(2024年9月更新)
日本でベトナム人と夫婦で暮らすには、配偶者ビザなどの在留資格が必要です。
配偶者ビザの取得には、ベトナムと日本の両方で婚姻が法的に成立していなければなりません。
配偶者ビザの申請にあたりベトナム側で結婚が成立している証明書類は、ベトナム側で発行された婚姻証明書になります。
ビザの申請に向けベトナム側の婚姻証明書の取得を目指していきます。
この記事ではベトナム人との国際結婚の手続きについて、ベトナム人との国際結婚の手続き、配偶者ビザなど手続きの相談・サポートを東京都・新宿区で業務を行っている行政書士が解説します。
手続きは少し複雑です。ベトナムから先に国際結婚を進めていくベトナム方式も紹介しています。
どちらの国から先に行うかはお客様の状況によります。
日本から先に行うほうが手続きとしては、解りやすく進めやすいでしょう。
夫婦が日本で暮らす場合は、ベトナム人の方は配偶者ビザなどと一般にいわれる、在留資格が必要となります。
- ベトナム技能実習生との結婚
- 日本人に離婚歴があります
- ベトナム人女性に離婚歴があります
- 国際結婚相談所でお見合いしました
2021年12月末時点で中長期のビザをもって日本で暮らすベトナム国籍の方は、約43万人、そのうち配偶者ビザ持っている方は5,435人(前年比9.1%増)、永住者は20,206人(前年比9.4%増)です。 (出典 法務省 出入国管理統計統計表) これからも日本に来るベトナム人がが増え、ますます日本人との出会いが増えていくかもしれませんね。 |
国際結婚について、それぞれの国の法の要件
国際結婚の手続きで、まず考えなくてはならないのは、お互いの国での婚姻の法律の要件がどうなっているかです。つまり申請する方が必要な要件を満たしているかどうかということです。これを婚姻要件といいます。これを備えていることを「具備」といいます。
要件はいくつかありますが、まず気にすべき点は婚姻可能年齢と再婚待機期間があげられます。要件によって、自分の国の法律が適用される場合と両方の国でより厳しい方が適用される場合などがあります。
婚姻可能年齢
ベトナム:男性は満 20 歳以上、女性は満 18 歳以上(ベトナム婚姻家族法 第8条)
日本:男女ともに18歳から(民法 改正により2022年4月より)
この場合それぞれの国の法律が適用されます。ベトナムの男性は20歳にならないと日本人女性と結婚できません。
再婚待期期間(再婚禁止期間)
日本では以前は再婚禁止期間がありましたが、2022年12月の民法の一部改正で100日再婚禁止期間が撤廃されることになりました。令和6年4月1日(2024年4月1日)に施行されています。
ベトナム法では再婚禁止期間はありません。
婚姻要件具備証明書
国際結婚の手続きで重要な書類が「婚姻要件具備証明書」です。何それ。聞いたことがない、と疑問に思った方も数多くいらっしゃるかと思います。
お互いが日本人の場合ですと必要書類は、婚姻届と本籍地が異なる方の戸籍謄本の提出で良いのですが国際結婚となると少し話が異なってきます。
日本人のカップルの場合は戸籍謄本をみれば、結婚の要件が揃っていることに役所の方にも容易に判断がつきます。国際結婚の場合、いきなり外国の方が婚姻届をもって役所に行っても役所の方は「この人は本当に結婚できるのか?」と判断がつかなくなります。
国際結婚手続きにおいて、これを公的に証明するのが「婚姻要件具備証明書」なのです。婚姻要件具備証明書とは、法律上の婚姻の条件を満たしていることを証明するものです。
日本人の婚姻要件具備証明書には、「独身であって、かつ婚姻能力を有し相手方と結婚するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する」といった記載があります。
独身証明書とは異なります。市町村役場には、独身証明書の発行もあります。こちらは結婚相談所などに入会するための証明に利用されているようです。混同されないようにしてください。
どちらの国の婚姻要件具備証明書を用意するの?
あいての国に婚姻を届け出る場合、自分の婚姻要件具備証明書が必要となります。
・日本で先に結婚を行う場合
ベトナム人の「婚姻要件具備証明書」を取得します。
在日ベトナム公館(東京:ベトナム社会主義共和国大使館、大阪:在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館、福岡:在福岡ベトナム社会主義共和国総領事館)で取得できます。日本人だけでは取得できず、かならずお二人で行くことが必要です。
- ベトナムから先に結婚を行う場合
日本人の「婚姻要件具備証明書」の取得が必要です。この書類は、ベトナム現地での婚姻手続きの時に提出します。
現地の日本大使館で取得できます。あるいは日本の役所や法務局(本局か支局)で取得できます。
日本で取得する場合は、ほとんどの国では日本の法務局の発行のものだけしか認めていません。したがって、市区町村の役所ではなく、管轄の法務局で取得することになります。
では婚姻の手続きについて説明いたします。繰り返しになりますが、結婚の手続きを行うには二つのルートがあります。
それぞれの結婚の手続きのながれと必要な書類について順に説明しましょう。
従来は短期滞在で日本に来た場合でも 在日ベトナム大使館でベトナム人の婚姻要件具備証明書は発行されましたが、現在は短期滞在ビザの方には発行されません。
日本から先にベトナム人との国際結婚を進める方
まず日本から先に結婚(手続き)をおこなう場合です。
日本での結婚を先に進めるには、つぎの2つのパターンがあります。
(1)ベトナム人がすでに日本で住んでいる場合
(2)ベトナム人が日本に住んでいない場合
それぞれ準備する書類が異なります。順を追って説明します。
(1)ベトナム人が日本に住んでいる
お相手のベトナム人の方が、日本で既に暮らしている場合の手続きの流れは次のような順番となります。
ベトナム大使館では、日本に住んでいる中長期の在留資格を持つベトナム人でないと婚姻要件具備証明書は発行しません。在留カードをもっているベトナム人のみ発行します。
つまり、短期滞在ビザのベトナム人に対して、婚姻要件具備証明書は。現在ベトナム大使館で発行していないということです。
Q&A
婚姻届けを日本の役場へ提出のときは日本語に翻訳が必要でしょうか? ⇒婚姻要件具備証明書は翻訳が必要です。 ベトナム人の婚姻要件具備証明書を取得にベトナム大使館行くときはお二人一緒でしょうか? ⇒必ず婚約者と二人で行ってください。 |
日本語の翻訳は当事務所でも取り扱っています。
では先ほどの手続きの流れの図にしたがって説明を進めましょう。
①婚姻要件具備証明書の取得
ベトナム大使館へ行き、ベトナム人の婚姻要件具備証明書を取得します。
ベトナム人が用意するもの
日本人が用意するもの
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②日本で婚姻届提出
ベトナム人の婚姻要件具備証明書を取得したら、市町村役場に婚姻届を提出します。
ベトナム人が用意するもの
日本人が用意するもの
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国際結婚の場合、婚姻届の記載方法はいくつか注意点があります。必ず婚姻届を提出する役所の方に事前に確認した方が良いです。
婚姻届を提出したら、その場で「婚姻届受理証明書」を役所の人に申し出て、入手します。
これで日本側の婚姻手続きが完了しました。
③ベトナム側の婚姻手続
日本側の婚姻手続きが完了しましたら次はベトナム側の手続きです。再び、日本にあるベトナム大使館へ行きベトナム側での婚姻の手続きを行います。
日本のベトナム大使館への婚姻の届出に必要な書類
婚姻が反映された戸籍謄本です。結婚前のものではありません。およそ婚姻届け提出後1週間程度かかります。
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婚姻手続きを行い、日本にあるベトナム大使館で「結婚証明書」を取得してベトナム側の婚姻手続きは完了です。
(2)ベトナムに住んでいる(それぞれで手続きパターン)
ベトナム人のお相手の方がベトナムに住んでいる場合も、日本で先に婚姻手続きを行うことが可能です。
それぞれが母国での対応となりますので、取得について、しっかりとお二人のコミュニケーションをとり必要書類を正確に集めないと何度もやり直しになります。
この場合の婚姻手続きは以下の順に進めていきます。
といった順に手続きが進んでいきます。
①必要書類の確認
おふたりが、手続きを始める前に申請先に、必要書類をあらかじめ確認しておきます。このプロセスは重要です。なるべく早めに確認しておきましょう。
- 日本人が確認すること
婚姻届を提出する市町村役場にベトナム人が用意する書類の確認
- ベトナム人が現地提出先で確認すること
日本の結婚証明書だけで(日本人がベトナムの申請先に行かないが)婚姻手続きができるかを確認します。
①日本での結婚手続き
市町村役場に婚姻届と一緒に提出が必要なベトナム人についての書類は次の通りです。
ベトナム人についての書類
ベトナム語の書類は日本語へ翻訳した書類が必要です。 市町村によっては、用意する書類等対応が異なる場合がありますので必ず事前に確認が必要です。 |
婚姻届には、ベトナム人本人のサインが必要です。あらかじめベトナム人がサインを書いた婚姻届を、日本へ送ってもらいます。サインはアルファベットの活字体で記入します。
婚姻状況証明書を取得する際のポイント
(ベトナム人が現地で取得するとき) 婚姻状況証明書には利用目的欄があります。 婚姻証明書の申請書で使用目的を記載します。申請前にお相手の方に婚姻相手(日本人)の姓名、生年月日、身分証明書(パスポートナンバー)、居住地のデータを必ず伝えてあげてください。 Ghi rõ mục đích sử dụng Giấy xác nhận tình trạng hôn nhân. Trường hợp sử dụng Giấy xác nhận tình trạng hôn nhân để kết hôn, thì phải ghi rõ kết hôn với ai (họ, chữ đệm, tên; ngày, tháng, năm sinh; quốc tịch; giấy tờ tùy thân; nơi cư trú); nơi dự định đăng ký kết hôn. |
②母国書類を日本へ送付
必要な書類の確認を行い、お相手のベトナム人に関する書類を、現地で取得していきます。
必要な書類が揃えてお相手のベトナム人はFedExなどで日本に住んでいる日本人宛に書類を送付します。
③日本で婚姻届の提出
婚姻届を役所に提出後、婚姻届受理証明書を入手します。
日本人が用意するもの
先ほど確認したベトナム人の母国の書類と一緒に役所に婚姻届を提出して、婚姻届受理証明書を入手します。 ベトナム人の書類
ベトナム語の書類は日本語訳が必要です。 |
④ベトナムで婚姻手続き
日本側の婚姻届の時に入手した婚姻届受理証明書をベトナム人配偶者に送付します。①の時に、確認した日本人に関係する書類も併せて送付します。多くの場合は、ベトナム人配偶者の名前が記載された戸籍謄本となります。それ以外にも必要な書類を言われるかもしれません。
送付する日本語の書類は外務省で公印確認の後で在日本ベトナム大使館で、ベトナム語への翻訳認証を行います。 |
認証手続きは少し複雑ですので、少し難しい所かもしれません。
認証手続きを行った書類一式をそろえて、ベトナム人へ送付します。送りモレがないか、チェックリストを作っておくとよいですね。
日本から書類がベトナムにお住まいのベトナム人配偶者のところに届きましたら、ベトナム側での婚姻手続きです。ベトナム人配偶者の本籍がある区・県人民委員会で婚姻手続きを行います。
結婚登録の後、ベトナム側の婚姻証明書が入手できます。これでベトナム側も婚姻手続きは完了です。
婚姻証明書は配偶者ビザの申請の時に必要です。婚姻証明書を日本人の方に渡します。
ベトナム側から先にベトナム人との国際結婚を進める
ベトナム側を先行して結婚を行う場合、婚姻手続きのながれは次のようになります。
