(2024年7月更新)
配偶者ビザといわれる、日本人の配偶者等と永住者の配偶者、そして定住者や永住者のビザを持っている方は、わさわざ経営・管理ビザに変更しなくても、経営者になることができます。
入管法では配偶者ビザなど身分に基づくビザは就労する業種についての制限が加えられていないからです。定住者の配偶者も定住者となります。詳しくは、告示定住 第5号「定住者の配偶者等」に該当します。定住者の配偶者も就労の制限はありませんので、経営・管理ビザに変更しなくても経営者になることができます。
配偶者ビザで経営を行う方が注意すべき3つのポイント
就労の制限のない配偶者ビザ等で、事業を行うときに気を付けることが3つあります。
別居、離婚、生計(家計)の維持継続の3つです。
これらについて、それぞれ解説します。
ポイント1 別居
・次回の在留期間更新許可申請に注意
始めたビジネスが軌道にのり、とても忙しくなる。たいへん素晴らしいことですね。
日本人経営者の中には、海外だけではなく東京と福岡とか沖縄とか、自宅とは別に地方に住まいを持っている方もいます。
ベトナムの方で、日本で貿易会社を経営して、母国のベトナムや近隣のタイ、カンボジア、ラオスなどを取引先として、あるいはベトナムにも拠点があり、海外出張が多く週に1度家に帰る、あるいは日本に戻ってくるのが、月のうち数日という経営者もいらっしゃるかもしれません。
こういう場合の配偶者ビザの更新申請は慎重に進めます。
実体のある婚姻生活が継続されているか、今後も継続されうるかが審査のポイントとなります。
別居それ自体が不許可要因にはなりませんが、夫婦として、婚姻生活が継続していること、ビジネスの都合でどうしても出張が多くなっていることを説明する必要があります。
別居の経緯や期間、別居中のお二人の関係、その間の行き来といった交流の状況、お互いの扶助の有無などから、全体的に判断して審査されます。
とはいえ、会社員の単身赴任とはことなり、自営業での別居については、そもそも相手の方が住んでいる所と別に事業を行うのは、なぜなのか、合理的な理由を説明する必要があります。
ポイント2 離婚
離婚した場合は、6か月以内にビザの変更が必要になります。これは、日本人の配偶者だけではなく、永住者の配偶者もビザの変更を行わなければなりません。在留資格変更許可申請です。
どのようなビザに変更するか
まず該当するか検討すべきなのが次のビザです。
・定住者ビザのうち離婚定住
・定住者ビザのうち日本人の実子定住
なぜなら、いずれも就労に制限がないので、事業を営んでいる外国人とっては都合が良いです。
要件がいくつかあって該当しないと許可されません。
定住者ビザのうち離婚定住
- おおむね3年以上の実体のある婚姻生活が継続していたと認められること
- 生計を営むだけの資産、技能があること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語能力があり、通常の社会生活が困難なくおこなえること
- 公的義務を履行しており、今後の履行が認められること
以上の条件に該当する方は、離婚定住ビザと呼ばれる定住者ビザの取得を目指します。
定住者ビザのうち日本人の実子定住
日本人との間に実の子供がいる場合は、日本人実子扶養定住と呼ばれる定住者ビザの取得を行います。
日本人との間の婚姻生活が3年に満たない場合でも許可される場合が多いです。
①日本人との間に出生した子供を監護、養育している方で
- 日本人との実子の親権者である
- 現に相当の期間日本人との実子を監護・養育していることが認められること
いずれにも該当する必要があります。
➁生計を営むに足りる資産・技能を有する
①と➁を満たしていることが要件となります。
どちらにも該当しない場合には、就労制限がない身分系のビザの取得は困難です。
その場合経営・管理ビザの取得を目指します。
経営・管理ビザの許可が下りない、その外国人は経営ができず、日本から退去しなければなりません。
現在行っている事業について、事業をやめるか、誰かに代わってもらわなければなりません。
配偶者ビザで経営者となっている外国人は、事業経営の面から離婚は大きなリスクとなります。
ポイント3 生計
配偶ビザで経営を行う場合、事業の経営状況も重要です。会社、自営業いずれも経営状況が良くないと、あるいは税金の未払いがあると次回の更新審査に影響を及ぼす可能性があります。
つまり生計に影響を及ぼす可能性があると判断されます。
また将来的に永住や帰化を申請する場合、収入要件や税金など公租公課についての要件がありますので、この先の永住や帰化の取得の事を考えると、経営管理ビザと同様に自らが行っている事業の経営状況については、重要な要因となります。
配偶者ビザの更新については、お相手の方の収入、経済基盤と併せて、家計が成り立ち、今後も維持継続可能かどうかがポイントとなります。
身分系のビザの経営者 まとめ
配偶者ビザなど身分系のビザで経営を行う方は多いと感じます。今も持っているビザの更新に影響が無いように経営をしっかり行うことや、別居、離婚についてはビザの許可が下りないことによる、経営面でもリスクがあることが理解できたかと思います。
経営管理ビザ | フィラール行政書士事務所 (firstbase.info)
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |
https://www.moj.go.jp/isa/index.html