(2025年11月更新)

中国人の方とご結婚され、日本での新しい生活を始めたいとお考えの方へ。
配偶者ビザの申請に先立ち、まずは日本と中国の双方において、法的に婚姻が成立していることが必要です。
ただし、日中両国では婚姻制度が異なり、提出書類の要件や取得方法にも大きな違いがあるため、手続きの順序を誤ると、思わぬやり直しが生じ、長い時間を要することも少なくありません。
本記事では、日本人と中国人の国際結婚を正式に成立させるための法的要件と実務上の手続きの流れを整理し、特に多くの方が不安を感じられる「婚姻要件具備証明書」が発行されない場合の対処方法についても詳しく解説いたします。
また、日本で婚姻が成立した後に必要となる中国側の報告的手続や、戸口簿(中国の戸籍)変更の実務についても、実際の書類構成を踏まえてご案内いたします。
行政書士としての実務経験に基づき、複雑になりがちな国際婚姻手続きを、確実かつ円滑に進めるためのポイントをわかりやすくお伝えいたします。
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コラム:データで見る―日本と中国の国際結婚の現状 近年、日本人と中国人との国際結婚は従来より高い割合を占めています。 ただし、同年は新型コロナウイルス感染症の影響により、前年の約半数(前年比53.6%)にとどまりました。 居住地域では、東京都・神奈川県・大阪府・愛知県・埼玉県が上位を占め、大都市圏に集中しています。 (出典:厚生労働省「人口動態統計」より当事務所で集計) |
日本人と中国人の婚姻成立の要件
国際結婚を正式に成立させるためには、双方の国で定められた婚姻の成立要件を満たしている必要があります。
日本と中国では、いずれも「自由な意思による婚姻」「重婚の禁止」「近親婚の禁止」など、基本的な原則は共通しています。
ただし、婚姻可能な年齢や、婚姻が認められない親族関係の範囲など、細部の規定には違いがあります。
そのため、届出を受理する役所の戸籍担当の方は、単に「独身」であるという事実だけでは、相手国の法律上も婚姻可能かどうかを判断できません。
こうした法的な適格性を客観的に示すために必要となるのが「婚姻要件具備証明書」です。
この証明書は、自国の法律に照らして当事者が「結婚する資格を有している」ことを公式に証明するもので、国際婚姻の手続きにおいて最も重要な書類の一つです。
| 「いろいろなサイトを調べてみたけれど、結局どれが正しいのかわからない……」
「日本と中国、どちらの手続きを先に進めればいいのだろう?」 |
そのような疑問をお持ちの方も少なくありません。
実際、日中間の婚姻手続きは非常に複雑で、必要書類の準備に時間を要することもあります。
特に「婚姻要件具備証明書」が発行されないことで、どのように対応すべきか、手続きが滞ってしまうこともあります。
日本と中国、どちらの国で先に婚姻手続きを行うべきか
国際結婚の準備では、まず「日本で先に婚姻を成立させるか」「中国で先に婚姻を成立させるか」を決めることから始まります。
どちらの国から進めても婚姻を成立させることは可能ですが、この選択によって手続の流れや求められる書類が大きく異なります。
また、状況によっては思った以上に時間や手間を要することもあるため、最初の判断が重要です。
判断の目安となる主なポイント
お相手の居住地
中国人の方が日本に住んでいるのか、それとも現在中国に居住しているのかによって、必要書類の入手方法が変わります。
必要書類の入手のしやすさ
本人に関する中国側の証明書類がスムーズに取得できるかどうかも重要な判断材料です。
配偶者ビザ申請のタイミング
国際結婚後、日本で生活を始める場合は、配偶者ビザの申請時期を考慮し、婚姻手続を計画的に進めやすいことが望ましいです。
実際には、まずお相手(中国人の方)がどこにお住まいかによって方向性が決まります。
すでに日本に在留している場合は日本での婚姻手続を先行させるのが一般的であり、中国に居住している場合は中国側から婚姻を成立させる方がスムーズです。
| まとめ:国際結婚をどちらの国から始めるか
日本人と中国人の国際結婚は、どちらの国から手続きを始めても成立させることができます。 特に「自分たちのケースではどちらから始めるのが良いのか」「中国側で証明書が取れない場合はどうすればよいのか」といった点に、不安を感じる方も少なくありません。 当事務所では、国際結婚の成立に関する書類準備についてのご相談を有償でサポートを行っております。 👉 不安あり方やご相談をきぼうされる方はこちらからどうぞ(ご相談の予約) |
日本から先に婚姻手続きを行う場合の流れ
日本から先に中国人との国際結婚の手続を進める場合の流れと必要な書類を説明いたします。
まずお相手の方が中国の法律の要件をみたして結婚が可能であるという証明書が必要です。
婚姻の要件を備えているという意味で「婚姻要件具備証明書」と呼ばれています。
日本での婚姻手続きに必要な書類一覧
国際結婚では、日本の役所に婚姻届を提出するために、お相手の方の母国の「婚姻要件具備証明書」の取得します。
しかし、中国人についての「婚姻要件具備証明書」が中国側で発行されなくなりました。
中国人の婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類の取得方法を次に説明します。
中国人が日本に住んでいる場合と海外に住んでいる場合で手続きの進め方が少し異なります。
中国人配偶者が日本に住んでいる場合の対応
日本にある、在日本中国大使館・領事館で「无配偶声明書」を取得します。これが「婚姻要件具備証明書」に相当する書類です。
「无配偶声明書」の取得について
中国人の方が無配偶者宣言を行い公証書を入手します。中国大使館へは本人が出向き申請します。代理での取得はできません。
・窓口担当者の前で、当日の日付および記入します。
・宣言書を読んでサインをします。
このあと「无配偶声明書」を入手します。
交付をうけた「无配偶声明書」を市区町村の役所に婚姻届と一緒に提出します。
| 「无配偶声明書」取得のための必要書類 ・パスポート(写真付きページコピー)原本 ・在留カード原本コピー(または3ヵ月以内に取得した住民票) ・申請書離婚された方については以下の書類も必要です。 ・離婚証明書の原本およびコピー 日本で離婚した場合 3ヶ月以内の離婚受理証明書 日本人との離婚の場合 3ヶ月以内に発行された戸籍謄本の原本 |
在留カードを持っていない方には、大使館は「无配偶声明書」を発行しません。
中国人配偶者が中国在住の場合の対応
日本に短期滞在で入国している中国人の方は在留カードがありません。
在留カードを持っていない短期在留の方に対して、中国大使館では原則「无配偶声明書」の公証対応をおこなっていません。
したがい日本で中国人との国際結婚にあたり婚姻届を出す際に、中国より婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類を準備します。
- 婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類
中国の公証処で「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」を入手します。
| まとめ:婚姻要件具備証明書の代わりとなる書類とは
日本で婚姻届出と一緒に必要な婚姻可能であるという証明書 ・日本に住んでいる中国人 ⇒「无配偶声明書」を取得 ・中国に住んでいる中国人 ⇒「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」 |
日本での婚姻届の提出
日本の市町村役所に婚姻届を提出します。

婚姻届出に用意する書類
无配偶声明書が発行されない方は「未婚声明書公証書」あるいは「無婚姻登記記録証明書」
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婚姻届けを提出したら、市町村役場から婚姻届記載事項証明書を取得します。
中国の書類の日本語への翻訳書類の作り方
市区町村役場に中国人の无配偶声明書や未婚声明書公証書あるいは無婚姻登記記録証明書などを提出する場合は、必ず日本語の翻訳文が必要です。翻訳の書式は決まっていません。中国で発給時に日本語に翻訳を行う公証処もあります。
どなたでも翻訳して構いません。必ず翻訳した日付、翻訳した人の名前、翻訳者の住所を記載します。
たまに原本に書いてしまう方がいらっしゃいますが、別の新しい紙で翻訳書類を作成するか、もしくは原本のコピーをとってそれにボールペンなどで翻訳文を書くとよいでしょう。
この場合でも翻訳した日付、翻訳した人の名前、翻訳者の住所は必ず記載するようにします。
中国側の婚姻手続
改めて婚姻手続きを中国側で行うことはありません。
しかし中国側で、中国人配偶者の戸籍(居民戸口簿)を未婚から既婚へ変更の手続きを行う必要があります。
忘れずに必ず行わなければならない手続きです。

・戸口簿の中の個人カード イメージ
戸口簿の変更の手順
・日本の市町村役場で婚姻手続きの時に「婚姻届受理証明書」を入手します。
・「婚姻届受理証明書」、外務省と在日本中国大使館(または総領事館)でそれぞれ認証を受けます。中国での提出先(派出所)によっては、中国語の翻訳文が必要な場合があります。
