配偶者ビザから永住ビザへの特例が厳格化へ|婚姻5年・在留3年に引き上げ方針【ビザ専門高田馬場】

作成:ビザ専門行政書士 山川 鬪志(申請取次行政書士・登録番号19082576)

配偶者ビザをお持ちの方が永住許可を申請する際の特例——婚姻期間3年・在留期間1年で申請できるルール——が、婚姻期間5年・在留期間3年に引き上げられる方針であることが報じられました。あわせて、就労ビザなど他の在留資格から永住を目指す方を中心に、年収・年金に関する要件も新設される方針です。

2026年8月4日、出入国在留管理庁がこの改定案の原文を公式に公表し、意見公募(パブリックコメント)を開始しました。2027年4月の適用が予定されていますが、正式に決定した制度ではなく、あくまで「案」の段階です。原文で示されている内容を、行政書士として整理してお伝えします。

配偶者ビザ全体の申請手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【2026年8月4日追記】出入国在留管理庁が「永住許可に関するガイドライン改定案」の原文を公表し、意見公募(パブリックコメント、受付期間2026年8月4日〜9月3日0時)を開始しました。これまで新聞報道でしか分からなかった内容が、公式文書として確認できるようになりました。本記事はこの原文の内容を反映して更新しています。ただし、この段階でも正式に決定した制度ではなく「案」であることに変わりはなく、寄せられた意見を踏まえて内容が変わる可能性があります。

永住許可(配偶者特例)改定案のポイント:現行は婚姻3年以上・在留1年以上、改定案は婚姻5年以上・在留3年以上。年収・年金・国益要件が新設予定。2026年10月に年収要件、2027年3月に有識者会議、2027年4月に配偶者特例・年金・国益要件が適用予定。年収の具体的な金額、経過措置、遡及適用などは現時点では未公表・未確定。

配偶者ビザの特例、何がどう変わるのか

現行
婚姻期間:3年以上
在留期間:1年以上
(日本人・永住者の配偶者の特例)
改定案
婚姻期間:5年以上
在留期間:3年以上
(引き上げ後の想定)

これまで、日本人や永住者と結婚された方は、通常の永住申請に必要な在留期間(原則10年以上)によらず、婚姻期間3年・在留期間1年という特例で永住申請ができました。今回の改定案では、この特例の期間そのものが延長される方針です。国際結婚をされたご夫婦にとって、永住までの見通しが変わる可能性がある変更です。

日本人の配偶者のビザも、年収要件は厳しくなるの?

結論から言うと、日本人・永住者・特別永住者の配偶者・子の方は、年収要件・年金要件そのものの対象には原則としてなりません。入管法第22条第2項ただし書により、独立生計要件(年収・年金要件を含む)への適合は法律上不要とされているためです。改定案でもこの免除規定自体は維持される方針です。

ただし、まったく無関係というわけでもありません。新設される「公共の負担とならないこと」要件(国益要件の一部)だけは、独立生計要件が免除される配偶者の方にも及びます。

ただし、家族単位での在留の安定や人道的配慮を重視して、総合的に判断されるとされています。つまり「配偶者だから年収要件と無関係で安心」というわけでも、「配偶者にも一律に年収基準が課される」というわけでもなく、影響を受ける部分と受けない部分がはっきり分かれている、というのが正確なところです。

永住の収入要件はどう厳格化されるのか

ここからは、主に配偶者以外の在留資格(就労ビザ等)から永住を目指す方に向けた、独立生計要件・年金・国益要件の改定内容を整理します。

項目 改定案の内容
年収要件 日本人世帯の平均収入を継続して上回ることを明記。2026年10月から適用(報道ベースの推定時期)
年金要件 将来の年金受給見込み額が、厚生年金に30年加入していた場合の水準に達していること、または不足分を補える金融資産を持つことを原則とする
国益要件 生活習慣を含めた制度理解の不足、義務教育期間の子どもの不就学などを「消極評価」する基準を新設

なお、国益要件(日本語能力・制度理解・子の就学・公共の負担とならないこと等)は、独立生計要件の免除を受ける配偶者の方にも適用されます。一方、年収要件・年金要件は独立生計要件の一部にあたるため、配偶者の方には原則として直接は適用されません。「公共の負担とならないこと」要件のみ、配偶者の方にも及びますが、家族単位での在留の安定や人道的配慮を重視して総合的に判断されるとされています。

日本人の平均世帯年収について

今回の年収要件は「日本人世帯の平均収入を上回る」とされていますが、具体的にいくらになるのかは、現時点で公表されていません。

参考情報として、厚生労働省の国民生活基礎調査(毎年実施、3年ごとに大規模調査)があります。2026年7月15日に公表された2025年調査によると、2024年分の1世帯当たり平均所得金額は575万2千円で、前年(545万7千円)から過去最大級の伸び幅となりました。企業の賃上げが影響したと見られています。ただし、この数字がそのまま今回の要件に採用されるかどうかは分かっておらず、入管庁がどの統計・どの年のデータを基準にするのかも、正式には示されていません。
平均所得
575.2万円
中央値
451万円
平均未満の世帯
61.5%

新たに加わった要件:日本語能力(CEFR B1相当)

※2026年8月4日公表の改定案原文に基づく内容です

今回の改定案で、これまでの新聞報道には出ていなかった要件のひとつが「日本語能力」です。国益要件の考慮要素として、CEFR(日本語教育の参照枠)のB1相当レベル(自立した言語使用者)以上の日本語能力を有しているかどうかが、新たに加わる方針です。

ただし、以下に該当する方については、この要件を求めないとされています。

  • 高度人材外国人や、その家族
  • 日本の小中学校等で初等教育・中等教育を通算6年以上受けた方
  • 永住者の子(養育する親がB1相当以上の日本語能力を有し、かつ本邦で出生した場合)

配偶者ビザから永住申請を目指す方の多くは、上記の例外に該当しない限り、日本語能力の証明が新たに必要になる可能性があります。具体的な証明方法(試験の種類・スコア基準など)は、現時点ではまだ示されていません。

在留期間・出国日数に関する要件も明確化

※2026年8月4日公表の改定案原文に基づく内容です

原則10年在留に関する要件についても、具体的な基準が示されました。

  • 申請時点で、原則として引き続き10年以上本邦に在留していること
  • そのうち、就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していること
  • 過去10年以内に、正当な理由なく1回の出国で6か月以上不在にした期間がある場合、または通算で2年6か月以上不在にした場合は消極的に評価される

なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者等の特例(婚姻5年・在留3年)に該当する方は、この「原則10年」要件自体の対象外です。

永住の厳格化はいつから?改定案のスケジュール

※2026年8月4日公表の改定案原文に基づく内容です

永住許可の厳格化がいつから始まるのか、気になる方も多いと思います。結論から言うと、要件によって適用時期が分かれています。年収要件・公共の負担とならないこと要件は2026年10月1日ごろ(報道ベースの推定時期)、配偶者特例・年金要件・国益要件(日本語能力等)は2027年4月1日ごろの適用が見込まれています。詳しいスケジュールは、この後の表で解説します。

新聞報道から公式の改定案で、何が新しくわかったのか

※2026年8月4日公表の改定案原文に基づく内容です

2026年7月25日時点の報道内容と、8月4日に公表された公式の改定案原文を比べると、以下の点が新たに判明・確定しています。

項目 報道段階(〜8月3日) 公式の改定案(8月4日公表)
収入要件の遡及適用 朝日新聞のみ言及 原文に明記。改定日から6か月前以降の申請かつ改定日時点で申請中の案件が対象
公共の負担とならないこと要件の遡及 報道での言及なし 収入要件と同様に遡及適用の対象と判明
日本語能力 報道での言及なし CEFR B1相当レベル以上を新設(一部例外あり)
長期間居住要件 報道での言及なし 出国日数の具体的基準(6か月/2年6か月)が判明
改定日そのもの 各紙とも2026年10月1日と推定 原文では未確定(「令和8年○月○日」のまま空欄)

今の時点でわからないこと

  • 年収の基準額(具体的な金額)
  • 配偶者特例の引き上げ(婚姻5年・在留3年)について、施行時点ですでに婚姻3年・在留1年を満たしている方への経過措置があるかどうか
  • 日本語能力の具体的な証明方法(試験の種類・スコア基準等)
  • 改定日そのものの具体的な日にち

今後のスケジュール

時期 内容
2026年8月4日 改定案原文の公表・パブリックコメント開始
2026年9月3日0時 パブリックコメント締切(予定)
2026年10月1日(予定) 年収要件・公共の負担とならないこと要件が適用(報道ベースの推定時期)
2027年3月頃(予定) 有識者会議が基本方針をとりまとめ
2027年4月1日(予定) 配偶者特例・年金要件・国益要件(日本語能力等含む)が適用
時期未定 正式ガイドラインの確定・公表

正式なガイドラインが公表され次第、改めてこの記事を更新してお伝えします。永住申請を予定・進行中の方は、遡及適用の可能性を含めて早めにご相談いただくことをおすすめします。

報道によって書きぶりが異なっていた点

4つの変更点そのものは、読売・産経・朝日の3紙で内容が一致していました。割れていたのは「遡及適用の有無」の1点です。

新聞 年収要件の適用時期 その他の要件の適用時期 遡及適用への言及
読売新聞 2026年10月から 2027年4月から なし
産経新聞 ガイドラインは2026年10月1日付で改定 2027年4月の申請分から原則適用 なし
朝日新聞 2026年10月から 2027年4月から 年収の水準については2026年4月以降の申請にも適用するとの言及あり

この点については、8月4日公表の改定案原文で決着がつきました。原文第6には、収入要件と公共の負担とならないこと要件の2項目に限り、改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ改定日において申請中の案件にも遡って適用すると明記されています。朝日新聞の報道が原文の内容に最も近い内容だったことになります。

将来を見据えて、配偶者ビザ申請を進めたい方へ

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この記事の情報について

本記事は2026年8月4日時点で公表されている「永住許可に関するガイドライン改定案」の原文にもとづく整理であり、出入国在留管理庁の正式なガイドラインの内容を保証するものではありません。パブリックコメントの結果や今後の発表により内容が変更される可能性があります。

具体的な申請の可否や必要書類については、必ず最新の公式情報をご確認いただくとともに、個別のご事情に応じたご相談を承っております。

本記事の情報にもとづいて行われた手続きの結果について、責任を負いかねますことをあらかじめご了承ください。

行政書士 山川鬪志 [この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志
フィラール行政書士事務所 代表
日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部
登録番号 19082576
専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請
保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー

当事務所は、新宿区・高田馬場の行政書士事務所です。配偶者ビザ、特定技能など就労(働く)ビザ、永住・帰化申請を専門に、全国オンライン対応でサポートしています。

本記事は外務省出入国在留管理庁公開情報等に基づき作成しています。

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