(2024年8月)
「育成就労」制度を創設する改正出入国管理・難民認定法などが2024年6月14日に参議院を通過して、法案が成立しました。
この法律は令和6年6月21日(法律第60号)に公布されました。これまでの「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」と改正されて、育成就労制度が始まります。
新しい法律ではなく、抜本的な法律の改正です。
育成就労制度は2027年から?
育成就労制度は、いつからはじまるのでしょうか。法律が施行されるのは公布の日から起算して3年を超えない範囲内の政令で定める日となっています。
現段階では、具体的にいつからかは現段階では未定です。
一方で施行までのマイルストーン(予定)が公開されています。
改正法施行を3年後の2027年(令和9年)として
・2025年までに基本方針や主務省令を作成
・2025年から2026年にかけて分野別の運用方針の作成
※運用の詳細については、これらの省令や方針がまとまった以降となります。
育成就労産業分野の設定等
・2024年から2027年に向けて送り出し国とMOCの交渉・作成・署名
などのスケジュールとなっています。
したが改正法の施行は2027年のどこかをターゲットとしているようです。
これにより 1993年から始まった現在の外国人技能実習制度が廃止されます。
制度の目的が明確に変わります
外国人が母国で学べることのない技術について、一定期間日本に受け入れて、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度では、発展途上国の人材育成という国際貢献を目的としていましたが、育成就労制度では日本における外国人材の確保・育成を目的としています。これはこれまでの外国人の出身国のための制度から受け入れる日本のための制度に目的がかわるということになります。
育成就労制度では受け入れる分野は介護や建設、農業など特定技能制度の特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)とそろえ、12分野となる見込みです。それ以外の職種にも追加するかどうかの検討を進めるようです。
育成就労制度では基本的に3年で、特定技能1号の水準の人材に育成を図ります。
どうなる?既存の技能実習生 育成就労制度への移行期間
既存の実習生はどうなるのでしょうか?
制度が激変されるのを緩和するために移行期間が設けられる予定です。
現行の技能実習制度では通例技能実習期間が3年となっており、実習生とし来日した外国人が実習期間を修了するまでの3年間について、技能実習制度を平行して残る見込みです。新制度が2027年から始まりますので2030年までが移行期間となる予定です。
育成就労に関する施行日と技能実習に関する経過措置
入管の資料で次のように経過措置について公表されています。(以下は、出入国在留管理庁 育成就労制度の概要より引用)
次の場合①と➁にかぎり施行後の技能実習を行うことが可能です。
①施行日までに来日している場合
施行日までに技能実習を行っている場合は、そのまま継続して技能実習を行うことが可能です。
➁施行日前に技能実習計画の認定を申請している場合は、
次の場合に施行日以降も技能実習生として入国が可能な場合があります。
施行日から3か月以内に技能実習が開始されることを内容とする技能実習計画に限ります。
技能実習計画は施行日以降の認定の可能性があります。
技能実習を終えて帰国した方は
施行日前に技能実習がおわり出国した方は、「技能実習」のビザで、つまり技能実習生として再度入国はできません。
期間や職種によって育成就労外国人として再び日本へ入国できる場合もあります。
図表:技能実習に関する移行措置
就労ビザ | フィラール行政書士事務所 (firstbase.info)
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html