短期滞在ビザを申請する際には、「身元保証書」という書類の提出が求められます。 この書類は、申請者の滞在中の生活や帰国を保証するもので、日本側の身元保証人が作成します。
「誰が書くの?」「どう書けばいいの?」「間違えたらどうなる?」といった疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。 そもそも、他人の滞在を保証するという行為に、少し責任の重さや不安を感じる方もいるかもしれません。
身元保証人ってどんな人?短期滞在ビザでの役割・条件を整理しよう
この記事では、初めて身元保証書を書く方でも安心して取り組めるよう、 身元保証人の役割・記入手順・注意点をわかりやすく、ていねいに解説します。
最後には、「自分で書くのが不安」「確実に申請を進めたい」という方に向けて、専門家に相談するメリットもご紹介します。 まずは一緒に、身元保証書の基本から確認していきましょう。
短期滞在ビザの身元保証書って何?なぜ必要?
短期滞在ビザを申請する際に求められる「身元保証書」は、日本に滞在する外国人の生活や帰国を保証するための書類です。 この書類は、申請者本人ではなく、日本側の保証人が作成しその他の日本側で作成する書類と一緒に、海外に住んでいる申請人に送ります。
短期滞在ビザの保証人は、申請者が滞在中に問題を起こさないよう責任を持って見守る立場とされており、 「滞在費用の支弁」「滞在中の生活支援」「帰国の確実性」などを保証する意思を示すことになります。
ただし、法的な拘束力があるわけではなく、保証人が申請者の行動すべてに責任を負うわけではありません。
しかし申請先の在外公館の審査官にとっては「信頼できる日本側の支援者がいるかどうか」は審査の重要な判断材料となります。そのため、身元保証書は形式的な書類に見えて、実は短期滞在ビザ申請の許可に影響する可能性もある重要な書類なのです。
誰が書くべき?保証人の条件と責任
外国人を日本に呼ぶ場合に、日本側で対応する方は「呼寄せ人」と「身元保証人」です。
それぞれの役割を説明します。
- 呼寄せ人
日本へ外国人を招へいする方
- 身元保証人
来日以降、外国人の日本での滞在費用や出国までの費用、滞在中の法令遵守対応について保証する方
となります。
身元保証人の責任について
短期滞在ビザの「身元保証人」は、借金の保証などをする民法上の「保証人」とは違います。
ビザ申請者の行動に何か問題があったときでも、法律的に責任を取らなければならないわけではありません。
たとえば、借金の返済を肩代わりするような義務が生じることはなく、あくまで道義的な責任(社会的な信頼)を示す存在として位置づけられています。
申請者の滞在がきちんとしたものになることを、もとめているものです。
身元保証人が約束したことは3つあります。
滞在中のお金のことや帰りの飛行機代の保証、日本国内でのルールを守るように指導することです。
日本国内でのルールを守るという事は、例えば短期滞在ビザでは、日本国内で働くことはできません。こういったルールを守るように指導することです。
それらが守られなかったときは、
その人が次回のビザ申請で保証人になろうとしても、「この人は信用できない」と思われてしまいます。つまり次回の申請で身元保証人として認めてもらえないなど不利にはたらきます。
保証人になれる条件
多くの場合は、招待する方(呼寄せ人)と身元保証人は一致します。条件がクリアしていれば同じ方で構いません。
保証人の条件は収入面です。
- 安定した収入があること
必要書類の納税証明書や課税証明書等で収入認されます。
会社員や会社役員として報酬をもらっている方は、安定した収入があるとして有利に働きます。
よく収入はあまりなく貯金はあります。という方がいますが、この場合ですと、そもそも安定した収入の要件を満たしていません。経費面での保証できることを説明する資料が必要となります。
収入は、明確な基準は公開されていませんが、弊所では年間200万から300万は必要だとお客様に話しています。
・収入が無い場合
ご両親に収入がある場合は、ご両親に依頼します。
身元保証書作成のタイミング
呼寄せ人の収入が無い、収入が少ないといった場合は、早めに身元保証人になってもらう方を決めて、身元保証書を書いてもらいます。
申請にあたっては、身元保証人の収入を証明する書類も必要です。
(1)直近の総所得が記載されている「課税(所得)証明書」(市区町村役場発行)
自営業の方ならば「納税証明書(様式その2) 」(税務署発行)
(2)預金残高証明書
といった書類です。
身元保証書を実際に書いてみよう:記入手順と必要事項
ここでは、書き方と必要な項目をわかりやすく説明します。
宛先や日付はどうやって書くの
宛先や日付さえ、気になりだしたら、どう書けばいいのか、悩んでしまうかもしれません。
記入の事例はマニラに住んでいる女性の身元保証書で解説します。
①日付:
西暦ではなく、和暦で記載します。 いつの日を書けばいいか、気にされるがたが少なからずいらっしゃいます。 申請日ではありません。この書類を記入した日が良いでしょう。 書類の有効期限は、記入した日から3か月です。申請時に過ぎてしまうと書き直しとなりますので、タイミングよく作成します。 ②申請先: 短期滞在ビザの申請先は入管ではありません。申請人(日本に来る外国の方)が居住する管轄の大使館に申請します。 該当する大使館の名前を記入して フィリピン大使館なら 大使の後ろのチェックボックスをクリックするとチェックがつきます。 外務省のサイトで領事官の管轄区域が確認できます。 |
ビザ申請人の情報欄の書き方
次のパートはビザ申請人の情報です。
申請人のパスポートの情報で記入できます。あらかじめパスポートの写しをもらっておくと良いです。
③国籍 「中華人民共和国」と書かずに、「中国」など一般的な表記でも差し支えありません。 厳密な名称でなくても、一般的に通用する呼び方であれば構いません。 正式名でなくても構いません。中華人民共和国と書かなくても中国で構いません。 この例ですと、フィリピンと記載 ④職業 会社勤務なら会社員で構いません。学生、主婦、無職などと記入します。空欄にしません。 ⑤氏名 性別 他 名 パスポートに記載の順にアルファベットで記入します。 ⑥生年月日 パスポートで確認します。 年月日の順序に注意して記入します。 パスポートに記載されている日付の「月」は、英語の3文字の略語で表されています。 もちろん、以下のようにわかりやすく正確にリライトできます: 🛂 パスポートの月の表記について パスポートに記載されている日付の「月」は、英語の3文字の略語で表されています。たとえば:
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身元保証人の欄の書き方
📝 身元保証人が複数いる場合の保証書の取り扱いについて
身元保証人を複数人用意する場合は、保証人の人数分、それぞれ個別の保証書を作成・提出していただきます。 その際、各保証書の「身元保証人欄」が、それぞれ異なる保証人の情報を記載する必要があります。 |
呼寄せる人が安定した収入がある場合は身元保証人と呼び寄せる方が同じ人となります。
身元保証人に関して
⑦住所 申請の際必要な住民票の写しをみながら、正確に記入します。 ⑧職業 会社勤務の場合は、サラリーマンと書かずに会社員と書きます。学生、主婦などと書き、無職の場合は空欄にしないで無職と書きます。 ⑨氏名 ★重要:他のところはすべてパソコンで打っても構いませんが、氏名は自筆で署名します。 印鑑は不要です。ボールペンで記入します。 ⑩生年月日 ⑪電話番号 ⑫FAX番号 無ければ N/AもしくはNONEと書きます。 ⑬申請人との関係 申請人から見て身元保証人との関係です。 友人とか、婚約者の場合はそのまま記入できますが、 夫婦のばあい少し悩むかもしれません。 この場合、たとえば申請者(日本に来る方)が男性で、日本側で呼び寄せる方が女性の場合は妻と記入します。 どうしても悩む場合は申請者の妻 というように 申請者の…というように記載すれば間違わない、良い方法です。 知人訪問で彼女・彼氏を呼び寄せる時には、お二人の関係について、しっかり整合をとっておく必要があります。 交際相手なのか、婚約者なのか、単なる友人なのか、申請者の話と理由書や身元保証書に記載内容が異なる場合は、疑念をもたれる可能性がありますので注意します。 |
短期滞在ビザの申請書の記載内容と身元保証書にある記載内容、身元保証書と申請理由書の記載内容との整合性についてチェックします。
企業等が招へいする短期商用ビザの場合身元保証書の記載は?
企業が取引先などを商談や講演会、展示会への参加のために取引のキーマンを日本に招へいする場合があります。
この場合は身元保証人は、会社の招へいですので会社の代表になってもらいます。また実際に招へいする担当者を記載します。上記記載例の「企業等招へいの場合」の四角で囲まれたブロックが担当者の情報を記入する欄です。
記入方法はほぼ同じですが、
⑦住所 会社の所在地を記入して、肩書として「代表取締役」など会社の代表者の肩書を記入します。 ⑧氏名 ⑨生年月日 ⑩ 年齢 代表者の名前 生年月日や年齢 を記入します。 ★重要:他のところはすべてパソコンで打っても構いませんが、氏名は自筆で署名します。 印鑑は不要です。ボールペンで記入します。 ⑪電話番号 ⑫FAX番号 ⑬申請人との関係 取引先の代表取締役 などを記入します。申請者からみてどういう関係かを記載します。 次に「企業等招へいの場合」を記入します。 ⑭ 担当者所属先名 会社名と部門名を記載します。 ⑮ 担当者氏名 実際に業務で呼び寄せる日本側の担当者名を記載します。 ⑯電話番号⑰FAX番号 |
準備、どこから始めますか?迷ったら申請を行政書士がまるごとサポート
短期滞在ビザの申請の準備は、身元保証書の作成だけでなく、招へい理由書・滞在予定表といった作成書類や役所などから取得する提出書類のチェックなど、複数のステップがあります。
慣れない方にはとても複雑で面倒に感じるかもしれません。そんなときは、行政書士が申請全体をサポートすることで、早く安心して準備を進めることができます。
短期滞在ビザは、準備の早さがカギになることも。まさに時間との勝負です。迷ったら、今すぐ下のお問い合わせフォームから打ち合わせをご予約ください。
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[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
この記載例にある住所や氏名、電話番号などは架空のもので、実際の人物や会社とは関係ありません。
あくまで参考としてご利用ください。
申請書の作成や提出にあたっては、必ず最新の情報や現地在外公館の案内を確認してください。
当事務所は、記載例の利用によって生じたトラブルや損害について責任を負いかねます。
具体的な申請については、専門家に相談することをおすすめします。
なお、この情報は2025年8月現在のもので、今後変更される可能性があります。ご了承ください。