2024年入管法の改正:永住ビザ取消規定が与える影響と課題

  • 永住ビザの取消制度とは?

日本政府は外国人の育成就労制度の創設に向けて、今後外国人の長期滞在者の増加を見越し、永住許可制度の見直しを入管法の改正により進めています。この見直しでは、税金や社会保険料の未納があった場合、永住許可を取り消すことができる新たな内容が含まれています。この新しい制度の導入により、これまで一度取得した永住許可を取り消すことができなかったところまで、取消対象の範囲が広がります。

永住許可制度の変更ポイント

 

永住許可の取り消し条件

これまでの法律では、永住許可の取消は、虚偽の申告など限られた範囲に該当しない限り、永住許可を取り消すことはできませんでした。新しい制度では、税金や社会保険料の納付を故意に怠った場合も取り消しの対象となります。具体的には、次のような条件が導入されます。

・税や社会保険料の納付義務:住民税や国民年金保険料などの公的義務を怠った場合、永住許可が取り消される可能性があります。

・懲役刑・禁錮刑の条件:従来は退去強制事由として、1年超の懲役刑や禁錮刑を受けた場合に限られていましたが、今後は1年以下の懲役・禁錮刑を受けた場合でも、在留資格の取消対象と入管法で明示されました。

2025年6月からは改正刑法の施行により、懲役刑・禁固刑が拘禁刑という名称に一本化されます。

拘禁刑とは

2022年の6月に成立した改正刑法で,これまであった刑罰の懲役と禁固を一本化されました。

施行日は2025年の6月からで、有罪判決を受けたものは、拘禁刑の対象となります。

これまでの懲役刑では刑務作業が義務付けられており、禁固刑の場合は義務図けられていません。禁固刑の人が自発的に刑務作業を行うことは可能です。

懲役刑の方が刑は重いと言われていますが、禁固刑は常時看守に見られており、何もしないと一日が結構退屈となるようです。したがい禁固刑の人も多くは刑務作業を行っています。

この実情からみて、懲役刑と禁固刑を分ける必要がなくなったのが一本化の背景です。

有罪判決を受けた場合は、改正入管法では全て永住ビザの取消の対象となります。

 

永住許可の取消対象となる犯罪

永住許可の取消対象となる具体的な犯罪は以下の通りです。

  • 刑法
住居を侵す罪
通貨偽造の罪
文書偽造の罪
有価証券偽造の罪
印章偽造の罪
賭博及び富くじに関する罪
殺人の罪
傷害の罪
逮捕及び監禁の罪
略取、誘拐及び人身売買の罪
窃盗及び強盗の罪
詐欺及び恐喝の罪
盗品等に関する罪
  • その他の法
暴力行為等処罰に関する法律第1条 第一条の二もしくは第一条の三の罪
窃盗犯等の防止および処分に関する法律の罪、
特殊開錠用具の所持の禁止に関する法律第15条もしくは16条の罪
特殊開錠用具の所持の禁止に関する法律第15条もしくは16条の罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条、第六条第一項の罪

永住ビザ取消となる場合の在留資格変更

永住ビザが取消をしようとする場合は、引き続き日本での滞在が適当でないと判断されない限り、法務大臣の職権で他の在留資格への変更を許可することになります。

改正の背景

外国人労働者の受け入れの拡大

政府は外国人技能実習制度に代え、「育成就労」制度を創設し、中長期的に在留する外国人労働者の拡大を図る方針です。この新制度により、永住許可の要件を満たす外国人が増えると予想されます。

新制度の実施にあたり政府の関係者より「永住者をしっかり審査し、日本国民と同様の義務を果たしてもらうようにしなければならない」との発言もあります。

 

未納問題の実態

出入国在留管理庁の発表によれば、2023年1〜6月に審査を終えた1825件のうち、約1割に当たる235件で住民税や国民年金保険料などの未納が確認されました。これは、納税などの公的義務を怠る永住者が一定数存在することを示しています。

懸念されること

法改正に対し公平感を期待する一方で、運用にあたり懸念する意見も出ています。

貧困による未納問題

税や社会保険料の滞納には、貧困など必ずしも悪質とは言えない事情が絡むこともあります。新たな制度が一部の永住者にとって厳しいものとなる可能性も含んでいるとの意見があります。

まとめ

日本政府の永住ビザに関する法改正は、納税や社会保険料の納付義務を強化し、不適切な行為に対する取り締まりを厳格化する方向で進められています。

定着性を考慮して慎重に検討する方針という見解はでているものの、2024年5月20日の時点では、具体的な基準や運用方法については記事作成の時点では、まだ明確になっていません。

 

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

https://www.moj.go.jp/

https://www.moj.go.jp/isa/index.html

 

※2024年5月20日時点の入手情報で執筆。法案可決までの経緯、その後の運用等の明確化により記載内容が変わる可能性があります。最新の情報を確認してください。

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