(2024年7月更新)
外国人社員が昇進して管理職になる際には、ビザに関する注意点がいくつかあります。新宿でビザ申請サポートを専門に行う行政書士が、昇進時に知っておくべきビザのポイントを詳しく解説します。これを読めば、管理職への昇進時のビザの手続きに必要な知識が得られます。
経営管理ビザの基本概要
経営管理ビザとは、外国の方が、事業の経営や管理に従事することを目的としたビザです。
事業の経営とは:
ここでは
日本において活動の基盤となる事業所を開設しており貿易その他の事業の経営を始めて、経営を行っていくことや日本において事業の経営を開始した人や経営を行っている人に代わって、その経営を行うことを意味します。
事業の管理に従事するとは:
日本で経営を開始して、その経営を行っている事業または経営に参画している事業の管理に従事することや日本において経営を開始した人もしくは経営をおこなっているひとに代わってこれらの事業の管理に従事することを意味します。
ここまで経営・管理ビザのまとめ
経営・管理ビザは大きく2種類に分かれる ・事業の経営を行う場合 ・事業の管理を行う場合 |
この記事では「事業の管理」を行う場合について、外国人が昇進した時、管理職となったときのビザの変更手続きと注意点について解説しています。
昇進時のビザ変更のタイミング
入管の審査資料では、
企業の職員として、「技術・人文・国際業務」の在留資格で在留していた職員が昇進等により当該企業の経営者や管理者になったときは、直ちに「経営・管理」の在留資格に変更することまでは要しない。現に有する在留期限の満了に併せて「経営・管理」の在留を決定しても差し支えない。(審査要領より)
となっています。
とはいえ、「経営・管理」と「技術・人文・国際業務」と範囲が一部重複する場合は対象となる在留資格は「経営・管理」となります。
この時点で「技術・人文・国際業務」の該当性が無くなることになるので、法的な解釈で言うと該当性がない不法就労になるとも考えられます。このことは、在留資格取消、刑事罰の可能性も存在するという意味です。
したがい、入管はそこまでの変更を昇格時には求めないというものの、企業のコンプライアンスを最優先させるのであれば昇格時に在留資格の変更を行うべきです。
「経営・管理」が該当するとはかぎらない
経営・管理という名称ですが管理職に昇進しても、かならずしも「経営・管理」が該当するとかぎらないです。入管法での「管理の場合」が管理職全てを対象としているわけではありません。
どんな地位に昇進すれば該当するのか
- 経営の場合は、役員として、つまり社長、取締役、監査役などです。
- 管理の場合は、支店長、部長、工場長など部長職レベルが対象となりえます。
社長の親戚の役員が、ときとき会社に来て座っていて、オーナ社長と雑談して一日が過ぎていく…という会社もあるようですが、経営に従事する方は事業の運営に参画、管理に従事する方も実質的に従事していなければなりません。
- 経営なら、重要事項の決定、事業執行あるいは監査の業務に従事すること。
- 管理なら、組織を指揮、監督する立場にないといけません。
経営・管理ビザが慎重に対応しなければならないのは、従事する会社の規模の問題です。
規模が小さめの会社で、すでに役員や管理者がいる場合は、その規模と業務内容を従事する他の方との関連で業務分担や必要性を説明する必要があります。
すでにその業務の担務する部長が存在するのに、あえてもう一人昇格させる理由って何? |
比較的大きな会社でも、役職の細分化により名ばかりの管理職、実質的にマネジメントよりも実務を行うことが殆どで、昇進したといっても業務内容については昇格前とあまり変わっていない場合もあります。
この場合は「経営・管理」というよりも「技人国」の在留資格が該当することになります。
企業では部下がいない部長職もいらっしゃいますが、このような場合も「経営・管理」の在留資格が該当することは難しいでしょう。
つまり部長職がそれだけで「経営・管理」の管理のカテゴリーが該当するわけではなく、職務内容や経歴などで判断されます。
事業の管理に従事する場合の基準
・3年以上の事業の経営または管理の実務経験
日本または海外の大学院でMBAなど経営管理に係る科目を専攻した期間も含みます。
3年専攻した場合、実務経験かなくても構いません
・日本人と同等額以上の報酬
子会社や関連会社に転籍した場合は
「技術・人文・国際業務」の在留資格で在留していた職員が子会社の役員や管理職となった場合は、就任時に必ず「経営・管理」の在留資格変更許可申請を行うべきです。
まとめ
この記事では、雇用している外国人の昇格について、特に管理業務で経営管理ビザを取得するときの条件に付いて解説しました。
会社の業績が良いから役員を増やすとか、外国人が優秀だから新たにポストを作るということも実際の事業運営では割とある話だと思います.
対象となる外国人に対して、アサインする業務がどんな業務内容なのか、その方の経験はどういった内容なのかといった所をビザ申請時に慎重に行わなければなりません。
様々な昇進のパターンがあります。外国人の雇用で、昇進等で在留資格の取り扱いに、気になるところがありましたら、早めにビザの専門家に相談するとよいでしょう。
経営管理ビザ | フィラール行政書士事務所 (firstbase.info)
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |