場合の流れです。
日本人の婚姻要件具備証明書の取得
パキスタン先行の場合は、日本人側の婚姻要件具備証明書が必要です。在パキスタン日本大使館で申請者本人が取得します。申請の翌日に交付されます。
必要書類:
- 申請書(大使館に備付・記入例は大使館ホームページに掲載)
- 戸籍謄(抄)本の原本(3か月以内のもの・日本から持参)
- パスポート
パキスタンでの婚姻手続き(裁判所婚:Court Marriage)
パキスタンの婚姻は、宗教婚、裁判所での婚姻、それ以外にもあり複雑です。この記事では配偶者がイスラム教徒で裁判所で婚姻を行う場合を紹介いたします。
※地域や裁判所によっても手続きが異なりますので、事前に裁判所へ確認してください。
裁判所(地方裁判所)でニカーと呼ばれる婚姻儀式を行います。ニカーとは、近親者の立ち合いのもとニカーナマ(婚姻契約書 / Nikahnama)に新郎新婦が署名する公的結婚儀式です。裁判所が結婚証明書を発行するわけではありません。
必要書類チェックリスト(パキスタン先行)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| ☐ 有効なCNICまたはパスポート(パキスタン人) | どちらも持っていない場合はMatriculation certificateまたはForm ‘B’ |
| ☐ パスポート(日本人) | |
| ☐ 婚姻要件具備証明書(日本人) | 翻訳文・アポスティーユ認証付き |
| ☐ 戸籍謄本(日本人) | 翻訳文・アポスティーユ認証付き |
| ☐ 新婦の宣誓供述書 | |
| ☐ 新婦側が2度目の結婚の場合:死亡証明書または離婚証明書 | |
| ☐ 新郎側が2度目の結婚の場合:最初の妻の許可書または調停委員会の許可書 | |
| ☐ 写真 | |
| ☐ 証人2名 | 手続き当日に必要 |
ニカーナマの登録とNADRA婚姻証明書
手続きの後、ニカーナマを地域の結婚登録官が登録します。登録後にUnion CouncilやTMA OfficeでNADRA(国民認証システム)による電子化された婚姻証明書(NADRA Marriage Certificate)を取得できます。
日本側への婚姻届(報告的届出)
パキスタン側の手続きが完了したら、日本側にも婚姻届を提出します。在イスラマバード日本大使館または在カラチ日本総領事館、あるいは帰国後に日本の市区町村役場でも届け出が可能です。
提出書類:
- 婚姻届
- パキスタン側の婚姻証明書(原本)およびその日本語訳文
- パキスタン国籍配偶者の国籍を証明する書類(出生証明書等の原本)およびその日本語訳文
- 戸籍謄(抄)本:2部
日本語訳文はどなたが訳しても構いません。翻訳者の氏名を記載してください。

パキスタン先行ルートのまとめ
| ①日本大使館で婚姻要件具備証明書取得 → ②パキスタンで裁判所婚(ニカー) → ③ニカーナマ登録・NADRA証明書取得 → ④日本側に婚姻届(報告的届出) |
配偶者ビザの申請について
両国での婚姻が成立したら、次はパキスタン人配偶者が日本に住むための配偶者ビザ(在留資格:日本人の配偶者等)の申請です。必要書類や審査のポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
よくある質問
パキスタン人が日本に来てから結婚手続きができますか?
はい、できます。パキスタン人の方が観光ビザなどで来日している間に日本先行ルートで婚姻届を提出することは可能です。ただし、日本で暮らす場合には配偶者ビザなどの在留資格を取得する必要があります。
配偶者ビザの審査にはどのくらいかかりますか?
標準処理期間は1〜3か月程度ですが、審査状況によって異なります。書類の不備があると追加資料の提出を求められ、さらに時間がかかることがあります。
配偶者ビザが不許可になることはありますか?
あります。婚姻の実態が書類で証明できない場合は不許可の可能性が高いです。また交際期間が短い場合、年齢差が大きい場合などに審査が厳しくなることがあります。理由書の作成や書類の準備方法がわからない方、お二人の事情に心配なことがある方はご相談ください。
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[この記事の執筆者] 行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |









