(2025年8月更新)
国際結婚の婚姻手続きには、婚姻要件具備証明書の提出が必要です。東京・新宿のフィラール行政書士事務所が国際結婚の手続きについて説明します。
婚姻要件具備証明書とは?独身証明との違いから最新動向まで
国際結婚を進める際、日本で婚姻届を出すときも、海外で婚姻手続きを行うときも、多くのケースで必要になるのが「婚姻要件具備証明書」です。
役所で「ご本人の婚姻要件具備証明書をご用意ください」と言われ、思わず「それは何ですか?」と戸惑う方も少なくありません。
一言で申せば、これは 「あなたが本国の法律上、結婚できる条件を満たしていることを証明する書類」 です。各国の大使館や法務局などが発行します。
しばしば「独身証明書」と混同されますが、実際にはもっと広い意味を持っています。
独身証明書が証明している独身かどうかだけでなく、結婚可能な年齢であるか・再婚禁止期間に当たらないかといったいくつかの条件を含めて証明しているのが、婚姻要件具備証明書です。
相手の方の国籍によって、結婚可能な条件は異なります。先ほど示した条件以外にも条件がある国も数多くあります。
国際結婚に必要となる婚姻手続きの流れ
国際結婚の手続きは、「日本から始めるか」「相手国から始めるか」で必要な書類や審査の流れが大きく変わります。
よくブログである例として「数か月も余計にかかってしまった」というケースです。
大切なのは、お二人がどこに住んでいるのか、準備にどのくらい時間をかけられるのか、そして日本で仕事を持つ方が現地に長期間滞在できるのか——といった現実的な条件をふまえて判断することです。
まず、どちらの国から先に行うか、決めることが重要です。
日本で先に婚姻手続きをする場合
まず日本の市区町村役場に婚姻届を提出し、法的に婚姻を成立させます。
この場合、外国籍の方については、在日大使館・領事館で「婚姻要件具備証明書」を取得することが一般的です。
しかし、多くの国では、外国の方が日本に住んでいないと在日大使館・領事館で「婚姻要件具備証明書」は発行しません。
在留カードが発行されない、短期滞在ビザやノービザで入国している場合、日本にある各国の大使館や領事館ではが証明書を発行しないという事です。
その際には本国から直接取り寄せる必要があります。国際結婚を行うことが決まったら、なるべく早めに日本にあるお相手の方の大使館へ確認しておくことが不可欠です。
相手国で先に婚姻手続きをする場合
先に相手国で婚姻を成立させ、その後に日本へ報告的に届け出をする流れです。
この場合、多くの場合日本人の「婚姻要件具備証明書」を求められます。
証明書は法務局やその支局で取得します。海外在住の場合は現地の日本大使館・領事館でも手続き可能です。
また本籍地のある市町村役場で同様の「婚姻要件具備証明書」を取得できますが、中国のように国によっては法務局や支局発行のものでないと認めないという国があります。
また追加の翻訳、公証、認証が求められることもあり、余裕を持った準備と事前の確認が必要です。
日本の場合、申請、受取は本人でないと認められません。代理人では、取得できませんので注意が必要です。
また郵送も対応していません。
取得にあたり用意する書類
日本人が用意するもの
(1) 請求者の戸籍謄本又は抄本(なるべく新しいもの) 1通
(2) 請求者のパスポート又は運転免許証等の身分証明書
(3) 請求者の認印
この証明証はお相手の方の氏名・性別・生年月日・国籍を記載しますので
お相手の方の資料も準備する必要があります。
お相手の方が用意するもの
・パスポート
・在留カードなど本人確認資料
その他注意することはありますか
申請書の相手方の氏名は,原則としてカタカナで記載しますが,漢字使用国の場合は漢字で記載することができます。なお,お相手の方が中国籍の方の場合は,氏名の漢字が簡体字(中国で使用している簡略体の漢字)かどうかを確認の上,簡体字のときは対応する日本の正字を確認して記載してください。
参考までに、出入国在留管理庁が公開してるホームページで「出入国在留管理庁正字検索システム」があります。こちらは、在留カードで基本ローマ字表記となっている在留カードですが、中国の方、韓国の方で漢字表記を併記することを希望される方のために、検索システムを設けています。
簡体字を在留カードの氏名表記に使用できる漢字は,法務省の告示において規定されている正字の範囲の文字に置き換えて記載されます。簡体字等によっては,全く意味の異なる漢字(正字)となることもあります。このため事前に検索するシステムを設けています。
URL記載しておきますので参考にしてください。(2020年2月現在)
http://lapse-immi.moj.go.jp:50122/
また婚姻要件具備証明書の申請について、相手方の氏名等について申請書の記載を間違えて請求しますと,後から訂正することはできません。手続きがやり直しとなりますので注意してください。
婚姻要件具備証明書がない国もあります
国によっては婚姻要件具備証明書の制度がない国もあります。
その場合はこれに代わる書類を提出することになります。
たとえば、
・外国人が、在日領事館で婚姻に関し法的に問題ないことを宣誓した書類などが認められる場合があります。
例えばミャンマーの場合は、こちらも婚姻要件具備証明書の制度がありませんが
・公証弁護士が作成する独身証明書と家族構成リスト
を提出することとなっています。(日本語訳が必要)
婚姻要件具備証明書については、事前に提出する在日大使館や日本の市町村役場に事前に相談しておくと後の準備が格段に早くなります。
国際結婚の手続きを、確実に・スムーズに進めるために
国際結婚の手続きは、お相手の国によって必要な書類や準備の流れが大きく異なります。
平日はなかなか休暇が取得できない、限られた時間の中で、必要な書類をそろえ、適切な順序で取得していくのは容易ではありません。
ストレスなくなるべく早く進めるためには、婚姻手続き全体の流れをしっかり理解し、段取りよく準備を進めることが欠かせません。
こうした部分こそ、専門家からのアドバイスをもらいながら手続きを進めていくことが大切ではないでしょうか。
当事務所では、婚姻要件具備証明書の取得から配偶者ビザの申請まで、お二人の状況に合わせたサポートを行っています。
無料相談も承っており、ZOOMでのオンライン対応も可能です。サポートを希望される方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
海外在住の日本人が婚姻要件具備証明書を取得する場合
婚姻要件具備証明書は、原則として日本国内の法務局(地方法務局または支局)で、本人が直接申請・受領する必要があります。
代理人による申請や郵送での取得は認められていません。
しかし、海外にお住まいの日本人の方が、相手国から「アポスティーユ付きの婚姻要件具備証明書」を求められるケースがあります。
この場合、日本の法務局が発行する婚姻要件具備証明書が必要となりますが、どうしても日本に来庁が難しい方については、弊所にお問合せください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |