(2024年6月更新)
Aさんは神社など日本の木造建築の研究を行っています。Aさんが日本に来日して何カ月も長期にわたりフィールドワークを行う場合、在留資格はどういったものが該当するのでしょうか。また許可に必要な要件は何でしょうか。
こんにちは!このコラムでは、東京・新宿2丁目のフィラール行政書士事務所が外国人の日本で活動を行うための様々なビザ(在留資格)の解説を行っています。
日本で研究活動を行うビザは?
外国人を日本に招聘して研究活動を行う場合どんなビザが考えられますでしょうか。
日本で外国の方が活動を行う場合、その活動にあった在留資格を取得する必要があります。一つの活動で一つの在留資格をもらうことになります。一人の外国人が複数の在留資格をもつことはできません。
とくに就労系、日本で仕事をするための在留資格の場合、日本で行う仕事がどんな内容なのか、その内容が在留資格として該当するものがあるか、そして許可要件にあっているかをしっかり検討する必要があります。
外国人の研究者を日本に呼び寄せる場合、まず「日本での活動内容」と「報酬の支払い」の有無により申請すべき在留資格が異なってきます。
この場合在留資格はどんなものがあるでしょうか
考えられる在留資格として、「教授」、「研究」、「文化活動」があります。これらは報酬・契約形態・活動内容によってどれに該当するかが決まります。また場合によっては「技術・人文・国際業務」が適切な場合もあるかもしれません。
「文化活動」の在留資格とは
「文化活動」の在留資格とは外国人の研究者を日本に呼び寄せるばあい
その外国人が
「文化活動1」
・収入をともなわない学術上若しくは芸術上の活動を行おうとする場合
・我が国特有の文化又は技芸について専門的な研究を行おうとする場合
「文化活動2」
・専門家の指導を受けて我が国特有の文化又は技芸を修得しようとする場合
これらのいずれかに該当する場合は、日本文化の研究者等を目的としている「文化活動」の在留資格を申請することになります。
どんな方が該当するのでしょうか
「文化活動1」
①外国の大学の教授等や外国の研究機関で研究調査を行う方
大学などや日本の教育研究機関から報酬をもらわずに日本で研究活動を行う方、外国人受託研究員、共同研究者など。したがい大学と外国人の間には雇用契約はありません。
②日本の文化・技芸の専門家など
柔道、生花、茶道、日本建築など我が国固有の文化・技芸を専門的に研究しようとする方
「文化活動」2
③日本の専門家から個人指導を受けて取得しようとする方。
その分野の専門家から個人的に指導を受けることです。専門家は実績の証明が必要となります。また申請者もその分野での過去の実績の証明が必要です。また教育機関で指導を受ける場合は「留学」の在留資格となります。
収入を伴わないということ
収入を伴わないことが「在留資格「文化活動」の該当性の要件です。大学などと雇用契約がないということです。
日本で研究活動を行う方の場合ですと、多くの方は本国の所属機関や政府等からの奨学金の支給を受け大学等で研究されるケースが多いです。
なお「収入を伴わないこと」について、外国の大学など所属機関から本人に支給される給与や滞在費などの収入は、報酬とはみなされません。
独立行政法人日本学術振興会(JSPS)が招聘する場合は、大学とは雇用契約がなく奨学金での滞在となっていますが、奨学金自体が高いので収入とみなされる可能性があります。収入を得て活動する在留資格の「教授」や「研究」の扱いとなる可能性があります。
また滞在費は収入とは扱われませんが、滞在期間中に実費相当、つまり生活費、宿泊費、研究経費、旅費などを差し引いても手元に一定量残る場合は「報酬」の扱いとなりますので注意しなければなりません。
シンポジウムなど講演を行ったことにより受け取る謝金は「報酬」とみなされていません。
「収入を伴わない」ことは、いわゆる「無給」ということでは無いということに注意してください。研究にあたり必要な費用が発生します。それに対してお金を戴くことが「収入」とはならいないということです。
とはいえ一概には言えない場合が多いです。申請にあたっては慎重にいくつかある在留資格のうちの、どれに該当するか検討する必要があります。
在留資格 「文化活動」の必要書類
必要書類は何でしょうか。2つのカテゴリーそれぞれについて説明します。
「文化活動1」必要書類
・申請書
・写真 縦4センチ×横3センチ
・返信封筒
・日本での具体的な活動の内容や活動を行う機関の概要がわかる資料
活動期間・内容、活動を行う機関の概要資料
・学術上または芸術上の業績を明らかにする資料
関係団体の推薦状や論文、作品の目録、コンクールなど入賞・入選の実績など
・申請人が日本に在留した場合の経費支弁能力を証する文書
奨学金給付に関する証明書, 申請人名義の預金残高証明書など
「文化活動2」必要書類
「文化活動1」の必要書類に加え
・当該専門家の経歴及び業績を明らかにする資料
論文・作品集、履歴書など
どの在留資格に該当するかお悩みの方へ
就労系ビザと呼ばれる在留資格については、どの在留資格に該当するか判断に悩む場合があります。思い切って専門家に申請をお任せするのが便利です。フィラール行政書士事務所ではZoomでのオンラインでのお打合せ、対面でのお打合せを行っております。外国人の就労に関するビザのことはフィラール行政書士事務所にお任せください。お見積りご依頼から申請までの進め方などのお問い合わせは、このサイトのお問い合わせフォームが便利です。