タイ人との国際結婚手続きのふたつの難しいところを行政書士が詳しく解説

(2024年6月更新)

国際結婚はそれそれの国で法的に婚姻を成立させなくてはなりません。タイ人との国際結婚の手続きを進めていくうえで、実際におこなってみないと気が付かない書類を集めるうえでの難関があります。とても苦労するところです。

タイ人との国際結婚の手続きは、多くの日本人の方の場合は日本で住んでいますので、日本から先に結婚を進めていく方が良いです。この記事は、日本から先に結婚を進めていく場合の2つの難関をくわしく解説します。

 

タイ人との国際結婚の手続きの二つの難関

2つの手続き上の難関は次のタイミングでそれぞれやってきます。

  • 日本で婚姻届を出すとき
  • 日本側での婚姻が成立したあと、タイ側の手続きの準備をするとき

ではこの時点で、それぞれ何が難しいかのでしょうか。

 難関その1:日本でタイ人との婚姻届の届出準備のとき

まず最初の難関です。日本で婚姻届の提出の準備を行うときです。

婚姻要件具備証明書について

市区町村役場への婚姻届の受理で婚姻は成立しますが、国際結婚の場合は婚姻要件具備証明書が必要となります。婚姻要件具備証明書は外国人が母国の法律上婚姻が可能である、婚姻の要件を備えているということを証明するとても重要な書類です。具備という意味は、必要なものが十分に備わっていることです。

婚姻の要件とは、それぞれが独身であるいうことだけではありません。法律で定められている年齢であるということや婚姻待機期間について問題ないなどの法律上のいくつかの要件があります。これらを「すべて」その方は備えていてお相手の方と法律上結婚が可能という証明書なのです。「この人は独身です」という証明書だけでは証明する書類が不足しているということです。

タイ人の証明書類

ところがタイは大使館でのタイ人の婚姻要件具備証明書を発行していません。日本で結婚するためには別の書類が必要となります。これがとても面倒なところです。

代わりの書類を2点準備します。

  • 独身証明書

独身であることの証明書ですが、タイの独身証明書には「~調査の結果〇〇郡において婚姻したことがない」と記載されているだけです。くり返しになりますが、これだけでは婚姻の要件をみたしていることを説明するのは不足しています。

したがい提出先の市区町村役場に申述書を提出します。申述書が必要かどうかは提出先の役場と確認しておきます。タイの役所で「独身証明書」を入手したあと、タイ外務省の認証を受けます。

  • 申述書

独身証明書と一緒に、この書類を提出します。タイ人の配偶者がタイ国の法律上の婚姻要件を具備していることを申述する書類です。申述とは自分の意思を述べることです。つまり宣誓を書面で行います。何を記入するか申述内容については、市区町村役場の様式がそれぞれ少しことなりますが、だいたい以下のような内容となります。

  1. 婚姻年齢に達していること
  2. 近親婚・重婚ではないこと
  3. 独身であること
  4. 精神異常者ではないこと
  5. 禁治産宣告を受けておらず、
  6. 本国法(タイ国法)上の婚姻要件をすべて備えています。

 

提出先の役場に様式が備えてあります。タイ人の方の署名を行います。タイ国の書類を集める所と申述書の準備が最初の難しいところです。

必要書類については、タイ側で取得する人に必要な書類が何かうまく伝わらないと、何度もやり直しとなります。「まーこれでいいっか!」と思いがちなこと、痛いほどわかりますが、無理なところは無理です。この点はタイ人の方にも理解してほしいところです。

タイ人の必要な書類

  • 独身証明書

タイの役所で発行されたもの。タイ外務省国籍認証課で認証済みで、認証後3ヶ月以内のもの

  • 出生証明書
  • 居住証明書
  • 氏名変更証明書

氏名変更されたことがある方

  • 離婚証明書もしくは家族身分証明書

過去に離婚歴がある方

タイ外務省国籍認証課で認証済みの書類

  • 妊娠していないことを証明する診断書

女性側がタイ国籍の方で離婚後310日経過していない場合で、離婚後100日以上310日未満の方

  • パスポート
  • 国民身分証明書(IDカード)
  • 在留カード
  • 申述書
  • 同意書

タイ人が20歳未満のばあい、父母の同意書必要

計画立てて書類の準備を進めていくことが大事です。

つぎの難関のタイミングはどこでしょうか。

 

 難関その2 日本側での婚姻が成立したあと、タイ側で婚姻手続きを行う時

タイ側に日本側の婚姻が成立したことを届け出ることにより、タイ側の婚姻も法定的に成立します。

タイの国際結婚の場合は、日本にある大使館・領事館では婚姻の届出は受け付けていません。タイの現地の役所に届け出ます。日本にあるタイ大使館・領事館で婚姻手続きはおこないませんが、役所に提出のために大使館・領事館での書類の認証の手続きがあります。

 

タイ人との結婚が成立したことの日本側書類の認証

さきほどタイ側での認証手続きがありましたが、今度は日本側の書類を認証手続きがこのタイミングで発生します。

タイ人との結婚が成立した証明書類です。これは婚姻届を日本の役所に提出すると1~2週間で日本人の戸籍にタイ人との結婚届出があったことが記載されます。この婚姻の事実を記載された戸籍謄本をタイの役所に提出するための認証手続きです。

公証手続きと認証手続きのふたつのステップ

認証手続きはとても複雑です。提出する国によっても手続きは異なります。準備を進めるうえで気を付けるのは、どの資料に認証をうけるかということです。

特に添付する翻訳文まで認証を受けるのかは注意して確認して進めた方が良いです。国によってもことなります。同じ国でも言っていることが人によって違う場合があります。

では日本側の書類について認証などについて知っておくべきことを説明します。

  • 公証人役場での認証

英訳した翻訳者の署名認証を行います。日本にある公証人役場で戸籍謄本の英訳した書類の認証手続きです。

公証と認証手続きを理解するのは難しい

私文書がご本人のものである、本人の意思により作成されたものであるということを公的な機関である公証役場が証明します。これがノータリゼーション(公証)です。つぎにその書類についてのスタンプ(公印)が本物であるかどうかを別に機関が証明するという手続きになっています。これがリーガリゼーション(認証)です。

この二つの手続きを進めていきますがいくつかの役所等を回らなければなりません。

まとめ

認証手続きのふたつのステップとは

  • 本人のものであるかどうか (公証)
  • 本人のものを証明するスタンプが本物であるかどうか(認証)

公証は公証人役場で「私文書」に対してのみ行われます。

  • 公文書は公証を行わない
  • 認証を行うルートはいくつかある。

こういったことも理解したほうが良いでしょう。

ふたつのステップを踏むことで、書類が増え手続きがとても複雑で面倒となります。

  • 公証役場

手続きのスタートは公証役場です。

公証役場とはどんなところ

公証役場は役所です。管轄は法務省です。

公証役場とは、いったい何をする所

公証役場とは、公正証書の作成や私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場です。

公証人は、国家公務員法上の公務員ではありませんが,実質的な公務員に当たるとされます。実際には判事,検事,法務事務官などをつとめた方が公証人となっています。

タイの役場に提出する戸籍謄本に認証の手続きが必要となってきます。タイの役場に提出する日本の戸籍謄本は公文書となりますが、英文に翻訳した書類を添付します。この場合次のようになっています。

  • 公文書等に翻訳を添付した場合はその翻訳文書は私文書です。

公証人役場では英文に翻訳した翻訳者の署名認証を行います。

戸籍謄本に英訳文がつけられて、それに対する、認証済宣誓書とNotarial Certificateが添付されます。公文書の戸籍謄本以外の書類には、公証役場のスタンプが押されます。

 

  • 法務局で公証人押印証明の取得

公証役場での認証がおわったら公証役場の公証人が所属している地方法務局で公証人押印証明を取得します。これで公証手続きは完了します。

私文書が公証人の公証をうけて公印が押されると公文書としての認証を受けることが可能になります。

 

  • 外務省での公印確認証明の取得

これ以降は認証手続きとなります。外務省で公印確認の証明を受けます。認証は外務省が公印を確認して証明したというスタンプが押されます。

ワンストップサービスを利用すると便利

北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県の公証役場では、申請人から依頼によって、公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省の公印確認までを一気に行うサービスがあります。(対象の公証役場は2023年1月現在)こちらを利用すると公証役場を訪れるだけで、法務局や外務省へ行く必要がありません。

 

  • 日本にあるタイ国大使館で領事部での認証取得

タイ国大使館・領事館へ認証済みの「戸籍謄本の英訳文・戸籍謄本」を持ち込んで領事認証を受けます。

この時に「戸籍謄本のタイ語に訳した書類」を用意して同時に領事認証を受けます。タイ語への翻訳書類は大使館に決められた書式があります。

これでタイの役所へ提出する、婚姻の事実がある「戸籍謄本」を提出書類となります。

 

以上タイ人との国際結婚で日本側からの結婚を進める場合で、皆さんがとても苦労する2つの難関について解説いたしました。

フィラール行政書士事務所では、タイ人との国際結婚の成立のサポートと日本で暮らす配偶者ビザの申請支援を行っています。

よろしければ当事務所の配偶者ビザのサポート内容について、こちらを確認してください。

 

配偶者ビザのサポート内容

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

 

 

https://www.moj.go.jp/

https://www.moj.go.jp/isa/index.html

 

 

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