(2025年11月更新)
中国人の方との国際結婚を日本から先に進める場合、思いがけない手続きの違いに戸惑う方が少なくありません。
とくに注意が必要なのは、次の2点です。
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本記事では、東京・高田馬場にある配偶者ビザ専門の行政書士事務所が、これら2つの手続きについて、実際の流れを踏まえながら、わかりやすく解説いたします。
日本から先に中国人との国際結婚を進めるときに注意すべき2つのポイント
1. 婚姻要件具備証明書が発行されなくなったこと
婚姻要件具備証明書とは何か
「婚姻要件具備証明書(こんいんようけんぐびしょうめいしょ)」とは、中国人の方が日本で婚姻届を提出する際に、「自分が結婚できる法律上の状態にある」ことを証明するための書類です。
ここでいう「結婚できる法律上の状態」とは、単に未婚であることにとどまらず、中国の民法上、婚姻の年齢・重婚禁止・親族間の制限など、結婚の要件をすべて満たしていることを意味します。
つまりこの証明書は、「私は現在結婚しておらず、法律上で結婚できる資格を備えています」ということを公的に示すものです。
以前は、中国大使館または総領事館がこの証明書を発行しており、日本の市区町村役場に婚姻届を提出する際にこの書類を添付していました。
中国大使館で発行されなくなった
現在中国大使館および総領事館では「婚姻要件具備証明書」の発行は行われておりません。
したがい日本で婚姻届出をおこなうとき、中国人が法律上婚姻が可能かどうかを証明する婚姻要件具備証明書に代わる書類の提出がが必要となりました。
戸惑いやすいのは、代わりとなる書類が2種類あり、お相手の中国人の方が日本に住んでいるかどうかで異なるという点です。
具体的には、
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日本に居住し、在留カードをお持ちの場合
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現在、日本に居住していない場合
によって、必要となる書類が変わります。
| 中国人が現在日本に住んでいる ⇒ | 中国大使館で 「无配偶声明書」(独身証明書)を入手します。 |
| 中国人が日本に住んでいない ⇒ | 中国にある公証処で 「未婚声明書公証書」
あるいは民政局で「無婚姻登記記録証明書」を入手します。 |
日本に居住し、在留カードをお持ちの場合
在日本中国大使館で「无配偶声明書」(独身証明書)という書類を取得します。
・「无配偶声明書」
本人が大使館に行き領事館の面前にて声明書に署名をします。
| 必要書類
1.申請書 「中華人民共和国駐外使領館公証申請表」を記入 その他に領事館が必要と判断する書類を求められる場合があります。 前婚がある中国人 ■離婚歴がある方 【中国で離婚した場合】 離婚調停書、離婚判決書(第一審の場合は効力発生証明書も)など ・元配偶者が日本人の場合 以下のいずれかを提出: 離婚の記載がある戸籍謄本(3か月以内のもの) 離婚受理証明書(両者の生年月日が記載されていること) ・中国で結婚し、日本で離婚した場合 上記に加えて、中国で取得した結婚証の原本も提出が必要です。 ■死別の場合 元配偶者との結婚証、元配偶者の死亡証明書
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現在、日本に居住していない場合
・「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」を取得します。
市区町村役場に婚姻届を出すときは、このほかにも中国人の場合ですと出生証明書を求められる場合もあります。
婚姻届けを出す市町村役場に必要書類を必ず事前に確認します。
役場への確認のやり方としては、婚姻要件具備証明書が発行されないということと、代わりの書類、さきほどの①または②についてどの書類が提出するかということも説明すると良いでしょう。
婚姻要件具備証明書の代わりの書類をきちんと手に入れることが大事ですね。
あらかじめ提出先の市区町村役所にしっかり確認することが手間が必要です。
日本に住んでいない中国人の書類は、公証処で取得します。中国の公証処とは、日本の公証役場に近いものです。
| 公証処では、契約や声明といった「法的行為の公証」、結婚証明書や定款といった「法的文書の公証」、誕生や親戚関係、死亡など「法的な事実の公証」がおこなわれます。たとえば出生書類に対し、公証処で公証をおこない「出生公証書」が出来上がります。
「未婚声明書公証書」とは「未婚」であると宣言(声明)した行為を公証役場で公証書にしたものです。 |
日本にお相手の中国人が住んでいない場合、お相手の中国人の方から現地で必要な書類を取得してもらいます。この辺のやり取りが結構面倒なところです。
お相手の中国人の方が日本に住んでいない場合は、中国現地で必要書類を取得してもらう流れになります。
この部分のやり取りは、日本からの依頼や郵送などが伴うため、思った以上に手間がかかる点に注意が必要です。期待しているどおりの書類を取得して、送られてくるかどうかお相手の方との細かい確認が欠かせません。
婚姻記録が無い証明書の取得方法と手続き(無婚姻登記記録証明書)
まとめ 婚姻要件具備証明書の代りの書類
| 中国人が現在日本に住んでいる ⇒ | 中国大使館で 「无配偶声明書」(独身証明書)を入手します。 |
| 中国人が日本に住んでいない ⇒ | 中国にある公証処で 「未婚声明書公証書」
あるいは民政局で「無婚姻登記記録証明書」を入手します。 |
その2 日本から先に結婚した場合、中国側での結婚手続きが必要ない
国際結婚の手続きは、それぞれの国で婚姻が法的に成立しなくてはなりません。
日本で暮らす配偶者ビザの申請する条件でも、両国の婚姻が法的に成立していることが条件となっています。これらは書類で証明します。どんな書類でしょうか。
外国側の婚姻が成立していることの証明は多くは「結婚証明書」などと呼ばれています。また日本側の婚姻の証明書類は日本人の方の婚姻届提出後の「戸籍謄本」で確認します。「戸籍謄本」にお相手の方との婚姻が記載されています。
配偶者ビザの取得のためには、相手の方の母国の結婚証明と日本側で結婚したことを証明する書類、どちらの書類も用意します。
中国であらためて婚姻登記を行う必要はないことが面倒な問題
日本側で結婚を先に行うと中国側で法的に特に婚姻手続きを行わなくても婚姻が中国側でも成立します。中国の法律上、婚姻が成立するということです。
冒頭でも話ましたが、中国側の手続きなくて「楽じゃん」と、一見そう思えるかもしれません。
ところが婚姻手続きがないことにより、余計に面倒なことが出てきます。これが2つ目の面倒なところです。
中国にある戸籍の記載事項を既婚への変更が必要
中国側で結婚の手続きは不要なのですが、中国の方の中国の戸籍(居民戸口簿)を独身から結婚した(既婚)というように変更が必要です。
中国で結婚を行う場合は、婚姻届は戸口を置いている管轄の省、自治区、市人民政府の指定する婚姻登記所に申請します。つまり、中国の戸籍の原本に記載されている住所の結婚登記所で結婚登記を行ないます。
この結婚手続きにおいて、配偶者である日本人の「独身証明書」を求められます。ところが日本での手続きにおいて、すでに中国人の方と結婚が成立していますので、日本人の「独身証明書」は発行できません。
ここで中国側での「結婚登記所」での結婚手続きが進まなくなります。手続きができないということは、赤い手帳とよばれる「結婚証明書」の入手ができません。
日本での婚姻手続きの完了で法的には中国側も結婚は成立していますが、中国の「結婚証明書」が発行されません。
これで放置すると中国の戸籍(居民戸口簿)上では「未婚」のままとなってしまいます。したがい、結婚手続きではなく、戸口簿の「既婚」への変更手続きを行います。

居民戸口簿の内容サンプル(イメージ)
| 日本から先に結婚手続きを行うと
・婚姻手続きは不要 だが ・戸口簿の記載内容の変更手続きが必要(未婚⇒既婚) |
中国人の戸籍簿の既婚状況欄を「既婚」へ変更手続き
この手続きでは、日本国の「婚姻届受理証明書明」が必要です。日本国内で婚姻届を提出して、すでに結婚したという証明書「婚姻届受理証明書」を用意します。
(1)「婚姻届受理証明書」を取得
- 「婚姻届受理証明書」の入手先
婚姻届を出した日本の市区町村役場で入手
- 「婚姻届受理証明書」の認証手続
(2)中国側へ提出
②在京中国大使館に提出するには、認証手続きが必要です。次の①、②の認証手続きを行います。
①「婚姻受理証明書」について日本国外務省のアポスティーユを受ける。
アポスティーユを受けると➁の派出署への手続きに進みます。
以前は、中国大使館での認証が必要でしたが2023年より中国がハーグ条約加盟により
アポスティーユ認証だけで中国国内の機関への提出が可能となりました。
➁中国の戸籍で「既婚」へ変更
・認証をうけた「婚姻受理証明」を、お相手の方の中国の戸籍所在地の派出所に提出します。翻訳文が必要かどうかは提出先に確認します。
中国の方の配偶者ビザの取得のためには
今回の記事は、中国人との国際結婚で特に面倒な手続き2つについて詳しく説明しました。日本で中国人と一緒に暮らす配偶者ビザの手続きはさらに面倒です。
配偶者ビザの必要な書類のなかには、それぞれの国で法的に結婚が成立したことを証明する書類が必要書類となっています。
両国の婚姻に関する証明ですが、赤い手帳といわれる「結婚証明書」が発行されないとしたら「配偶者」ビザの取得ができないのでしょうか。この場合「結婚証明書」がない旨を記載した書類を提出して「配偶者」ビザの申請をおこなうことになります。
その他必要書類が数多くあります。気になるところや不安なところがある方は、思い切ってビザの申請の専門家に任せてみるのも良い方法ではないかと思います。
参考:中国法「中国公民同外国人办理婚姻登记的几项规定」 摘自二OO三年十月一日国务院批准并实施的《婚姻登记条例》」
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[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html







