企業内転勤ビザの取得: 海外企業からの日本への転勤出向ビザを行政書士が解説

(2023年9月更新)

海外の企業からの転勤や出向で日本の会社に人事異動により外国人材を呼び寄せるビザが在留資格「企業内転勤」です。

同じ就労に用いられるビザの在留資格「技術・人文知識・国際業務」との違いはどこにあるのでしょうか。

企業内転勤ビザのおさえるべきポイントは大きく一つ。

学歴要件が企業内転勤ビザには無いことが技術・人文・国際業務ビザとの大きな違いです。それでは詳しく確認していきましょう。

企業内転勤とは Intra-company Transferee

会社は人材を育成し、本人の適した業務、もしくは必要とされる部門に戦略的に配置をおこない事業の業績に貢献させる手段として、適切な時期に、定期的または不定期で人材を異動させることを行っています。あるプロジェクトを立ち上げた場合も他の部門から人材を支援してもらうことがあります。

企業のグローバル化により、国内企業が外国の事業所を設けたり、海外企業が日本に進出するようになりました。人事異動をともない他の事業所に異動することは、必ずしも日本国内だけではなく、国外の事業所から海外の人材を日本の事業所へ異動させてリソースを活躍させたいというようなニーズも想定されます。

「企業内転勤」の在留資格は、このような場合に外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。

在留資格「企業内転勤」の許可の要件は次のようになっています。

企業内転勤ビザに該当する業務とは

それでは「企業内転勤」のビザで就労が可能な業務はどんな内容でしょうか?

企業内転勤の対象となる方

外国にある会社の職員の外国人で、その会社の日本にある事業所への転勤となるときに「企業内転勤」の在留資格を使います。

事業所は、外国企業であっても日本企業であっても構いません。また本社・本店が日本でも海外でも構いません。また、民間企業だけではなく、公社、政府関係機関、外国の地方公共団体でも構いません。また営業所や駐在員事務所でも構いません。

業務の内容

業務については転勤前も転勤後も「技術・人文・国際業務」の在留資格に相当する業務が対象となります。

転勤前の業務が転勤後と同じ内容の業務でなくても構いません。「技術」業務で1年の実務を行った方が日本で「国際業務」の仕事に就く、「人文」業務を行っていたかたが、「国際業務」の分野の就労をするということも可能です。

重要な注意点は、「技術・人文・国際業務」にあったような学歴の条件が、「企業内転勤」では外国人の学歴に条件がないということです。

単純労働はできません。

会社についての要件

企業内転勤ビザでは、会社についての要件がさだめられています。

系列企業内の転勤について

転勤は普通は同じ会社間、つまり本社・本店と支社・支店などの人事異動ですが、系列企業内の人事異動も対象となります。

系列企業内という範囲がどこまでを対象としているかということですが、これは財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則第8条で細かく規定されています。

系列企業内、「親会社」「子会社」および「関連会社」の出向も転勤に含まれます。「親会社」、「子会社」、「関連会社」の定義もこの規則の第8条に定義されています。

  • 本社と支店間の異動
  • 親会社と子会社間の異動
  • 子会社間の異動
  • 親会社とその関連会社 子会社とその関連会社の異動
  • 孫会社は みなし子会社として扱うことができ、孫会社間の異動も対象です。
  • ひ孫会社間は異動対象とならないのですが、親会社がひ孫会社まで一貫して100%出資している場合は可能となります。

対象とならない異動
関連会社間の異動は対象とはなりません。

また事業所は特定されます。派遣のような事業形態では「企業内転勤」の在留資格の取得は、困難となります。

企業の安定性や継続性

日本の国内の事業所だけではなく、海外の事業所の安定性等も問題となります。

申請人と会社との関係

企業内転勤ビザでは会社の要件だけではなく申請人との関係も重要です。

契約があること

雇用契約、役員としての委任契約を本人と締結されていることです。同一の法人内では、以前からある契約で、新たに契約を結ぶ必要はありません。

異動期間について

「転勤」という、一時的に日本で働く場合の在留資格です。日本の事業所での勤務期間の設定が必要です。いつまで日本で勤務して、転勤元へいつ復帰するか決まっていることです。
日本の人事異動で別の会社出向する場合に、ときには出向期限が決まっていない場合があったりします。また期限が決まっていても、暗黙の了解であって書面での明示がない場合もあったりします。

そうではなく、辞令書、転勤命令書等において期限を明記する必要があります。外国の事業所へ戻さない片道切符といった内容の人事異動で戻る時期が未定となっている転勤命令書では許可がおりません。

大事なのは申請時点において、転勤の期限がさだめられていることです。

申請人について

申請人に関してもいくつかの要件があります。

勤務についての要件

「技術・人文・国際」の在留資格に相当する業務を転勤の直前に1年以上従事していることが必要です。この1年間には、「企業内転勤」の在留資格でで日本で仕事をしていた期間も含まれます。

海外のオフショア会社で開発したソフトウェアを日本の親会社でコアな製品に実装するために6カ月間「企業内転勤」の在留資格で日本で働き、プロジェクトが終わって帰国した後、3ヵ月後にまた日本に呼ぶときは、この6カ月の期間も含まれます。

  • 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬をうけること

転勤後の報酬は日本の事業所から受けても、海外の事業所からうけても、また両方から報酬をうけてもどちらでも構いません。

 

企業での外国人材ビザマネジメントはとても重要

申請にあたり準備する多くの書類があり、また会社間の異動における会社の関連性や上記記載しているように安定性や継続性などの説明資料、さらには招聘する理由や業務内容を具体的に説明する資料が必要となります。

会社が外国人材を受け入れるときは、ご担当の方々は労務、経理面だけではなく出入国管理制度を理解して適切なサポートを外国人材に行わなければ、思わぬところで法令違反を犯してしまいます。

在留資格制度に知識のある専門家から継続的サポートはとても有効な経営判断ではないでしょうか。

ファーストベース行政書士事務所では、ビザの申請取次業務だけではなく、日々の外国人の雇用に関する在留資格、ビザについてのサポートやアドバイス契約での対応も行っています。

よろしければお問い合わせください。

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

ファーストベース行政書士事務所 代表

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

 

 

         

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