こんにちは!東京・新宿区高田馬場のファーストベース行政書士事務所です。従来製造業やサービス業などで、深刻に「人手不足」となっているいわゆる単純労働の業務には、留学生が日本の大学を卒業してもそのような業務には就業することはできませんでした。これがかえって留学生の日本の就職の幅を狭めているといわれていました。
経営戦略アドバイスでお付き合い戴いている製造業の会社のご担当者の方から先日お電話を戴きました。
「大卒外国人が現場で働けるビザがあるみたい。ねぇ教えて!」
「うーん。(よく調べたなぁ……)」
在留資格 特定活動46号
就労系の在留資格の場合、ほとんどの場合現場系の単純労働とされている職種に就労はできません。留学生が日本の大学などを卒業して、企業で働く場合「技術・人文知識・国際業務」という在留資格で働くことが多いですが、サービス業務、現場系の業務、繰り返し作業などに該当するような業務に就くことはできません。また学校で専攻した内容と企業の業務が整合性がないといけないので、かなり制約のある在留資格で、日本で学んでも職を見つけることができなく本国へ帰る留学生も少なからずいました。
2019年6月の告示で、日本の大学を卒業して、日本で企業などに就職したい場合に、大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動を認める在留資格が制度化されました。
この制度においては,上記の要件が満たされれば,サービス業務、現場系の業務、繰り返し作業に就くことが可能となります。
どんなことが可能となるのでしょうか
- サービス業の場合
たとえば飲食店のでの接客が可能となります。外国人だけではなく日本人に対する接客も可能です。
⇒外国人のお客様との通訳や店舗企画などの業務が含まれていること。
皿洗いや店舗の清掃といった単純作業のみの従事は認められません
- メーカの生産現場の場合
たとえば製造ラインに入っての組み立て作業が可能になります。
⇒ほかの外国人の作業者、技能実習生への指導や監督、ライン管理や工程改善の業務がふくまれていること
製造指示書や組み立て作業指示などによる単純作業の業務は認められません。
企業の方にとって魅力的でしょうか。では、外国人の方にとっては、どうでしょうか?それでは、要件を少し詳しく見てみましょう。
特定活動46号 在留資格の許可要件
学歴について
日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了された方に限ります。
外国の大学や大学院は対象ではありません。また日本の短期大学も対象外です。
- 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方
もしくは資格を取得していなくても
- 大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方
外国の大学で日本語を専攻した方も対象となります。この場合は併せて日本の大学を卒業、あるいは日本の大学院を修了していなければなりません。
業務内容についての2つの要件
- 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」
これは、作業指示による自分で完結する繰り返し作業といった単純作業だけではなく、取得した日本語能力を活かし、翻訳・通訳に関する業務や、お客様や他の外国人労働者といった第3者へのコミュニケーションを取る業務を行っていることです。
- 日本の大学又は大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められること
これは、技術開発であるとか、販売とか、経営企画や商品企画、管理業務、広報や教育など大学で修得する知識が必要な業務を行うことをさしています。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格にあてはまる業務と一緒です。
雇用契約形態など
- フルタイムの勤務であること
パートタイムやアルバイトは対象とはなりません。
- 雇用契約先の常勤の職員であること
派遣社員として派遣先での勤務は認められません。
- 賃金は日本人と同等以上
賃金は同一の職種の日本人と同等額以上であるが判断基準となっています。 大卒や大学院卒業者レベルの水準を参考とします。
その他の要件
- 素行が善良である
週に28時間を超えたアルバイトを行っていた場合などは、素行が善良と言えません。
- 入管法に定める届出の義務をはたしていること
こちらも要件となっています。
家族について
この在留資格を取得すると、扶養する家族の滞在がみとめられ、配偶者や子は特定活動(本邦大学卒業者の配偶者等)47号の在留資格を取得することが出来ます。
果たしてニーズがあるのでしょうか
こういったニーズがあるかどうか、制定当初は少し懐疑的でした。なぜなら日本の大卒者と同じ給与で外国の方を現場に近いところで雇用することについて、コスト面でメリットを考えるとニーズがあるかどうか。そして外国人にとっても大卒、N1まで取得された方が、現場作業に近いところをわざわざ選択するかどうかという点です。
世の中の変化に、上手に制度を活用しましょう
さて新型コロナウィルスにより、社会活動は大きく変化してしましました。市場も変化し、企業は生き残りをかけて改革を進めています。このような中で、うまくこの制度を活用すると人材をうまく活用できる可能性を持った制度なのかもしれないと、最近考えています。
それは大卒留学生にとってもメリットがあるかもしれないという事です。
たとえば、コロナによる売上減で、バイトやパートタイムの方をやむなく解雇したものの現場が労働力不足で回らなくなってしまった場合、ジョブローテーションでなんとか現場に人を当てたい場合など、今持っている在留資格の変更で使える可能性があります。
現場の業務の見直しが大事です
その場合には会社側は、アサインする業務を上記のような要件に当てはまるように現場の業務を変えてあげることが必要です。つまり単に労働力不足を賄うのではなく、仕事のやり方を今までの方法から変えて、知見のある大卒者を現場投入することでの業務改善を図る仕組みと変えてあげる。それは企業としてもメリットを期待できるという事となります。現場での作業は、モチベーションを維持させるかが重要となります。「現場を知る」ことでのメリットとその後のキャリアプラン、育成計画を本人とよく話し合うことが必要でしょう。
現場業務改善活動にもしっかりアドバイス
法令遵守して、制度をうまく活用し、環境の変化に対応して事業を一層大きくさせていきましょう。
製造業や建設業を永らく経験したファーストベース行政書士事務所代表は、事業者へのアドバイスも経験を活かして的確に行えます。外国人雇用に関することだけではなく、現場の改善活動などお困りの事がありましたら御連絡をお待ちしています。
許可申請に必要な書類
在留資格変更許可申請書 1通
写真(縦4cm×横3cm) 1葉
パスポート及び在留カード 提示
申請人の労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書(写し) 1通
つまり雇用契約書です
雇用理由書
日本語を用いた業務等,この制度に該当する業務に従事することを所属機関(雇用する会社、団体など)が作成した書類
雇用契約書で明確に記載があれば提出不要です。
様式はきまったものがありませんが、所属会社名及び代表者の記名押印が必要です。
申請人の学歴を証明する文書
卒業証書(写し)又は卒業証明書(学位の確認が可能なものに限ります。)
申請人の日本語能力を証明する文書
日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テスト480点以上の成績証明書(写し)
外国の大学において日本語を専攻した方については,その大学の卒業証書(写し)又は卒業証明書
事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先の沿革,役員,組織,事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が記載された案内書
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書
(3)登記事項証明書
(4)勤務先のホームページの写し(トップページのみで可)