企業内転勤から更なる飛躍へ:国境を越えるキャリアパス

(2024年6月更新)

出向元も知らなかった更なる人事異動

東京本社から秋田の子会社への出向が決まった際、私は2年間の期間限定であると告げられました。2年が経過した後、東京へ戻ることになっていました。

しかし、出向から1年が経った時点で、秋田の工場長から新たな提案がありました。

青森にある子会社の物流センターへの更なる人事異動を打診され、物流センター長への昇進を条件に、人事異動を受け入れることになりました。

後で聞いた話ですが、驚いたことに、東京の本社の誰もこの計画を知らなかったようです。

こういった話は、どの会社でもよく見られるものですよね。

このような社内の動きは予期せぬ展開を迎えることがあります。一方でキャリアの発展に新たな道を開くチャンスになることもあります。

このケースで外国人の従業員の場合だとどうなるのでしょうか。

海外の本社から転勤してきて、地方の子会社にさらに異動させることは可能でしょうか。

この場合の在留資格は?

企業内転勤という在留資格

 

海外にある会社と日本にあるグループ会社の間で外国人従業員を人事異動により日本で就労させる事があります。

この場合、呼寄せる外国人の在留資格は「企業内転勤」の取得を目指します。

 

在留資格企業内転勤の要件とは

 

「企業内転勤」の要件は海外にあるグループ会社の社員が日本の会社に、期間を定めて、転勤して、技術人文国際業務に該当する業務を行うことです。

本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動。

 

技術・人文・国際業務で必要な学歴要件や実務要件を満たしていない場合でも、直近の1年以上海外にあるグループ会社で勤務していれば、日本で技術・人文・国際業務に該当する業務に就くことができます。

 

1年には海外のグループ会社だけではなく、「日本」の転勤予定の会社に転勤していた期間も含みます。

また、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬を受けることも条件となっています。

 

勤務地の要件

勤務地はどうでしょうか。

先ほど引用した法令には、「当該事業所」という語句があります。

企業内転筋では「技術・人文知識・国際業務」とは異なり、勤務地の場所についての制約があります。

したがい原則、勤務場所を別のところにある事業所に異動して就労することは、資格外活動違反として、不法就労となります。

 

当該「事業所」とは

例えばメーカーで、社内にビジネスユニットや事業部が設けられており、営業機能は都内たとえば品川にあり、研究開発機能は八王子にある場合です。

八王子に配属する外国技術者がマーケティング活動のために品川に勤務地を異動するばあいはどうでしょうか。

社内にある同じ事業部のなかで、経営管理や人事管理が行われていて異動元と異動先が独立した別の事業所とまでは言えないとき、あるいは異動先の担当する業務が、上記の場合で、マーケティングが一時的なもので継続性が無いときには、事業所の変更とはならないといえます。

 

日本にある別のグループ会社への転勤の場合

 

「企業内転勤」の在留資格では次の場合に限り、認められます。

  • 海外にある転勤元の会社の判断により、さらなる日本での転勤を認めた場合。

これは、海外にある転勤元の会社と日本にある転勤先の会社が連名での命令など海外の会社が異動を認めているという、関与があった事実がある必要があります。

「企業内転勤」の在留資格を持つ外国人に対して、日本の転勤先の会社が単独で更なる転勤を行うことは、できないのです。

実務おいては、人事の御担当者様にたいして弊所では、以上のような海外の転勤元の承認を得て、更なる転勤を命じる場合は、就労資格証明書を取得することを強くお勧めします。

まとめ

上海にある子会社から大阪の本社に出向になったとき、期限付きで2年と言われ、2年後に上海に戻ってくる予定だった。

しかし出向から1年たった時、出向先の大阪の本社の部長からうちの子会社の青森のITセンターに人事異動の打診を受けた。ITセンター長への昇進と引き換えに…

この話は、上海の本社では誰も知らなかったらしい。

 

上海から「企業内転勤」で大阪に来たAさん。このまま青森のITセンター長になることができるでしょうか。

「企業内転勤」の在留資格のまま、上海にある会社の承認なしに、大阪の本社の部長の一存で人事異動はできません。

上海の子会社の辞令、転勤命令などの確証が必要です。また転勤前に入管にから「就労資格証明書」を取得することを当事務所では勧めています。

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

 

就労ビザ | フィラール行政書士事務所 (firstbase.info)

https://www.moj.go.jp/

https://www.moj.go.jp/isa/index.html

 

 

 

 

 

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