よく帰化を扱う行政書士のサイトの記事などに、日本は重国籍を認めていないとの記載がありますが、それはあまり正確ではありません。
禁止しているかそれとも容認なのか
重国籍を持つ方が、必ずしも法律に違反しているわけでもなく、違法な状態となっているわけでもありません。
国籍法では、ある一定の年数までに国籍の選択を行わなければならないと、義務を定めています。
国籍の選択とは、日本の国籍を選ぶか、日本の国籍を放棄して、その方が持っている日本以外の別の国籍を選ぶということです。
18歳未満のときは、20歳になるまでに、18歳に達したあとの場合は、重国籍となって2年以内に国籍の選択を義務付けられています。
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そして、国籍法では、日本の国籍を選ぶ場合には、①外国の国籍を離脱する ②戸籍法により日本の国籍を選択して、外国の国籍を放棄する旨の宣言をすることの2つの方法があります。
- 外国の国籍を離脱する
外国の国籍を離脱するには、日本にある大使館で、相手国の法律によって国籍を離脱する手続きを行い、国籍離脱証明書を取得します。この書類と共に、「国籍離脱届」を市区町村役場に提出します。これで重国籍状態が消え、日本国籍となります。
- 戸籍法の定めるところにより日本の国籍を選択して、外国の国籍を放棄する旨の宣言(選択の宣言)をする
日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する宣言を記載した「国籍選択届」で、日本国籍を選択する方法もあります。
国籍法14条2項
日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。 |
選択の宣言を行っても、外国籍は消えていませんので、重国籍状態は解消されていません。
ただしこの時点で国籍選択の義務は履行したことになります。このあとは、外国の国籍を離脱することに「努める」のみにとどまっています。努力義務であって、罰則規定もありません。
外国法に対して日本法で強制することは出来ないからです。
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選択の宣言を行えば、国籍選択の義務は履行したこととなります。
このように、一定の条件のもとに、日本は重国籍を容認していることになります。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 日本行政書士会連合会 東京都行政書士会 新宿支部所属 登録番号 19082576 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー
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