婚姻要件具備証明書
国際結婚の婚姻手続きにおいて重要な書類です。国際結婚の手続きを進める時に、まず準備を考えなくてはならない書類が「婚姻要件具備証明書」です。
「何それ?」と疑問に思う方もいると思います。確かになかなか聞いたことがない書類だと思います。
お互いが日本人の結婚の場合は、婚姻届を書いて、役所に提出すれば手続きは完了です。ところが国際結婚となると、少し話が違ってきます。
日本人の方は戸籍謄本をみれば、結婚の要件が満たされているか役所の方にも容易に判断がつきます。ところが、いきなり外国の方が婚姻届をもって役所に行っても、戸籍係りの方は「この人、一体どういう方。結婚出来る方なのかしら?」となるわけです。
国際結婚手続きにおいて、これを法的に証明するのが「婚姻要件具備証明書」なのです。
日本人の婚姻要件具備証明書には「独身であって、かつ婚姻能力を有し相手方と結婚するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する」といった記載があります。
日本から先に結婚手続
日本で先に婚姻を成立するには、マレーシア人の婚姻要件具備証明書が必要です。
マレーシア人の婚姻要件具備証明書を取得するには、いったいどんな書類が必要でしょうか?
書類の後に※が付いている書類はコピー以外に原本を持参して確認します。
マレーシア人の宣誓書
マレーシアの方の独身証明書を取得のために、宣誓書が必要です。
宣誓書の取得のために東京のマレーシア大使館でマレーシア人の方が宣誓を行います。
必要な書類
- パスポートのコピー ※
- IDカードのコピー※
- 在留カード 取得していれば
独身証明書
大使館で証明した宣誓書をマレーシアの国民登録局(JPN)へ提出します。
そのあとJPNからマレーシア人の独身証明書を(Single Certificate)を取得します。独身証明書の取得はJPNに対し申請書「JPN.KC09」で申請します。記入後、マレーシアにいるご家族に手続きを依頼するとよいでしょう。
婚姻要件具備証明書
独身証明書を取得後、東京のマレーシア大使館で「婚姻要件具備証明書」(Certificate of No Impediment to the Marriage)を取得します。
必要な書類
- パスポートのコピー ※
- IDカードのコピー※
- 独身証明書 :マレーシアの国民登録局(JPN)発行の原本
- 日本人の身分証明書のコピー※:パスポート、運転免許証や健康保険証
Ⅲはマレーシア外務省の公印が必要です。
ⅠとⅡは、本人が日本にいない場合、日本人の配偶者の方が申請しますが原本提示は不要です。
この場合はⅠとⅡのコピーと委任状にマレーシア外務省とマレーシア大使館の公印が必要です。
日本側の婚姻手続
市町村役場に婚姻届けを提出します。
必要な書類
- 婚姻届
- 婚姻要件具備証明書
- 戸籍謄本(本籍地の市区町村役所に届出の場合は不要です)
- マレーシア人のパスポート
マレーシア人の必要な書類は、市町村によって、少し違いがある可能性がありますので事前に確認することが大切です。
マレーシア側の婚姻手続
日本側で婚姻が成立して6ヶ月以内にマレーシア大使館に行き婚姻届けを行います。お二人で訪問する必要があります。
必要な書類
・婚姻届受理証明書 または 婚姻届記載事項証明書
マレーシア人の用意する書類
- パスポートのコピー ※
- IDカードのコピー※
- 出生証明書のコピー※
- 在留カード:お持ちの方
- 写真 :サイズ3.8cm×3.2cm 2枚
日本人が用意する書類
- パスポートのコピー ※
- 婚姻が成立した後の戸籍謄本の原本
- 婚姻が成立した後の住民票の原本
婚姻証明書を取得してマレーシア側の婚姻手続きも完了します。
市町村役場によってマレーシア人が用意する書類が異なる場合がありますので、事前に提出する自治体に確認してください。
マレーシア人との国際結婚(日本先行)のまとめ
〇婚姻要件具備証明書の取得 ⇩ ⇩ ⇩ ⇩ ・日本の役場で婚姻届とマレーシア人の婚姻要件具備証明書などを提出。婚姻届受理証明書入手 ⇩ ・マレーシア大使館へ婚姻届受理証明書などでマレーシア側の婚姻手続き。婚姻証明書を入手 |
マレーシアで先に結婚手続
マレーシアでの婚姻手続きの流れは以下の通りです
日本人の婚姻要件具備証明書
日本人の婚姻要件具備証明書は、マレーシアの日本大使館で取得します。
必要な書類
- 戸籍謄本
初婚の方は謄本、抄本どちらでも構いません。再婚の方は謄本が必要です。
- パスポート原本
- 結婚相手の方の身分証明書
婚姻相手のIC(身分証明書)またはパスポートのコピーです。
この婚姻要件具備証明書をプトラジャヤ、クチンまたはコタキナバルのマレーシアの外務省(Wisma Putra)で認証してもらいます。
婚姻の流れ
マレーシア側の挙式までの流れを順をおって確認しましょう。
婚姻予告の通知
日本人が用意する書類は、すべて資格がある翻訳者によってマレー語または英語に翻訳が必要です。
クアラルンプールの近郊のプラトジャにある国家登録省(NRD)*結婚離婚課のカウンターに行き、直接婚姻申請書(婚姻予告の通知)を提出します。
*国家登録省は、マレー語では JPN (Jabatan Pendaftaran Negara)、英語表記でNRD(National Registration Department)です。同じ役所です。
NRDで婚姻届承諾書Verification of Marital Status Letter (Approval letter)を取得します。
必要な書類
- 申請フォーム
- パスポートサイズのカラー写真 それぞれ
- マレーシア人および日本人の出生証明書 原本とコピー
- マレーシア人の独身証明書:JPNで取得します
- 結婚歴のある方、離婚証明書あるいは死亡証明書 原本とコピー
- 日本人の婚姻用件具備証明書
- 日本人のパスポート コピー
- マレーシア人のIC
地方に住んでいる場合
クアラルンプールのJPNプトラジャヤ以外で地方の州、地区JPNオフィスで登録する方の場合は、JPNプトラジャヤへ郵送もしくは直接訪問して婚姻届承諾書Verification of Marital Status Letter (Approval letter)をもらわなければなりません。郵送の場合、この書類入手に時間がかかるのでご留意してください。
JPNプトラジャに送付に必要な書類
- 認証の書類が必要と書いたレター
- 日本人の婚姻要件具備証明書
- 戸籍謄本
- マレーシア人のIC
- 日本人のパスポート
婚姻届提出
JPNプトラジャから取得した婚姻届承諾書を地元のJPNに提出します。これが婚姻届に相当します。この時に挙式日を予約します。
必要な書類
- JPNよりの婚姻届承諾書
- 日本人の婚姻要件具備証明書
- 日本人出生証明書
- 戸籍謄本
- マレーシア人の独身証明書
- マレーシア人のIC
- 日本人のパスポート
21日間の公示後挙式(宣誓)を行います。
挙式
挙式(宣誓)は登録官の事務所にて公開で、2名の証人の面前で執り行われます。挙式(宣誓)のあと、直ちに登録官は婚姻登録簿に必要事項を登録します。挙式には、21歳以上の2名の証人が必要です。証人は、マレーシアの方はIC、日本人はパスポートを持参します。原本提示があります。全員きちんとした服装(Tシャツ/ジーンズ/フリップフロップ/ショートパンツは許可されていません)です。
後日結婚証明書を取得します。
※提出するJPNによって用意する書類が異なる可能性がありますので、事前に確認してください。
日本側の手続
マレーシアにある日本大使館もしくは日本の市町村役場に提出します。
日本大使館で提出の際に、必要な書類は以下の通りです。
日本人が用意する書類
- 婚姻届 2通
- 戸籍謄本 (発行日から6カ月以内のもの) 2通
- 婚姻証明書 (原本提示、コピー提出) 2通
- 婚姻証明書の日本語訳文 2通
マレーシア人が用意する書類
- 出生証明書(原本提示、そのコピー提出) 2通
- 出生証明書の日本語訳文 2通
- 身分証明書(原本提示、そのコピー提出) 2通
- 身分証明書の日本語訳文 2通
これで日本側の手続きも完了します。
・マレーシア人との国際結婚(マレーシア先行)のまとめ
〇日本人の婚姻要件具備証明書 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
婚姻手続きや配偶者ビザの取得のための書類の準備には、慣れていないと時間がかかります。例えば役所へ申請については、一日仕事になったり、二度手間になったり。
「がんばったのに、効率がわるいなぁ」
マレーシアの役所の手続きに思った以上に時間がかかってしまうことに先が見えずストレスになってしまうかもしれません。
結婚が成立したあと、配偶者ビザの申請には書類の集めるだけではなく申請書や理由書を作成する必要があります。
大変だとおもったら専門家にお任せするのも良いかもしれません。
この後の記事は当事務所の配偶者ビザ申請のサポートの流れを紹介しています。よろしければご検討してみてください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 ファーストベース行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html