(2024年6月更新)
中華料理やタイ料理、ベトナム料理のコックさんを雇う場合の在留資格はなんでしょうか?
多くの場合は技能という在留資格を取得して就労することになるでしょう。
在留資格 技能 Skilled Labor
在留資格の「技能」とは、外国の熟練労働者を受け入れるために設けられた在留資格です。
どんな業務が該当するか
この資格に当てはまるのは、どんな業務でしょうか(在留資格該当性)。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する業務に従事する活動が該当します。」
具体的には、外国料理の調理、外国に特有の建築や土木の技能に係る建築技術者、外国特有のガラス製品・ペルシャじゅうたんなどの外国特有製品の製造・修理、宝石・貴金属・毛皮加工、動物の調教、石油・地熱等の堀削調査、定期便・純定期便・事業用航空機操縦士、スポーツ指導者、ワイン鑑定(ソムリエ)などの熟練した技術を保有して業務に従事する外国人が該当します。
① 日本人で代替できない産業上の特殊な分野に属していること
② 熟練した技能を持っていること
表許可において重要なのは、調理師の場合「料理の調理、食品の製造にかかわる技能で、外国において考案され、わが国において特殊なものを要する業務に従事する」に該当するかどうかです。
表1 産業上の特殊な分野
1号:調理師 | 外国に特殊な産業分野 | 6号:石油・地熱等の堀削調査 | 我が国において従事する技能者が少数しか存在しない産業分野 |
2号:建築技術者 | 7号:航空機操縦士 | ||
3号:外国特有製品の 製造・修理 | 8号:スポーツ指導者 | 我が国の水準より技能レベルが高い産業分野 | |
4号:宝石・貴金属・毛皮加工 | 我が国の水準より技能レベルが高い産業分野 | 9号 ワイン鑑定等 | |
5号:動物の調教 |
※1号から9号の区分は、上陸基準省令記載の1号から9号を指します。
調理師のビザ
コックさんで呼び寄せるには、上記のうち第1号の調理師に該当する方です。
上陸許可基準の説明
実務経験は10年
10年の実務経験が必要です。外国の教育機関で調理や食品の製造に係る、専門的な教育を受けた期間を含みます。タイ人の調理師の場合は実務経験は5年となります。
タイ人タイ料理人の場合
タイ人タイ料理人が5年の職務経験の適用(2007年11月発効の日タイEPA(経済連携協定)の適用)を受けるためには以下すべてに該当しなくてはなりません。 ・5年の実務経験を証明できること。 |
実務経験は立証する資料が必要です。在職証明書(所属の店舗名、所在地および電話番号の記載があるものに限ります)などで説明となります。在職証明書が出せるような店舗での経験となります。屋台ではだめです。また偽造した在職証明書が出回っている国もあるようです。気をつけてください。
在職証明書はレターヘッドのあるものを用意します。レターヘッドを用意しているだけのお店かどうかということです。10年の実務経験は、ひと月ふた月かけていても、要件を満たされず不許可となります。
以前勤務していたレストランが店を閉めてしまっていて在職証明書が取れない場合があります。この場合実務経験が欠けてしまいます。
10年には、外国にある専門学校などで該当する料理を学んだのであれば、その期間を実務経験に入れることができます。たとえばベトナムの専門学校で2年間料理を学んだベトナム人のコックさんは、8年間の実務経験があれば良いです。
報酬
在留資格の重要な要件です。日本人の調理人と同等以上の報酬を得ることです。
本格的な外国料理であること
どんな料理をつくる方が対象となるのでしょうか
中国料理、フランス料理、インド料理、タイ料理といった各国料理の調理師、中華料理の点心 パン パティシエを作る方などといった本格的な外国料理を作る調理師や製菓、パティシエなど該当します。
中国では、点心の調理人を点心師といい、5つの等級にランクが分かれており最上位の点心師は何人もいないと言われています。
ラーメンやカレーライスといったものは該当しません。たとえ料理の起源は外国にあったとしても、日本で進化をとげて日本で一般に普及してしまっていますので、熟練した技能を要することおよび特殊なことには一般的に該当しないからです。
ある程度の金額のコース料理を出すような店であえば、熟練した技能が必要とされると言えるでしょう。しかし高額のコース料理が必ずメニューにないといけないかといえばそうではありません。
企業やお店の継続性 永続性も問われます。新規店でも構いません。老舗の店にくらべて新規のお店は、事業計画書をきちんと作りこんで継続性や永続性を説明することが重要になります。
またお店の形態も、席数が最低でも20席はないと難しいでしょう。申請する調理人のほかに給仕する従業員がいること(給仕やレジなどの現場の業務を担当しないこと)、調理師が技能を発揮できるだけの調理場があることも必要です。
外国人のコックさんを呼び寄せる
外国人の実務経験証明書を10年分提出するのは、少しハードルが高いかもしれません。さらに、雇用するお店の形態や従業員の人数などで要件を満たさない可能性もあります。
店舗が外国人コックさんを呼び寄せる場合は、要件を理解して、慎重に申請書類を準備する必要があります。ビザの申請の専門家と一緒に進めるのも良い方法だと思います。
次の記事はフィラール行政書士事務所の就労ビザのサポート内容を説明した記事です。
もしよろしければご検討してみてください。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |