(2024年6月更新)
配偶者ビザなどの申請をサポートを専門に行っているフィラール行政書士事務所の代表が、国際結婚の時のビザの変更について説明します。
日本人と結婚した外国を日本に呼び寄せて日本で暮らす場合、多くの方は「日本人の配偶者等」の在留資格をもって日本で滞在するのではないでしょうか。配偶者ビザとも呼ばれています。
すでに何らかの仕事で日本に長期滞在している外国人が日本人と結婚した場合就労系のビザから配偶者ビザへの変更が必要なのでしょうか?
就労系のビザから配偶者ビザへの変更(在留資格変更許可申請)
日本にいる中国人女性のAさんからの問い合わせです。
日本の会社に勤めて5年たちました。職場の同期の日本人男性と結婚することになったのですが、いまのビザを変更する必要があるのでしょうか。忙しいし面倒なんですけど…… |
Aさんは日本の大学を卒業して東京の会社に就職しました。がんばっていると聞いていましたが。どうやら結婚するようです。月日のたつのは早いです。
Aさんの質問について、Q&Aの形式で説明します。Aさんの質問はオレンジ色の文字です。
Aさん:今度結婚することになりました。同じ会社の日本人です。
Y行政書士:おめでとうございます。この前就職したと思ったのに、あっというまですね。
Aさん:はい入社して5年たちました。結婚したら配偶者のビザに変えるのでしょ?仕事いそがしくって。面倒です。
Y行政書士:今のビザ、技人国ですよね。在留期間は何年でしたっけ。
Aさん:3年です。
Y行政書士:日本人と結婚した場合、配偶者ビザを考える方は多いですね。
でも必ずしも配偶者ビザ(在留資格)を変更する必要は無いのです。
Aさん:へぇーそうなんだ。じゃぁこのままでも…
Y行政書士:Aさんは今の会社でずっと働くつもりなのでしょうか。
Aさん:今担当している中国との貿易の関係の業務がとっても面白くって。とっても今いそがしいですよ。
Y行政書士:配偶者ビザに変更する時のメリットと気を付けなければならないことがありますね。
Aさん:メリットは?
Y行政書士:配偶者ビザは仕事の制限がないのです。たとえば今の会社を辞めたとしても
全く違う業界の会社で働いてもいいですし、単純労働でも構いませんし、ネイルサロンやケーキ屋さんで働いても良いのです。
Aさん:えーそうなの?ケーキ作るのいいなぁ。働こうかなぁ。
Y行政書士:今の技人国の在留資格のままで働くと違法就労になりますよ。
Aさん:じゃぁ配偶者ビザに変えた方がいいっていうこと?
Y行政書士:今のまま会社につとめるのであれば、今後もし転職しても、今の在留資格に該当する業種の会社勤めをおこなう可能性があるのでしたら、あえて配偶者ビザに変える必要もないのでは。
Aさん:配偶者ビザありきではなくて、今後のライフプランも考えた方が良いと。
Y行政書士:そうですね。
Y行政書士:じゃぁ気をつけることを説明します。
Aさん:お願いします。
Y行政書士:Aさんのこれからの日本の生活をどうするかということなんだけど。
Aさん:はい。彼とずっと日本にいたいと思います。
Y行政書士:ですよね。永住ビザ取ることを考えていますか。
Aさん:もちろんです。
Y行政書士:Aさんは、大学生の時を合わせてすでに9年間日本に住んでいますよね。
Aさん:はい。
Y行政書士:来年で10年。会社に勤めてまるまる5年ですね。
Aさん:永住ビザの要件でしょ。来年申請できますか。
Y行政書士:そう。ところが配偶者ビザに今変更すると、在留期間が1年となる可能性は高いと思います。在留期間が5年もしくは3年の在留資格をもっていないと永住ビザの申請はできないですよ。
Aさん:えー!そうなんですか。
Y行政書士:早くて次の年かその次か。
Aさん:困ります。これから何回も更新なんて。忙しいのです、私…。面倒なのは嫌い。
Y行政書士:これからの生活、先のことまで考えて、ビザの変更するかどうか決めてみることが大事だと思います。
Aさん:はーい。
在留資格の変更について更に詳しく行政書士が解説
結婚したら配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)に必ずしも変更する必要はありません。就労系のビザから配偶者ビザに変更するときは、変更した方が良い場合と変更しなくてもいい場合があります。
多くの中国人配偶者は、永住ビザの取得を目指している方が多いです。この場合、永住ビザの取得の要件を考慮して、在留資格を変更するかどうかを考えることも大事です。
永住ビザの要件(国益適合要件・日本継続在留要件・独立生計要件)
永住ビザに関する要件のうち、ここでは特に居住期間に関することを解説します。
原則は
日本に10年居住していて、うち5年は就労系の在留資格をもって働いていることです。
アルバイトは5年の経験には含まれません。転職は行っても構いませんが無職の期間がある場合は途切れてしまいます。直近5年間は引き続き就労の在留資格で働いていることです。
※直近5年の要件は「高度人材」ポイントにより(1年もしくは3年)「経済特区」(3年)の在留資格を持つ方など就労系のビザでも在留資格により例外もあります。
この特例として
・日本人の配偶者、永住者の配偶者の場合、実体のある婚姻が3年以上継続して、うち1年は日本にすんでいることです。
これは、法の上で配偶者となっていればよく、在留資格として「日本人の配偶者等」とか「永住者等」の在留資格を持っていなくても構いません。
永住の許可要件はこれだけではないのですが、永住許可を最終的に目指しているのであれば、これらのことを気にして結婚の時に、在留資格を変更するかどうかの方針を決めておいたほうが良いと思います。
今回のケーススタディは単純な要因にしましたが、実際のお客様のお困りごとは、いくつかの要因が複雑にからみあっていることが多いですよね。それぞれ人によって状況も異なります。
お客様がかかえている複雑なお困りごとに対して、一人で悩まずに専門家の相談を一度受けてみませんか。
その先の永住許可に向けて、一緒に歩みましょう!
次の記事はフィラール行政書士事務所のサポート内容の説明です。
もしよろしければご検討してみてください。。
この記事の執筆者
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンスオフィサー |