一本の電話問い合わせから始まる、配偶者ビザの許可が下りる要素とは。真実の結婚を証明するための長い道のり。困った問い合わせ、偽装結婚の訪問者との葛藤。審査官の心を揺さぶる理由書とは。
東京・新宿2丁目にある、フィラール行政書士事務所の山川先生は、国際結婚や配偶者ビザに関する専門家として知られています。「配偶者ビザとは具体的にどのようなものなのでしょうか?」との質問に対し、親切に説明します。その言葉からは、真摯な結婚と安定した生活を願う気持ちが伝わってきます。一方で偽装結婚に対する厳しい姿勢も示しています。
今日は配偶者ビザの申請のポイントや不許可にならない必勝法があるかどうか詳しく探ってみました。 |
「結婚ビザのすべて」: エッセンスを一挙解説!
------ では、まずは配偶者ビザとは具体的にどのようなビザなのでしょうか?
行政書士: 配偶者ビザは、日本人と国際結婚した外国人の配偶者が、日本での生活を行うための在留資格許可です。国際結婚をした方が、日本で家族といっしょに暮らしていくためのビザです。
------ ありがとうございます。次に、配偶者ビザの申請に必要な書類はどんな書類ですか?
行政書士: 申請に必要な書類には、たくさんありますよ。準備するのが大変です。
まずお互いの母国で結婚手続きが完了している書類が大事です。結婚証明書、日本の場合は、お相手の外国人の名前が配偶者として記載されている戸籍謄本です。
皆さん苦労されるのは、どうやって知り合ってお二人が結婚に至るまでの経緯を記載した質問票や理由書です。今後の日本でのおふたりの暮らしが末永く続くため生計についての証明を課税証明書や納税証明書、預金通帳などを提出します。ほかにもさまざまな書類が必要です。
配偶者ビザの申請では、お二人が偽装結婚でない、真実の恋愛感情からくる結婚であることを証明する必要があります。これはとても大事なことです。
------それは、どうやって証明するのでしょうか。
行政書士:二人がお付き合いを始めたころから、結婚式に至るまでの写真、ラインなどのスクショを用意します。
------どのくらい用意すればいいの?
行政書士:入管のホームページに必要書類の中に写真2~3葉とありますが、うちの事務所の場合ですと最低30枚くらいは用意します。
------用意する写真で気を付けることはありますか
行政書士:お二人が仲良く映っている写真ですね。恥ずかしいかもしれませんが、しっかり、いちゃいちゃしているのが良いと思います。らぶらぶ!
------らぶらぶ、今時使いませんよ~笑
行政書士:そうですね。あとはご両親や友人と一緒に写っている写真が良いですよ。会食しているところ、結婚式や披露宴の写真も大事です。
------どうしてなのですか?
行政書士:偽装結婚している人は、とにかく早く結婚したい。お金を回収したいのですね。だから披露宴とかお金をかけない、友人とも知合いになることはない。わかりやすいです。
------式とか披露宴は、私はあまり行いたくはないのですが、披露宴を行わないとビザは取れませんか?
行政書士:最近は行わない方、多いですよ。当事務所のお客様も多いです。再婚される方は特にね…。そういったお客様にお勧めなのがフォトウェディングです。記念になりますしね。式の写真が無ければ絶対ダメかと言えばそうでもないです。だけど、おふたりの写真がなにも無いと入管へのビザの許可について難易度が高くなります。
しかも慣れていないと、お二人の関係を写真以外で説明する申請の理由書がしっかり書けない。
実のところ、必勝法ってあるの?
------そうなんですね。では必勝法というか必ずビザが取れる方法ってあるのでしょうか?
行政書士:これを準備すれば必ず許可がおりる、必勝法…残念ながらありません。(笑)
ただ不許可になるリスクを低減する方法ならあります。リスクを低減する方法はお客様によって異なります。
行政書士:入管法や査証の制度を理解することはもちろんですが、申請で準備する書類の全体の流れというか、世界感がとても大事なのです。最低限の必要書類だけでは許可はなかなか下りないと思います。皆様それぞれの事情にあった書類を用意すること。入管で審査する方がその書類を読んで、偽装結婚ではないよね、日本で末永く結婚生活を続けていけるよね。審査の方がそう感じとる書類を用意することがとても大切です。
配偶者ビザの場合、理由書をつけることが、とても重要です。理由書にはお二人が知り合ったときから結婚に至るまでの経緯、そしてこれからについて記載します。入管におふたりの結婚が真摯でこれからもずっと仲良くやっていくということを書きます。
お客様の状況をしっかりお伺いして、結婚に至るまでの気持ちの変化を丁寧に確認しないと理由書は書けません。当事務所はお客様に対しての質問の時間をいただいてしっかりと確認して理由書を作成します。入管の審査官の心に刺さる理由書を書くことが当事務所の強みです。もちろん虚偽、偽りでの理由書の作成は絶対しませんよ。
------理由書が大事なのですね。動画の提出は、できないのでしょうか。
行政書士:残念ながら。 入管のビザの申請はすべて書類での審査なのです。
------ 了解しました。次に、配偶者ビザの申請の手続きはどうやって進めるのでしょうか?
行政書士: 進め方ですね。ビザは、入管に対して申請を行います。すでに日本でいる外国の方、在留カードを持っている方は在有資格変更許可申請を行います。
------私の友人は、イタリア人女性とSNSとか言語交換アプリで仲良くなって結婚しました。現地に相手の方がいる場合はどうするのですか?
行政書士:お相手の方が日本に住んでいない場合、日本で暮らすために日本へ呼び寄せるためには在留資格認定証明書交付申請を行います。CEOと呼んでいます。この場合は、入管に申請を行い許可が下りると認定証明書がもらえます。
------そうすると日本に入国できるのですね。
行政書士:認定証明書を持って現地の日本大使館に行き、査証の申請を行います。なかには入管で認定証明書を取得できても、大使館のビザの申請で許可が下りない方もまれにいます。
------えー。日本に来ることは容易ではない…ですね。では、配偶者ビザの申請にかかる費用はどれくらいですか?
行政書士: 申請にかかる費用は、手数料や書類の取得費用などで変わりますが、一般的には数万円から数十万円の範囲です。当事務所では必ず料金表のご説明、その後で見積書を無料でお渡しいたします。
------ それは安心ですね。次に、配偶者ビザの審査期間はどのくらいですか?
行政書士: 審査期間は、ビザの種類、申請される方の状況や在留管理局の負荷の状況によって異なります。数か月かかる場合もあります。
------ ありがとうございます。配偶者ビザの更新はどのように行われますか?
行政書士: ビザの更新は、有効期限が切れる前に在留管理局に申請を行います。す。必要な書類を提出し、審査を受ける必要があります。
------ なるほど。では、配偶者ビザを持つとどのような活動が可能ですか?
行政書士: 配偶者ビザを持つと、日本での就労や学業、ビジネス活動も可能になります。違法な職業でないかぎり業種の制約はありません。風俗関連でも違法でなければ就業は可能です。
ただ更新の時は気を付けてください。風俗で働くようになってストレス発散でお店の帰りに夜遊びをして何日も家にかえっていないとか、他の異性と仲良くなるとかしていると、婚姻生活を真摯に行っていないということで、ビザの更新時に許可が下りない可能性もありますよ。
------ ありがとうございます。では、配偶者ビザの申請を自分で行うことは可能なのでしょうか?それとも配偶者ビザの申請に弁護士や行政書士の助けは必要ですか?
行政書士:自信をもって、配偶者と一緒にがんばって準備を進めると、時間がかかると思いますが意外と何とかなるかもしれません。
すこしでも不安なところや気になる所がある方はビザの専門家の行政書士などにサポートしてもらうのがビザ取得への近道となると思います。
------ 了解しました。最後に、配偶者ビザの申請が許可されなかった場合、どのような選択肢がありますか?
行政書士: ビザの申請が不許可になったた場合は、一度に限り入管に理由を聞きに行くことができます。行政書士が同行することもできます。一緒に行くととても心強いですよ。当事務所で扱った申請で、不許可になった場合では入管に理由を聞きに行き、対策を確認して無料で再申請を行います。もっとも同じ理由で申請しても不許可になります。最終的に不許可になった場合は、他のビザの可能性の検討をおこなうとともに、いったん出国することをお勧めしています。改めて不許可をリカバリーする対策を検討して再申請で日本に呼び寄せるパターンが多いです。
------ ありがとうございます。貴重な情報を提供していただき、大変参考になりました。
問合せの陰にある葛藤
------これまでで、対応に困ったお客様はいらっしゃいましたか?
行政書士:あまりないですね。配偶者ビザのご依頼される方で、偽装結婚ではないかと思われる方の問い合わせが時々あります。
また時々名前もおっしゃらずに、国際結婚についてお相手の外国人の方がこんな事を言っていますがそれって本当ですか?とか彼女の言っていることは正しいのかどうか教えてくださいという問い合わせを、一方的に電話で話されることありますね。問い合わせの内容が前婚の離婚に関係することについてだったり、とかなんですが。
------えーどうするのでしょう?
行政書士:偽装結婚と感じられる問い合わせに対しては、しっかり「塩対応」ですね。
偽装結婚の疑いが無くても、一般的な手続きの問い合わせについては、電話では正しく伝わらない可能性があり、お時間をいただくような内容の場合があります。当事務所では電話ではお答えを行っていませんとお話いたします。
特に、先ほどの前婚の離婚に関するような話で、言っていることが正しいかどうかといったような場合で、今後紛争の起きる可能性のあるご相談は、行政書士はご相談をうけること不可能です。そのような場合は弁護士さんへの相談をご案内します。もっとも話す前に電話をお切りになられる方も多いですが。
電話で名前もいただけず、教えてほしいと、とつぜん言われた場合は、特に後々お互いが限られた情報のなかでお互い誤解することの無いよう、時には少し強めの口調ではっきりと説明することがあります。
こんな時に、人によっては上から目線の言い方で電話対応がなっていないとかクレームを受けたこともありました。これくらいの話し方を行わないと伝わらない場合があったり、特に愛情というか想いが絡んだ配偶者ビザの場合は思い込みが強い方がいらっしゃって、なかなかこちらの説明を受け入れてくれない方が残念ながらいらっしゃいますから。どうしても強い言い方にせざるをえないというか、説明している、私も心が痛む。理解いただけなくて、とても残念です。
------ありがとうございます。理由書がとても配偶者ビザの申請に大事なところ、お客様のお困りの状況に丁寧に耳を傾ける姿勢がよく伝わってきました。国際結婚のカップルが日本で一緒に過ごすビザについて新宿で専門にビザのサポートを行っているフィラール行政書士事務所の代表の山川先生にお話をお伺いいたしました。今日はありがとうございました。
行政書士: どういたしまして。法に触れる方や紛争性のある危ない事情をもった方に対しては、厳しい物言いをおこなわざるを得ません。真実の結婚、今後も末永く日本で夫婦で暮らしていくことをご希望されるお客様に対しては、時間をいただき、しっかりとお困りごとをお伺いするなど、優しく丁寧にお打合せを行うことを心がけています。安心して御来所ください。
私の目指すところはビザの取得だけではありません。その先のお客様の日本での安全で安心できる継続した生活を、ビザをとおして可能にすることです。コンプライアンス最優先でご対応しています。これからも皆様のお役に立てるよう努めます。
インタビューを終えて
初めてお会いした時、私は緊張していましたが、先生は素敵な笑顔で温かく迎えてくださいました。 先生の優しい笑顔に、心が一瞬でリラックスしました。穏やかなお人柄と温かな心遣い、お話をお伺いしてお客様の不安や困りごとに寄り添い、真実の結婚を証明するための細やかな配慮を行っているという真摯な姿勢が伝わってきました。 先生の温和な人柄が、厳しい口調を取らざるを得ない場面で、実は心を苦しめていることを感じ取れました。ビザ取得だけが目的ではなく、お客様の将来のことまで真剣に考えていることがうかがえました。
|
[この記事の監修者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html