※②の婚姻届の窓口は区・県人民委員会です。
ベトナム側の婚姻手続き
ベトナム側の婚姻手続きには、日本人の婚姻要件具備証明書が必要です。
日本から「婚姻要件具備証明書」を持って行く方法と現地の日本大使館で婚姻要件具備証明書を入手する方法があります。
①日本人の「婚姻要件具備証明書」
婚姻要件具備証明書(日本で入手した場合)
1)在ベトナム日本国大使館で「公文書上の印章証明書」の発給を受けます。 ⇩ ⇩ 婚姻要件具備証明書(在ベトナム日本大使館で入手)の場合 1)ベトナム外務省領事局で認証を受ける。 ⇩ |
婚姻要件具備証明書を日本で取得する場合
日本人の婚姻要件具備証明書を日本で取得するばあい、戸籍事務を扱っている法務局又は地方法務局およびその支局で申請します。必ず日本人本人が請求・受領します(郵送も不可)。
代理人による請求・受領はできません。
用意する書類
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婚姻要件具備証明書を在ベトナム日本大使館・領事館で発給を受ける場合
申請者本人が日本大使館に行き申請します。
用意する書類
=独身証明書 |
②人民委員会での婚姻の申請
お相手の方の本籍がある区・県人民委員会で申請を行います。お二人のうち、どちらかが訪問すれば構いません。結婚登録後、婚姻証明書が入手できます。
用意する書類
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※診断書は公証役場で公証を受けて、外務省で領事認証と在日ベトナム大使館で認証を受けます。ベトナムの公証人事務所(Phòng công chứng)でベトナム語への翻訳が必要です。
これでベトナム側の婚姻手続きが完了です。ベトナムの婚姻証明書を取得します。
日本側での婚姻手続き
べトナム側の婚姻手続きが完了後、ベトナムの婚姻証明書を取得したあとで、日本側の婚姻手続きを行います。ベトナムにある日本大使館もしくは日本の市町村役場に提出します。
日本大使館で必要な書類
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婚姻証明書、パスポートについては、手続きの時には原本を必ず持って行きます。日本大使館に届出る場合、ベトナムでの婚姻成立日から 3ヶ月以内に日本大使館に届け出なければなりません。これで日本側の手続きも完了します。
婚姻手続きが完了したら、いよいよ日本で住む配偶者ビザの申請です。日本にベトナム人が現在住んでいない場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。
コラム 偽装結婚について
ベトナム婚姻家族法には以下の条文があります。 第 3 条 用語の説明 第 19 条 夫婦の義務 ベトナム法でも明確に「偽装結婚」について記載があり、夫婦の義務を規定していますね。 |
ベトナム人が配偶者ビザ取得にむけた2つのポイント
配偶者ビザの申請にあたって特に重要な事が2つあります。
ひとつはお二人の結婚が「偽装結婚」でないこと。
もうひとつが日本でお二人が継続して暮らしていける収入があること。言い換えるとこの先も生計が維持できるかということです。
この二つを書類で証明しなくてはなりません。申請にはこれ以外にも数おおくの書類を準備します。時間が無い方や不安な点があるかたは専門家に申請をお任せするのも良いと思います。
いかがでしたか今回はベトナム人の国際結婚について婚姻手続きのながれを説明しました。どうか末永くお幸せに。
次の記事では当事務所の配偶者ビザのサポート内容を説明した記事です。国際結婚の手続きのサポートプラン日本での暮らすためのビザの取得サポートプランがあります。
よろしければ検討してみてください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化申請 保有資格:申請取次行政書士 |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html