外国人が国外追放となる制度:退去強制

(2024年6月更新)

不法在留と不法残留の違い

「不法残留」とは、在留期間の更新や在留資格の変更手続きを行わないで、ビザ(在留資格)の在留期間を過ぎて、なお日本に滞在することです。
通常、オーバーステイと言われているものです。在留資格には日本で活動できる範囲と期間が定められていて、それを超えて日本にいることで「不法残留」となります。該当する外国人は、不法残留として「退去強制事由」に該当します。また不法残留罪となります。
「不法残留」と「不法在留」は似ていますが異なります。
「不法在留」とは、日本に不法入国又は不法上陸した者が、引き続き日本に不法に在留する行為です。
入管法では、不法残留は 70条第1項第5号に不法上陸罪として、不法在留は70条2項に不法入国罪として規定されています。
該当される場合、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科されます。
さらに24条の1号と2号で退去強制事由とされています。

入管法では、日本の領海、領空内に入ることを、「入国」、領土内に足を踏み入れることを「上陸」と分けています。
「不法入国」は有効な旅券を持たないまま日本の領海、領空に入った者あるいは有効な旅券を持っていて入国審査官から上陸許可当を受けずに日本の領空、領海に入った者です。
不法入国は、日本に入った手段は問いません、また上陸しても、していなくても関係なく、日本に入ったという事実があれば足ります。

退去強制と出国命令制度

退去強制とは、国外退去に該当する事由をもった外国人を、国家が強制力をもって日本国外に退去させることで、一般に国外追放とか強制送還と言われているものです。

退去強制事由は、入管法24条に該当する事由が列挙されており、逆にこれ以外の事由で日本からの退去は強制されません。
退去強制事由に該当する外国人がすべて日本国外に退去するのではなく、日本での生活など考慮されて、在留を特別に許可される場合もあります。
ここで、注意することは入管法に違反することすべてが、退去強制事由に該当するわけではないということです。

出国命令制度とは入管法違反者のうち、一定要件をみたす不法残留者を身柄を収容することなく、出国させる制度です。
さきほどの、不法入国・上陸で日本にいる不法在留者は、不法残留者とは異なりますので、出国命令制度の対象とはなりません。
・出国命令制度により、出国した場合の上陸拒否期間は1年間です。
・退去強制事由により、出国した場合の上陸拒否期間は5年間です。
・いわゆるリピーター(過去にくりかえして退去強制事由,出国命令により出国を行ったもの)場合の上陸拒否期間は10年間です。
法令に違反し1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬,大麻,あへん,覚せい剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、日本に再び上陸することはできません。
法令は日本国だけではなく、海外の法令も適用されます。

出国命令対象者 入管法第24条の3

出国命令対象者は,先にのべたように不法残留者であり、
(1) 速やかに出国の意思をもって自ら入国管理官署に出頭したものであること
(2) 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
(3) 入国後窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
(4) 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
(5) 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること
のすべての要件を満たしていることが必要です。

審査の結果出国命令対象者に該当すると判断された場合は、15日を超えない範囲で出国期限を定めて、主任審査官が日本からの出国を命じます。

退去命令とは違います。

似たような言葉に「退去命令」があります。「出国命令」とは別の手続きであることに注意してください。
「退去命令」は日本に上陸する時、日本に上陸を拒否された者が速やかに退去するように行う命令のことです。退去強制のように5年間の上陸拒否期間をうけることはありません。ただし
麻薬,大麻,覚せい剤等所持していた者や火薬類、銃剣刀類を不法所持していた者として「退去命令」を受けたものは1年間の上陸拒否期間の適用を受けます。

在留特別許可

上記に記載したように入管法第24条各号で記載された退去強制事由に該当する外国人に対し、特別に在留を許可する制度です。

[この記事の執筆者]

行政書士 山川鬪志

フィラール行政書士事務所 代表

専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請

保有資格:申請取次行政書士

認定コンプライアンス・オフィサー

 

 

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