デジタルノマドビザで日本へ|2024年の新設VISAの取得条件・滞在期間を詳しく解説 

この記事は、国際的なリモートワーク等を目的として日本に滞在するデジタルノマドに対して作られたビザについて条件等を行政書士が解説します。

秋の紅葉、パウダースノーの白銀のゲレンデ、川面に一面の淡いピンクの花筏、季節の変化を楽しみながら仕事をする。今や世界では少なからず、そういった業務形態に携わっている方がいます。Work for Anywhere デジタルノマドとよばれる方です。

2021年には米国のデジタルノマドの人口は1500万にを超えると言われています。

世界中には3500万人以上のデジタルノマドがいます。(A Brother Abroad社 「Surprising Digital Nomad Statistics」)

世界中でデジタルノマドを受け入れる競争が始まった

デジタルノマドとは、さまざまな場所を旅行しながら、リモートで仕事を行う個人のことで、多くの場合はIT分野、インターネットに依存した業務を行っています。

デジタルノマドの特徴

ソフトウェア開発やプログラマーだけではなく、プロジェクトマネジメント、リードエンジニア、webデザイナー、コピーライターなどさまざまな仕事があげられます。

自由な業務形態の一方で健康管理は考慮すべき事項で、環境に対するプレッシャーからのメンタルヘルス面や不規則な生活、タイムゾーンの変化や不規則な就労時間から睡眠パターンの変化による疲労などセルフケアでの健康管理は重要です。医療制度は国により異なり、適切な健康保険への加入が非常に重要です。

リモートワーカーは、会社の施設外で職務を行うことができる従業員を指します。デジタルノマドとの違いは、さまざまな場所へ転々と旅を行っていくという意味はふくまれていません。

デジタルノマドの方は、一つの国に3カ月から6か月滞在することが多く、お気に入り滞在地では、滞在期間が長くなると言われています。

受け入れ国からみたメリット

インバウンドの経済効果を押し上げる、地域の消費を拡大することや地方の活性化が期待できるメリットを言われることが多いですが、一方で消費の拡大により物価が高くなるデメリットも指摘されています。

消費面での比較的短期の視点だけではなく、スキルの高いプロフェッショナルを誘致することにより、デジタルノマドは地域間の知識と資源に対して触媒として機能し、コラボレーションを生み出し、イノベーションを促進する可能性をもっています。

 

日本での動き

ビジネス面での経済効果、地域活性化が期待できるため、デジタルノマド人材の特性やニーズをふまえて専用のデジタルノマドビザを新設するなど、世界各国でデジタルノマド人材の誘致に向けて、獲得競争が活性化しています。

日本では、2023年に閣議決定された新たな「観光立国推進基本計画」で、観光の質的向上を目指し、「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」の3つの柱を掲げています。

これに基づき、持続可能な観光地域づくりやインバウンド回復、国内交流拡大に戦略的に取り組むことが求められています。

インバウンド需要は大きく伸びていますが、さらなる伸長にむけて、大きく市場が伸びているデジタルノマド人材の取り込みが不可欠となっています。

2024年3月にデジタルノマドビザが新設されました。

さらに国土交通省観光庁ではデジタルノマドの特性やニーズに応じた受入体制の構築や滞在プログラムの造成にむけた実証実験を公募(地域におけるデジタルノマドの誘客に向けたモデル実証事業の公募)を行い5つの地域で実証事業が採択されています。

採択事業の実施地域は、

①宮崎県日向市、②石川県金沢市、③福岡県福岡市・大分県別府市・長崎県長崎市・五島市、④和歌山県・白浜町、⑤沖縄県名護市・北部やんばるエリア・沖縄市

となっています。

この記事では、2024年に新設された日本のデジタルノマドビザに関して要件や申請手続きについて詳しく解説いたします。

日本版デジタルノマドビザの概要

2024年3月、特定活動公示を改正し、日本版のデジタルノマドビザが創設されました。

ビザの種類(在留資格)

デジタルノマドビザと言われているビザは、在留資格の「特定活動」53号、「特定活動」54号となります。

(デジタルノマド(国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者)及びその配偶者・子)になります。

「特定活動」53号 デジタルノマド、国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者
「特定活動」54号 その配偶者、子

在留カードは交付されません。入国時に証印に在留資格 特定活動と滞在期間が記載された証紙と指定書がパスポートに貼付されます。

日本でアルバイト等日本の企業や団体、個人から収入を得ることはできません。従い資格外活動の対象にはなりません。

特定活動53号:デジタルノマドビザの概要

申請の対象となる職業

・外国の企業や団体に所属するリモートワーカー

IT技術を用いて外国にある事業所における業務に従事する人。

または

・フリーランスの方などでIT技術を使って外国への役務の提供や物品の販売活動

オンラインビジネスのように、日本に入国しなくても提供や販売が可能なサービスに限られます。

デジタルノマドビザの取得要件

  • 日本での滞在が6か月を超えないこと

6か月を超えることは出来ません。

6か月滞在後、日本を出国し6か月たつと、再度申請して同様の在留資格で入国することが可能です。

  • 申請時に年収が1000万円以上
  • 海外旅行傷害保険に加入している

滞在予定期間をカバーする死亡、負傷、疾病に対応する海外旅行傷害保険に加入しており、。 傷害・疾病の治療費用補償額が1,000万円以上であること。

・査証免除国の国・地域で、かつ日本との租税条約を結んでいる国や地域の国籍の人

租税条約とは、異なる国で同じ所得に対して二重に課税されることを防ぐための取極めです。かならずしも査証免除国とは一致していません。

 

特定活動54号:デジタルノマドの家族向けビザの詳細

特定活動54号は、デジタルノマドとして日本に滞在する人の扶養を受けて、一緒に来日する配偶者や子供が対象の新しい在留資格です。家族が一緒に日本で暮らすビザです。

帯同家族ビザの取得要件

  • 査証免除国・地域の国籍者等であること

特定活動告示の別表15にある国籍者等です

  • 海外旅行傷害保険に加入している

滞在予定期間をカバーする死亡、負傷、疾病に対応する海外旅行傷害保険に加入しており、。 傷害・疾病の治療費用補償額が1,000万円以上であること。これはデジタルノマドの条件と同じです。

  • 6か月以内の日本滞在

滞在期間はデジタルノマドの方と一緒です。

※ 資格外活動許可は原則認められません。在留カードは交付されません。

デジタルノマドビザの申請

申請する外国人は現在日本に住んでいません。入管法上の代理人も日本には存在しません。

申請方法は2通りあります。

①申請人が現在住んでいる国にある日本大使館・領事館で発給申請を行う

②ノービザで日本へ入国して、入管へ申請を行う

 

日本大使館で査証発給申請を行う

日本大使館へ行き、デジタルノマドの査証発給申請を行い査証の発給を受け来日、上陸審査の際に特定活動の証印(シール)と指定書が与えられます。パスポートに貼られます。

ノービザ入国で申請

ノービザで日本へ入国後、在留資格認定証明書の交付申請を行います。在留資格認定証明書交付された場合は、特定活動への在留資格変更許可申請をおこないます。

申請に必要な書類

  • デジタルノマドの方

① 在留資格認定証明書交付申請書
② 写真
③ 日本での活動予定説明資料(様式あり) Description of intended activities
④ 申請人が就労している国で発行された所得証明書あるいは納税証明書
※証明書が出せない場合は、理由書を添付したうえで、代わりに契約金額が記載されている外国法人の雇用契約書、取引先との契約書、年収に係る入金が記載されている申請人の銀行の預金口座の資料などを提出
⑤ 民間医療保険の加入証書および約款の写し

  • 帯同する配偶者や子ども

① 在留資格認定証明書交付申請書
② 写真
③ 日本での活動予定説明資料(様式あり) Description of intended activities
④ 申請人の配偶者又は親との身分関係を証する文書(結婚証明書等)

⑤ 民間医療保険の加入証書および約款の写し

⑥ デジタルノマドの方のパスポートの写し

 

Zoomの会話形式で解説!日本のデジタルノマドビザに関するFAQ

Zoomでの台湾のフリーランスとのQ&A形式で解説します。

台湾のMiaさんとY行政書士のオンライン相談です。

デジタルノマドビザを検討している台湾人女性の画像

Miaさん:こんにちは、Y先生。台湾からZOOMでお話ししています。私は30歳で、日本に留学経験があります。現在はフリーランスの写真家をしています。実は、デジタルノマドビザにすごく興味があって、いくつか質問させていただけますか?忙しい中ありがとうございます!

Y行政書士:こんにちは。お話しできて光栄です。どうぞ、ご質問ください。

 

Miaさん:デジタルノマドビザで日本に滞在中、沖縄や金沢などいろんな所で泊まってみたいのですが、なにか更に役所などへの手続きが必要ですか?

Y行政書士特に手続きは必要ありません。国内を自由に移動して生活することができますよ。旅行を楽しんでください。

Miaさん:デジタルノマドビザを持って日本に滞在中、妹の結婚式で一時的に台湾に戻りたいのですが、日本を出国してからまた戻ってくることはできますか?

Y行政書士できますよ。日本を出国する前に「再入国許可」または「みなし再入国許可」を受けておけば、在留期間が切れる前に戻ってくることができます。

Miaさん:日本にいる間に、知り合った地元の会社の方と契約してリモートワークを始めても構いませんか?

Y行政書士残念ですが、このビザでは日本国内の個人や会社と雇用契約や請負契約を行って仕事をするのは許可されていません。別のビザが必要になります。

Miaさん:デジタルノマドビザの年収要件として「1,000万円以上」という基準があると聞きましたが、どんな場合に満たすと見なされますか?

Y行政書士 基本的には直近の年収が1,000万円以上であることが必要です。

昇給や昇格で将来的に1,000万円以上になる見込みがある場合も考慮されます。
新しく採用され、契約年俸が1,000万円となった場合は、今後も年収が1,000万円以上になると評価されます。
フリーランスなど個人事業主は、ビジネス契約や売買契約を結んでいる場合、
契約金額ではなく、契約金額から経費を差し引いた後の利益が1,000万円を超えるかどうかが基準となりますよ。

 

次の記事は就労ビザに関する当事務所でのお手続きの流れ、サポート内容の記事です。

就労ビザ | フィラール行政書士事務所

ご相談の予約について | フィラール行政書士事務所

査証免除国のうち、デジタルノマドビザの対象となる国

査証免除国名 デジタルノマドビザ53号 帯同家族54号
1 インドネシア Indonesia
2 シンガポール Singapore
3 タイ Thailand
4 マレーシア Malaysia
5 ブルネイ Brunei
6 韓国 South Korea
7 台湾 Taiwan
8 香港 Hong Kong
9 マカオ Macau
10 米国 United States
11 カナダ Canada
12 アルゼンチン Argentina
13 ウルグアイ Uruguay
14 エルサルバドル El Salvador
15 グアテマラ Guatemala
16 コスタリカ Costa Rica
17 スリナム Suriname
18 チリ Chile
19 パナマ Panama
20 バハマ Bahamas
21 バルバドス Barbados
22 ホンジュラス Honduras
23 ブラジル Brazil
24 ドミニカ共和国 Dominican Republic
25 メキシコ Mexico
26 オーストラリア Australia
27 ニュージーランド New Zealand
28 アラブ首長国連邦 United Arab Emirates
29 イスラエル Israel
30 カタール Qatar
31 トルコ Turkey
32 チュニジア Tunisia
33 モーリシャス Mauritius
34 レソト Lesotho
35 アイスランド Iceland
36 アイルランド Ireland
37 アンドラ Andorra
38 イタリア Italy
39 エストニア Estonia
40 オーストリア Austria
41 オランダ Netherlands
42 キプロス Cyprus
43 ギリシャ Greece
44 クロアチア Croatia
45 サンマリノ San Marino
46 スイス Switzerland
47 スウェーデン Sweden
48 スペイン Spain
49 スロバキア Slovakia
50 スロベニア Slovenia
51 セルビア Serbia
52 チェコ Czech Republic
53 デンマーク Denmark
54 ドイツ Germany
55 ノルウェー Norway
56 ハンガリー Hungary
57 フィンランド Finland
58 フランス France
59 ブルガリア Bulgaria
60 ベルギー Belgium
61 ポーランド Poland
62 ポルトガル Portugal
63 北マケドニア North Macedonia
64 マルタ Malta
65 モナコ Monaco
66 ラトビア  Latvia
67 リトアニア Lithuania
68 リヒテンシュタイン Liechtenstein
69 ルーマニア Romania
70 ルクセンブルク Luxembourg
71 英国 United Kingdom

2024年10月作成 (出典:出入国在留管理庁 対象国・地域一覧および外務省 ビザ免除国・地域(短期滞在)より

弊所で表を作成)

19項ビザ免除国に追加されたパナマ(2024年4月1日以降)についてデジタルノマドビザ(53号54号)の対象国となるかどうかは弊所未確認です。

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属

登録番号 19082576

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

 

https://www.moj.go.jp/

https://www.moj.go.jp/isa/index.html

※上記記事のQ&Aはトピックスについて、制度の解説のために、面談形式でわかりやすく説明したものであって、実際にあった問い合わせではありません。

行政書士は法律により、守秘義務がありますので安心してご相談してください。

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