国際結婚での姓については、通常、結婚当事者それぞれの国の法律や制度に基づいて判断されます。
フランス人の姓の仕組みとは?国際結婚で役立つ基礎知識
この記事はフランス人の姓に係るフランスの法制度について解説します。
フランス人の旧姓維持の自由
フランスでは、結婚しても旧姓(法律上の姓)を変更することはありません。
婚姻による姓の変更という法規制がないのです。
したがい結婚しても法律上の姓が変わることはないのが一般的な習慣です。
つまり、出生証明書に記載された姓は/が、そのまま一生継続します。
しかし、結婚後は「通称(Nom d’usage)」として配偶者の姓を自由に使うことが認められています。
フランス人と日本人が国際結婚をおこなっても日本人は姓を変える必要がありません。 またフランス人と日本人が婚姻しても、自動的に日本人がフランスの国籍を取得することはありません。 フランス国籍を取得したい日本人配偶者は、フランスの裁判所に申請して国籍を取得します。フランス国籍を取得すると日本国籍は消失します。 日本国籍を変えないで、姓を変更したい日本人は、外国人との婚姻による氏の変更届を6か月以内に市区町村役場に提出します。 6か月を過ぎての姓を変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。本名が変わります。 日本人のパスポートについては、姓の変更がない場合は、そのまま使うことができます。 |
フランス人の子どもの姓
フランスの制度では、
実子関係にある親子の場合、出生届出時までに、夫婦はその子がどういう姓を名乗るか子の姓の選択を届け出ます。
選択できるのは、
①両親いずれの姓
②両親の姓を並べた複合姓
父母が複合姓の場合はいずれかひとつずつです。
兄弟がいる場合は、先の子で決めた姓が後の子も同じ姓となります。
特に選択を行わない場合は、父親の苗字にすることが多いようです。
通称(Nom d’usage)の選択の自由
結婚後に夫婦のどちらも選べる通称のスタイルには、以下のような選択肢があります:
1.自分の姓のみを使用
結婚前と同じ姓をそのまま使い続けることが可能です。
2.配偶者の姓のみを使用
自身の姓に代えて、相手の姓を通称として使うこともできます。
3.自身と配偶者の姓を組み合わせる
自身の姓と配偶者の姓を自由に組み合わせた形を使用することができます。
組み合わせる順番も自由です。日本語の姓のイメージで例えると、「山口 森田」や「森田 山口」といった形が考えられます。
例 フランス人 夫 Jean Dupont ジャン(名) デュポン(姓)
フランス人 妻 Marie Laurent マリー(名) ローラン(姓)
マリーさん: マリー(名) ローラン(姓)が結婚すると次の通称が使えます。 ⇒結婚後 通称 ・配偶者の姓のみを通称として マリー(名) デュポン(姓)が可能 ・姓を組み合わせて マリー(名) ローラン デュポン(姓)、マリー(名) デュポン ローラン(姓)これらも可能 |
4.複合姓の場合の組み合わせ
自身と配偶者の姓が複合姓の場合、それぞれの姓の一つずつを選んで新しい組み合わせを作ることが可能です。
法律上の姓と通称の違い
「法律上の姓(Nom de famille)」は公式な記録に使われるもので、出生証明書といった重要な公文書に記載されます。
一方、通称は日常的な場面で使用するものです。
たとえば身分証明書や銀行口座、税務書類、社会保険などに登録可能です。
子どもの通称
子は自分の氏と他方の親の氏を結合した複合姓を通称として名のることができます。
日本で暮らすビザの申請なら
新宿御苑そばのフィラール行政書士事務所にご相談を
フランス人との国際結婚手続|配偶者ビザ申請サポートの新宿の行政書士が解説 | フィラール行政書士事務所
参考情報
- ここで解説している便利な用語
Le nom de famille | 生まれたときの姓 |
Le nom d’usage | 通称姓 |
Le double nom | 複合姓 |
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー
|
この記事内容は、Nom d’usage : utilisation du nom de sa femme ou de son mari(フランス政府公式サイト)
および
・2021年1月1日付で更新されたフランスの法務・行政情報局(首相府)の記事
情報から一部を引用・参考にしています。
https://www.moj.go.jp/isa/index.html