・この書類を中国人配偶者の戸籍所在地にある「派出所」に提出します。
これで居民戸口簿が未婚から既婚へ変更されました。
以上で中国側も婚姻手続きが完了します。
中国で先に結婚手続きを行う場合
中国から先に結婚手続きを進める場合、日本人の婚姻要件具備証明書が必要となります。
日本人の婚姻要件具備証明書
中国から先に結婚手続きを進める場合は日本人の婚姻要件具備証明書を準備します。
婚姻要件具備証明書の取得には2通りの方法があります。
- 日本から「日本人」の婚姻要件具備証明書を用意して中国へ渡航する方法
あるいは
- 中国にある日本大使館で「日本人」の婚姻要件具備証明書を取得する方法
です。
日本から中国へ婚姻要件具備証明書を持ち込む場合
婚姻要件具備証明書は 法務局で発行したものを用意します。
日本人の婚姻要件具備証明書は、戸籍事務を扱っている法務局、地方法務局やその支局および本籍地の市町村役場で取得できます。
中国の場合は、戸籍事務を扱っている法務局、地方法務局やその支局でないと認めていないようです。
婚姻要件具備証明書を入手したら、日本の外務省でアポスティーユ認証を受けます。
以前は日本の外務省の認証、その次に日本にある中国大使館(又は中国総領事館)の認証を東京 虎ノ門にある中国ビザ申請センターで行っていましたが、2023年にハーグ条約の加盟国となり日本の外務省の「アポスティーユ」だけで中国側への提出が可能となりました。(2023 年 11 月7日より)
婚姻要件具備証明書は中国語訳を行った書類が必要です。中国にある現地の翻訳会社(注:婚姻登記処において紹介があるようです)で翻訳します。
中国にある日本大使館・総領事館で発給の場合
日本人の婚姻要件具備証明書を中国にある日本大使館・領事館で発行してもらう場合は、日本で取得する場合と異なり外務省のアポスティーユは不要です。また中国語への翻訳書類も不要です。
| 大使館等で日本人の婚姻要件具備証明書の取得のために用意する書類
本人(日本人)
ご結婚相手の方(中国人)
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大使館・領事館によっては二人で行かなくても、日本人だけで構わないところもあるようです。
中国の婚姻登記所(民政局)での手続き概要
中国人の戸籍所在地の省、市の人民政府が指定する婚姻登記機関である渉外婚姻登記処に、おふたりで行き婚姻登記手続きを行います。戸籍所在地とは、お相手の中国人がもっている居民戸口簿が作成された市や区のことです。その市や区にある渉外婚登記処へ行かなければなりません。
審査結果に問題がなければ、結婚証明書が発行されます。これで中国側の婚姻手続きが完了します。
用意する資料については、事前にお相手の中国人の方に現地の登記処へ確認してもらってください。
必要書類と日本人側の準備
婚姻の届出のために用意する書類
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結婚公証書を入手したら中国側の婚姻手続きは完了です。

日本側での婚姻の報告的手続
中国側の手続きが完了したら、次は日本大使館に行き日本側での婚姻手続きを行います。
中国で入手した結婚公証書を日本に持ち帰り、市町村役場に提出することも可能です。
日本で婚姻手続きを行うために結婚公証書を忘れずに中国から持ち帰ってください。
- 在中国日本大使館に婚姻届出の場合
このまま中国に滞在する方は日本大使館に婚姻の届出を行うことができます。
中国にある日本大使館などで婚姻届出に必要な書類
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結婚公証書、国籍公証書は、中国人配偶者の戸籍所在地の公証処で取得します。
日本語訳は「作成年月日」と「翻訳者氏名」を記入します。
婚姻成立後、日本で行う報告的婚姻届の提出方法
現地の日本大使館に提出するよりも、こちらの方が手続きは早く済みます。日本人の方が、日本に戻る場合はこちらを選択します。
日本の市区町村役所に婚姻届を出す場合の必要な書類
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中国の公証書を日本の役場に提出する場合は、必ず日本語の翻訳文書を添付します。様式はどういう形式でも構いません。また日本の市区町村の役所に提出するときは、誰が作成して良いです。日本語に訳した文書は「作成年月日」と「翻訳者氏名」、「翻訳者の住所」を記入します。
注意点は、原本に直接翻訳文を書き込まないことです。
白紙を用意して翻訳文を作成するか、中国語の書類をコピーして、コピーした文書に翻訳文を書き込むとよいでしょう。
この場合も必ず作成年月日、翻訳者氏名、翻訳者の住所を記入します。
以上で婚姻手続きが完了します。
日本国で先に婚姻手続きを行う場合も、中国で先に行う場合も、手続きの提出先によって提出する資料が異なる場合があります。現地での提出先や日本の役所等に必ず確認を行ってください。
中国と日本お互いの国で婚姻が成立したら次はいよいよ日本で暮らす配偶者ビザの申請手続きです。
中国での婚姻届出のまとめ
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国際結婚後の手続き ― 日本で暮らすための配偶者ビザ申請
国際結婚が成立したら、その次は中国人の方と日本で一緒に暮らすための手続き(配偶者ビザの申請)です。
いかがでしたでしょうか。婚姻手続き自体にも時間と手間がかかりますよね。
実はその後の配偶者ビザ申請も、多くの準備が必要になります。
慣れていない方がご自身で進めると、一日仕事になってしまったり、思わぬ書類の不足や違う書類であったりして、二度手間となることも少なくありません。
また、中国側の役所で発行される証明書の取得には、想像以上に時間がかかることがあります。中国にいるご両親に書類を頼んだものの、内容が異なっていた──そんなケースも珍しくありません。
日本で一緒に暮らすことを決めた場合、国際結婚の手続きのあとに控える配偶者ビザ申請は、まさにお二人の日本での生活の第一歩を決める大切な手続きです。
すでに他の在留資格で日本に滞在している中国人の方も、状況によっては在留資格の変更が必要になる場合があります。
ビザ申請に必要な書類は、婚姻手続きの段階からうまく並行して集めていくことで、後の負担を減らすことができます。
お二人にとって手続きに関して気になることやお悩みがある場合、インターネット上で情報を調べれば調べるほど、かえって不安が増すこともあります。
ご自身だけでなんとか進めようとしても、判断が難しい部分も多いでしょう。
そんなときは、配偶者ビザの専門家に申請手続きを相談することで、より確実に、そして安心してビザの申請へ進むことができます。
中国人の配偶者の方と日本で暮らす配偶者ビザ取得にむけて
配偶者ビザ審査では、単に婚姻届が受理されていることだけではありません。 「実体のある婚姻関係」であるかどうかが重要な審査のポイントです。
これをわかりやすくいうと、たとえば単に日本人を介護する目的の結婚では、実体のある婚姻関係と言い難いという事です。
夫婦はお互い助け合い、真摯な意思をもって共同生活を営むことの本質とした婚姻
つまり、夫婦は互いに理解と支援のもと、誠実な意思をもって共に永く人生を築いていくことが婚姻の本質です。
これが実体のある婚姻関係の意味するところです。 配偶者ビザはお客様の状況によって難易度、許可となる可能性が変わってきます。
中国人の配偶者で不許可リスクのある方はこのような方
実体のある婚姻関係ではない、あるいは偽装結婚の疑いを持たれやすいケースとして、特に中国人との国際結婚の場合、弊所での取扱い実績の中では、次のような傾向が見られます。
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このようなケースでは、婚姻の真実性を裏づける書類の提出が非常に重要です。
お二人が写っている写真やSNSでの交友記録などをしっかりと準備して、実体がある婚姻であることを丁寧に示す必要があります。
配偶者ビザの審査は、お二人の状況や交際の経緯によって不許可リスクが変わるため、慎重な準備が求められます。
リスクが高い方がビザを取得するために、ご自身だけで手続きを行うよりも専門家にお任せしながら準備することをお勧めします。
ご不安な方へ
婚姻手続きや配偶者ビザの準備は、書類ひとつの不足のために時間を大きく失うこともあります。
「どこから手を付ければよいか分からない」「自分たちのケースで許可が出るか心配」──そんな方は、どうぞ一度ご相談ください。
当事務所では、中国人の方との国際結婚・配偶者ビザに関する手続きを多数サポートしています。
お客様のご事情、不安なところを時間をかけて丁寧に伺い、最適な方法で確実な許可取得にむけたご提案を行います。
国際結婚・配偶者ビザに関するご相談のご案内
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[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
地方出入国在留管理官署 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)





