こんにちは!世界のご縁を日本で紬ぐ国際行政書士の山川です。
この記事は、国際結婚などで海外の役所、団体、会社などに日本の書類を提出する場合に日本にある大使館や領事館において取得を要求される認証手続き、日本の外務省で取得する公印確認、私文書に行わる公証確認、アポスティーユ認証について説明します。
領事認証とは
日本の役所が作成した文書や公務員が職務上において作成した文書は公文書となります。海外の役所や会社などの機関に公文書を提出する時に、提出する公文書が本物であるとの証明を行うのが領事認証です。
必要とされる場面
結婚や離婚、不動産取得、会社設立などを海外で行うときに、また留学などのビザの取得などでも、日本の役所などの書類、例えば住民票、法人登記簿謄本、戸籍謄本などの書類を提出する場面は数多くあります。
大使館領事認証が必要な理由
国際結婚の場合の必要な書類を例にとって説明します。国際結婚では、それぞれの国で婚姻手続きが必要ですが日本で先に結婚した場合、相手の国の手続きにおいて
・戸籍謄本(配偶者のな名前が記載されているもの)
・婚姻届受理証明書
を現地の役所などへ提出を必要とされるケースがよくあります。(国によって要求書類がことなります)
これらの書類は、そのまま海外の役所に持っていっても受理されません。現地の役所では、その書類が本物か偽物か判断がつかないからです。それで現地の役所などでは、その書類に日本にある母国大使館のお済つきを取得することを要求されます。
大使館の領事部では、スタンプの押印や確認したというシールを原本に貼ってくれます。
日本の外務省の公印確認とは
領事認証において、海外の大使館や領事館はなにをみて判断するのでしょうか。日本には1700を超える市区町村役場があります。公文書の種類も数多くあります。
海外の大使館の職員が本物とどうやって判断できるでしょうか?
大使館では日本の外務省のスタンプの取得している書類でないと受け付けてくれません。
この外務省のスタンプが公印確認といわれるものです。公文書上に押印されている公印に対して、その公文書上に証明を行っています。その証明がブルーのスタンプで原本に押されます。例にとってみますと、戸籍謄本に記載されている市長の名前の横にある市長の印が公印です。それを外務省で本物であることを確認しましたよ、というスタンプです。
公印確認できるのは役所の書類のような、公印と日付のある公文書の原本だけです。
私文書の領事承認
では私文書については領事承認を受けることはできないのでしょうか。
個人が作成して記名押印した書類は私文書にすぎません。公文書ではありません。この場合は私文書を公文書化という手続きを行い、公印確認を行います。方法としては公証役場で私文書の認証の手続きを行います。
文書の作成者の署名又は記名押印のある私文書(私署証書)が対象です。
この文書になされた署名又は押印が文書の作成名義人によって行われたことを、公証役場の公証人が証明する制度です。公証役場の任用のあとに公証人の所属する(地方)法務局長による公証人押印証明を受けます。この手続きが完了すると外務省の公印確認を受けることができます。
公証役場のワンストップサービスとは
いくつも役所を行くのはたいへんです。扱いの多い大都市にある公証役場ではワンストップサービスを受けることができます。公証役場に行けば私文書の外務省公印確認まで受けられる便利なサービスです。
ワンストップサービスが受けられる公証役場
北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県の公証役場では、
公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省の公印確認までワンストップでうけることができます。
アポスティーユ認証とは
「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に日本も加入しています。ハーグ条約に加入していると領事認証の必要がなく、アポスティーユ認証を受けた書類を直接外国の機関に提出が可能となります。
ハーグ条約に加入していない国に対して行う公文書の外務省での認証は、公印確認です。公印確認のあと大使館認証を行います。
アポスティーユ認証の加入国
2023年11月より中国がハーグ条約に加入したことにより、中国大使館での領事認証を行わなくなりました。多くの国がハーグ条約に加入しています。
ベトナム、マレーシア、タイ、ネパール、ミャンマー、カンボジアといった国は加入していません。(2023年12月時点)
私文書の場合のアポスティーユ認証
またすごく便利なのは、私文書を公証役場で認証しますが、その時にワンストップサービスを使うと公証人役場でアポスティーユが取得できるということです。公文書の場合は日本の外務省でアポスティーユを取得することになります。
認証は注意が必要
海外に提出する書類の認証については、以上が基本の流れですが、提出先によっては、日本大使館での認証を求めているパターンもあります。
翻訳の認証手続は注意
公文書などには、翻訳文をつけることが多いですが翻訳文は私文書に該当するので、公証役場での認証から手続きがスタートになります。
しかし提出先によっては、翻訳については、翻訳先を指定されていたり、認証とは別で添付だけで構わない場合もあります。大使館で翻訳公証を行う国もあります。
公文書だからとか私文書だからこの手続きになるといったパターンで決めつけないで、提出先がどんなものを求めているかをしっかり確認しないと何度も認証手続きのやり直しをすることになります。。
フィラール行政書士事務所では国際結婚などで必要な書類の領事認証手続きの代行をおこなっています。
[この記事の執筆者]
行政書士 山川鬪志 フィラール行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化許可申請 保有資格:申請取次行政書士 認定コンプライアンス・オフィサー |