配偶者との離婚・死別があった場合
届出が必要
「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている方が離婚した場合、事由が生じた日(離婚・死別した日)から14日以内に法務大臣(実際には地方出入国在留管理局)へ届け出を行わなければなりません。これを怠ったばあいは罰則の対象となります。また行っていないと、在留資格変更許可申請を行う場合に、在留状況が不良と判断され不利になる可能性があります。
日本で正規に滞在している外国人には、一人につき一つの現在の在留活動の状況にあった「在留資格」を持っています。ところが、離婚した場合に取得している在留資格が身分系の資格の場合は該当しなくなります。
たとえば、雇用している外国人のお相手が「日本人」の場合、この場合の在留資格は「日本人の配偶者等」となっている場合、離婚すると、この在留資格は該当しなくなります。
ビザの変更申請
届出に加え、早めのビザの変更申請が必要です
「日本人の配偶者等」の在留資格をもっている方が離婚した場合は、他の在留資格へ変更申請が許可されない限り、日本に在留することができません。「日本人の配偶者等」の在留資格は、配偶者としての活動を継続して6カ月以上なされないとこの資格は取消となるからです。
日本で生活を継続するばあいは、できるだけ早く在留資格の変更手続許可申請もしくは永住許可申請を行わなければ日本に暮らすことができなくなります。どちらが該当するでしょうか。
「日本人の配偶者等」の在留資格をもっている方のお相手の方と死別した場合、同様に在留資格は該当しなくなり、引き続き日本で暮らす場合、在留資格の変更許可申請を行う必要があります。取り消しとなる6カ月も同様です。
「定住者」の在留資格
一般に「離婚定住」と呼ばれるものです。
許可の要件
・日本で、おおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる方
・生計を営むに足りる資産と技能を有すること
・日本語の能力をもち、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
・公的義務を履行しており又は履行が見込まれること
となっています。
また離婚の経緯の理由や事情を説明することはこの許可の取得には大事です。DVの被害を受けていたことを証明できる場合、より「定住者」の在留資格を取得する可能性が高くなります。
日本人との間に子供がいる場合
一般に「日本人実子扶養定住」といわれるものです。
配偶者の日本人との間に子供がいる場合の許可要件は、
①生計を営むに足りる資産と技能を有すること
②日本人との間に出生した子を監護・養育しているものであって、次のいづれかにも該当すること
・日本人の実子の親権者であること
・現に相当期間実子を監護・養育していることが認められること
以上いづれにも該当することが要件です。
「離婚定住」であった、日本人との婚姻期間がおおむね3年に「満たない」場合でも、上記要件に該当すれば許可されることが多いです。
特に、この在留資格は子供が日本人父に認知されていれば、婚姻関係が無くても構いません。たとえば日本人の父親として、愛人である母親の外国人が出産した日本の実子を持つ場合も対象となります。
専門家へご相談を
変更については、どの在留資格が該当するかは、実際の所わかりづらいと思います。「技術・人文・国際業務」など就労系の在留資格に該当しない場合は、再婚が予定されていない限り「定住者」の在留資格を検討することになるかもしれません。定住者への変更は、いくつかの要件があります。
当事務所のような、行政書士でビザの専門家に相談することをお勧めいたします。
◆在留資格が取り消しとなるとどうなるか
在留資格の取り消しに関しては、平成24年7月 法務省入国管理局資料より「配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことに正当な理由がある場合等在留資格の取消しを行わない具体例について」として
以下の場合は「正当な理由」として取り消しを行なわない具体例を挙げています。
以下資料より抜粋します。
・相手からの暴力、DV(ドメスティック・バイオレンス )の場合で一時的に避難又は保護を必要としている場合
・ 子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合
・本国の親族の傷病等の理由で,再入国許可(みなし再入国許可を含む )による長期間の出国をしている場合
・ 離婚調停又は離婚訴訟中の場合
また、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している場合であっても,日本国籍を有する実子を監護・養育しているなどの事情がある場合には,他の在留資格への変更が認められるばあいがあります。
以上資料より(抜粋)
なお、「日本人の配偶者等」の在留資格をもっている方が離婚した場合で別の日本人と結婚した場合は「在留資格変更手続」ではなく「在留資格更新手続」です。もっとも提出する資料は変更の場合と同様です。「永住者」と婚姻した方が離婚して別の「永住者」と結婚した場合や「定住者」と結婚した方が離婚して別の「定住者」と結婚した場合も同様です。