(2024年6月更新)
国際結婚に関連する日本で暮らす配偶者ビザ、永住許可、帰化申請を専門におこなう東京・新宿区・新宿御苑近くにあるフィラール行政書士事務所が国際結婚の国別の手続きを説明します。
オーストリア人の方と御婚約おめでとうございます!オーストリアの国際結婚の手続きでは「面談」があります。日本側が先に手続きがある場合は大使館の方と、オーストリアが先の場合は登記官と。
すこしどきどきですね。では詳しく手続きの流れを確認していきましょう。日本から先に婚姻手続きを行う場合と、オーストリアから先に行う場合をそれぞれを説明していきます。
婚姻要件具備証明書とは
婚姻手続きの重要な書類です!
国際結婚の手続きを進める時に、まず準備を考えなくてはならない書類が「婚姻要件具備証明書」です。「何それ?」と疑問に思う方もいると思います。確かになかなか聞いたことがない書類だと思います。お互いが日本人の場合は、婚姻届けを書いて役所に提出で手続きは完了ですが、国際結婚となると、かなり話が違ってきます。
日本人の方は戸籍謄本をみれば、結婚の要件が役所の方にも容易に判断がつきますが、いきなり外国の方が婚姻届をもって役所に行っても役所の人は、「この人、一体どういう方。結婚出来る方?」をなるわけです。国際結婚手続きにおいて、これを法的に証明するのが「婚姻要件具備証明書」なのです。
「独身であって、かつ婚姻能力を有し相手方と結婚するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する」といった記載があります。
似ているようですが、独身証明書とは違います。日本の市町村役場で、独身証明書の発行もあります。こちらは結婚相談所などに入会するための証明に利用されているようです。混同されないよう気を付けた方が良いでしょう。
日本から先に結婚手続きを行う場合
オーストリア人の婚姻要件具備証明書:EFZ
婚姻要件具備証明書はオーストリアでは、結婚能力証明書と言われる書類が相当します。これは6ヶ月間有効です。東京のオーストリア大使館で申請します。大使館へのお二人の訪問をオンラインで予約し、当日は面談があります。申請から取得まで数週間かかります。郵便で返送されます。
必要な書類
日本人の方
- パスポート
- 戸籍謄本 日本の外務省でアポスティーユ付き ドイツ語翻訳つき
- 申請書
オーストリア人の方
- 出生証明書
- 市民権証明書
- 日本の在留カード/ビザ
- 日本の証明書 運転免許証など
日本側の婚姻手続き
日本の市町村役場に婚姻届を提出します
用意する書類
- 婚姻届
- オーストリア人の結婚能力証明書
- その日本語訳文
- オーストリア人の方の国籍を証明する書類:出生証明書
- その出生証明書の日本語訳文
市町村役場によって必要な書類が異なる場合がありますので、事前に市町村役場に確認してください。
オーストリア側の婚姻手続き
日本側で婚姻が成立したら、オーストリア側へ報告的届出を行います。
オーストリア大使館に日本の市町村役場で発行された婚姻届受理証明書とともに、オーストリア人配偶者の記載がある新しい戸籍謄本を提出します。これらは、日本の外務省のアポスティーユ付き、ドイツ語の翻訳を用意します。
届出のあと結婚証明書を取得します。
取得まで4カ月後という事例もありますので、余裕をもって準備したほうがよいでしょう。
これでオーストリア側の婚姻手続きは完了です。
オーストリアで先に結婚手続きを行う場合
オーストリアでの婚姻手続きの流れは以下の通りです
日本人の婚姻要件具備証明書の取得
オーストリアの日本大使館で入手します。
大使館では、婚姻要件具備証明書のほかに婚姻関係の以下の証明書も発行しています。
- 出生証明書(ドイツ語: Geburtsbestätigung、英語: Birth Certificate)
- 婚姻証明書(ドイツ語: Heiratsbestätigung、英語: Marriage Certificate)
- 婚姻要件具備証明書(ドイツ語: Ehefähigkeitsbestätigung、英語: Certificate)
必要書類
- 申請書
- パスポート
- 戸籍謄本(又は全部事項記載証明書)申請前3か月以内に発行
- 氏名に外国氏名が含まれる方は、綴りを確認できる外国官憲発行の書類を提出して下さい。
・現在、オーストリアの役場によっては、滞在許可申請のために上記証明書を提出する際、アポスティーユの付与された戸籍謄本が求められる場合があります。必要かどうかは、提出先のオーストリア役場へご確認してください。
アポスティーユが付与された戸籍謄本が必要な場合は、戸籍謄本を取得した後、外務省または外務省大阪分室にてアポスティーユを申請します。
オーストリア側での婚姻手続き
結婚の登録
オーストリアの結婚は、まず登記所という戸籍をあつかう役場(Standesamt)で結婚の登録が必要となります。ここでは結婚の法的可否判断を行います。
この登録は6ヶ月間有効です。登記所で結婚の可否判断のため、お二人に対して面接があります。必ず二人で出席しなければなりません。
最初の面談で必要な書類の確認を行います。必要な書類はそれぞれの事情により異なります。提出の役所にあらかじめ確認を行ってください。
必要な書類例
・パスポートまたは写真付き身分証明書
- 出生証明書
- 市民権の証明 または中央市民権登録簿への登録
- ・な居住地が海外にある場合:主な居住地の証明
このほかにも必要な書類を確認します。
日本人配偶者は、戸籍謄本など翻訳、アポスティーユ付きのものを提出します。出生証明書(Geburtsbestaetigung)や婚姻要件具備証明書(Ehefa”higkeitszeugnis)は、オーストリアの日本大使館でドイツ語のものが戸籍謄本をもとに発行されます。
提出する地区の役所によっては、戸籍謄本の原本(日本語のもの+翻訳、アポスティーユ付き)を必要としている場合もあり、必要かどうかもあわせて確認を行ってください。
挙式
登記官の前でお二人の結婚の意思を宣誓することで、結婚が成立します。挙式後、登記所で発行された婚姻証明書(Heiratsurkunde) を入手してオーストリアの婚姻手続きは完了です。
日本側での手続き
オーストリアにある日本大使館もしくは日本の市町村役場に提出します。
日本大使館で提出の際に、必要な書類
- 婚姻届
- オーストリアの婚姻証明書
- 婚姻証明書の日本語訳文(翻訳者名を明記)
- 日本人の戸籍謄本
- オーストリアの人のパスポートとその日本語訳文(翻訳者名を明記します)
これで日本側の手続きも完了します。
まとめ
婚姻手続きには時間がかかるものです。役所への申請に不慣れな場合、一日がかりになったり、何度も足を運ぶ羽目になったりと、労力の割に効率が悪いと感じることが多いでしょう。特に、外国の役所での手続きは予想以上に時間がかかり、ストレスを感じることもあるかもしれません。
日本で一緒に暮らすことを決めた場合、さらに大きな手続きが待っています。オーストリア人の配偶者が日本で暮らすためのビザ手続きです。
すでにビザを持っている場合でも、後にビザの変更が必要になることがあります。こうしたビザの申請手続きは、婚姻手続き以上に準備に時間がかかり、精神的にも肉体的にも負担が大きいです。忍耐が求められる作業が続くことになるでしょう。
ビザの許可条件について不安や悩みがあると、その負担はさらに増します。多くの方が同じような悩みを抱えています。ご自身で対応しようとして「うまくいかない」、つまり許可が下りないことも少なくありません。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 ファーストベース行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |